【仕事エッセイ】翻弄された4月 〜研修編〜
4月1週目
新社会人としての生活が始まった1週間目。私は本社で過ごし、基本的なルールの説明を受けたり、出向先の上司との対談に臨んだりした。出向先のメンバー3人に対する説明もすぐに完了し、本社とは違うパソコンも支給された。金曜日はIT知識のインプットに時間を使った。会社専用の勉強アプリを使用して、多種多様なテクノロジーやプログラミング言語を学べることができたが、使用できるのが1日だけだったのは残念だった。
1週目の研修が終わったが、心には一つの不安が残っていた。それは、出向先のメンバーとの関係だ。一人は勢いがありすぎて、上司に対してクレーマー寸前の提案を行うような人物。もう一人は静かな性格だが、重要な書類の提出が3日も遅れる。そんな二人に挟まれた自分は、どちらにも気を使う中間ポジションで、まるで八方美人のような存在だ。そして、一番の懸念は、この二人の仲が初週から悪いということだ。このチームでうまくやっていけるのか、早くも不安が募っていた。
4月2週目
2週目に入ると、本社から出向先の会社に移動することになった。研修場所は会社内の会議室。自由にトイレやコンビニに行ける環境で、少しの雑談も許される。さらに、一つ上の先輩が研修に付き添ってくれると聞かされ、最初は安心した。しかし、どうやらこの研修の進行には諸事情があり、講師を用意できなかったらしい。会社の計画では、先輩がまず私たち3人を教え、その後、新人の一人である情報系の勢いあるAが教える役に回るというものだ。他の新人たちは講師付きでしっかりと研修を受けているのに、私たちは自力で協力して進めなければならないという現実に、少し疎外感を感じた。
比較しても仕方がないとは思うものの、どこか自分たちが雑に扱われている気がしてならない。この気持ちを無視しようとしたが、徐々に心の中で不安が輪郭を帯びていくのを感じた。しかし、その不安を振り払うようにして、目の前の研修に集中することに決めた。
もう一つの不安は、指導してくれるはずの先輩が、4月2週目の時点でまだ現場に入っていないということだ。彼は現場で実践をしながら私たちを指導するわけでもなく、私たちが研修を受けている間も暇そうに携帯をいじっている。入社前に聞かされていた「充実した研修」とは程遠く、現実は私の想像とは大きくかけ離れていた。
この経験を通じて、私は一つの大事な社会人の心得を学んだ。それは、「希望は基本的に通らないし、他人に期待しすぎてはいけない」ということ。他人に頼りすぎず、自分の力で道を切り開く覚悟が必要だと強く感じた。そして、気がつけば、4月はあっという間に過ぎ去り、メンバー2人の仲は、さらに悪化していた。