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夏目ジウ
2023年5月8日 20:12
小学校6年の作文で将来の夢「アイドルと結婚します」と、僕は大口をたたいた。周囲の同級生達は意外だったのか、それを境に僕に対して後ろ指を指すようになった。そのうち同級生に留まらず、担任の前田先生までも僕を怪訝な目で見るようになった。でも、校長先生は「横山君。アイドルは腹黒いから気をつけなさい」と説いてくれた。 あの時の校長室での教えは僕に世の中は甘くない、と教えてくれた。 高校を卒業してす
翌日僕は仕事を休んだ。 一日休暇を取る、などとそんな一時的なものではない。永遠にずっと、休むつもりだった。入社二年目の僕に工場に行くメンタルなんか、体内にはなかったのだ。 窓から差し込む陽光が途轍もなく眩しかった。 これから僕はどうなって行くのか。 途方もない死に近い何かが追いかけてくる。寝ても醒めても、「死に近いもの」しか身近にない場合はどんな末路を辿るのか。 携帯電話のバイブ音
2024年2月24日 08:10
※2,170字数。 本作品はフィクションです。 ーあたし、アイドルになるからもう会えない。元恋人のマナは3年前そんな風に別れを告げて僕の元を去った。いつもよりも仲睦まじく地元の文化会館で成人式に参加した帰路の途中だったから、今でもその時の光景は鮮明に覚えている。 「でも、30歳になったら必ず迎えに行くから」マナの青々しい後ろ姿に向かって僕は声を振り絞った。たぶん、聞こえていなかったかもしれ