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#33 永平寺へ

 多くの人にとって福井県にある大寺院といえば真っ先に永平寺が思い浮かぶと思う。曹洞宗の総本山であり、鎌倉新仏教の代表格として知名度はかなり高い。開山してから800年ほどだろうか。鎌倉時代の影をそこにとどめ続ける。開祖道元は権力との結びつきを嫌ったといわれ、その影響から逃げるかのようにとても山深い地に永平寺は立つ。

 山中の大寺院はやはり別世界だ。大都市から移動してきたため、なお際立って感じられる。入山中は時が進むことを忘れた。ただひたすらにその雰囲気にのまれ続けた。
 曹洞宗は特に坐禅を重んじる。法堂でお師匠様が講じることには「宇宙とは只管打坐」。つまり、ひたすらに坐禅を打ち続け、心を空にするという行為そのものがわれわれの生の営みだと私は解釈した。勧められるがままに坐禅を組む。「心を無に。心を無に。心を無に。」。ひたすら無になるように考えた。いや、考えたらダメだろ。あっ、また考えてしまった。まだまだ修行が足りない。只管打坐の極意を知るには100年早かったか。。。口惜しさを感じながら永平寺を後にして一乗谷に向かった。

法堂へ続く階段
山の深さを感じる。まるで別世界のよう。


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