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【読書】働く男(文庫版)

⚫︎タイトル 働く男(文庫版)
⚫︎著者 星野源

音楽家、俳優、文筆家など、マルチに活動している星野源さんの、自身の仕事やものづくりについて解説している本書。
雑誌「popeye 」に掲載されていた映画コラムや自身が作曲・作詞・編曲した曲の制作当時の想い、出演作品の裏話、手書きコード付きの歌詞など、星野さんが本当に多彩であることを思い知らされる内容となっている。


映画コラムで書かれている映画は見たくなるし、解説している曲や映像作品は見たくなる。
星野さんの仕事=ものづくりに対する並々なる努力やこだわりに、ただただすごいなぁと脱帽させられる反面、これだけ活躍する人になるには、こんなに努力しなければならないのか、とちょっと落ち込む一面も。

この本の書籍版は、星野さんが倒れる前に作成されているため、現在の星野さんの仕事へのスタンスと異なる部分があると思うが、

仕事が好きです。でも、誰かに言われたことをただやるのではなく、やりたいことをやるのが好きです。
自分のやりたいと思ったことを仕事にするために、そしてその仕事を成功させるために、努力は惜しみません。
どれだけ忙しくても、働いていたい。
ハードすぎて過労死しようが、僕には関係ありません。

p.14

この文章は、サラリーマンとしてただ漫然と毎日働いている僕にはドキッとさせられるものだった。


才能があるからやるのではなく、才能がないからやる、という選択肢があってもいいじゃないか。

p.19

星野さんは、書くことや演じることについて、周りから「才能がない」と言われ続けていたらしい。
それでも「そんなの関係ねえ」、「でもやるんだよ!」という気持ちで、好きだから続けた結果、それが仕事になっているそうだ。
たとえ才能がないとわかっていても、好きなことをやって良いんだと、勇気をもらえた気がした。


「書く男」の章の最後に、「急須」というショートストーリーが掲載されている。
奥さんが不注意で割ってしまったお気に入りの急須を、夫婦で買い直しに行く話だ。
ある理由から、奥さんがその急須が欲しくなくなってしまうのだが、その理由が何とも人間的で、思わず「わかるわぁ」となる。

星野さんの曲や文章は、綺麗事だけで作られていない。人間の嫌な部分や汚いところも含めて、人間ってこうだよね、それでも生きていくよね、と等身大で作られているところに改めて魅力を感じた。

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