ロマンと自信の館/福井県恐竜博物館
3歳の娘が、「映画ドラえもん/のび太の恐竜2006」を見てから、「恐竜、恐竜」言うようになった。
お風呂上がり裸でティラノサウルスのポーズをし「恐竜のおばけだぞ〜」と言いながら歩いている娘を見たら、(いよいよ、恐竜博物館に行ってみるか!)と夫婦で決まった。
車で片道3時間。
私と夫、加えて3歳と0歳2ヶ月の同行。
夫は日帰りで余裕と言っていた。
だが私は、次行った際は絶対に一泊すると宣言させてもらった。
普通に子ども連れによる大変さはあったものの、結果的には楽しかった。
だが一度では全く満足できない。全然足りなかった。
可能ならもう一度、1人で行きたい。
福井県恐竜博物館は、世界三大恐竜博物館の一つ。
いざ入場。
入場から、もう最高。
長いエスカレーターに乗り、どんどん下っていく。
薄暗い洞窟にゆっくり落ちていく感覚になれる。
天空の城ラピュタで、パズーとシータが鉱山の洞窟にゆっくり落ちていく時のような。
あんなワクワク感。
薄暗い通路の先に、化石を掘り起こしている最中のような景色が見える。
ジェラシックパークのワンシーンで見たことがある。
化石が中央にあり、左右の螺旋階段を登っていくのだが、ここから最高の始まりだ。
メインの場所はサイトの写真で前もって見ていた。
しかしながら、いやいや、写真じゃ全く伝わっていない!これほどとは。予想を優に上回った。
写真じゃ伝えきらないよ。この躍動感は。
もう、胸いっぱい。
立ち止まり、ゆっくり360度みわたす。
じっくり、ゆっくり動く。
あっちみたい、こっちみたい。という飛び跳ねそうな心と足を抑えるために、ゆっくり動く。
会場全体が薄暗くなっていて、恐竜の骨や模型に黄色いライトが当たり、雰囲気満点。
なんでこんなに天井を高くしたのだろう。
というか、なぜドーム型にしたんだろう…。
恐竜の模型も凄く大きかったが、天井はもっと高い場所にあった。
ドームの壁を見ると、恐竜の骨の影がくっきりとできている。
その影を見ていると、恐怖心が混じったようなワクワク感が湧き上がる。
まるで、ここに足を踏み入れた人をこの空間に、世界に閉じ込めて、洗脳でもさせているのではないだろうか。
いや、もう他の事を考える余裕がないぐらい、すでに頭の中を恐竜でいっぱいにさせられていた。
恐竜の模型の一部は動くのだが、カクカクしていない。声もついている。
中央はティラノサウルス。
動く彼を360度、どの角度からも見られる。
スロープから高いところへ上がる。
上がりながら変わっていく景色も、またいい。
登りきって一つ上の会場に到着すると、高い位置から会場全体を見渡せる。
下で見学している人達のおかげで、人間と恐竜の大きさの比較が容易にできる。
人間が襲われていたとしたら、これくらいの体格差か〜と妄想だってできる。
他にもメイン会場には、5メートルぐらいある鏡が置いてある。
鏡に反射して写っている恐竜の骨たちが、また美しい。
鏡越しで見ることで、肉眼とはまた違った見え方になるのだ。
そして遠足に来ていた小学生のテンションが上がってる場所がある。
それは大型恐竜のお腹の骨の真下に入り込み、下から見上げられるようになっている場所だ。
写真は一応撮ってみたが、全然伝わらない。
是非とも直接入って、上を見上げてほしい。
骨の近くには、同じポーズをした肉のついている模型もあり、骨だけでは分からない部分を補足してくれている。
上の階に行くと、待ってました。海王類。
じゃなくて魚竜類・首長竜類といった、海で生きていた恐竜たち。
私はモササウルスが一番、一番なのだ。
海の中の恐竜たちに、本能的に惹かれてしまう。
なぜだろう。
映画"MEGザ・モンスター"に出てくるメガドロンも十何回と見てしまう。
海のゾーンが作られている。
この空間にいたら体が熱くなってきた。
少し汗ばむほどだ。
凄い大きさの海亀やフタバスズキリュウにモササウルス…。
このゾーンはまだまだ見たりない。
モササウルスはもしかしたらまだどこかの海で生きているかもしれないと、私は思っている。妄想は自由だ。
化石や模型以外にも、恐竜に詳しくない者にもわかりやすいようにジュラ紀、白亜紀、三畳紀といった説明が図になっている説明をしてある場所があった。
地球が生まれてから人間が発生したのは、まだまだ最近の出来事だとは知識では知っていたが、ここまで目で見せられたら。
数千年後、人間が恐竜のように滅んだとする。
新しい生物がこうやって博物館を作って、「こちらがアメリカの人間の骨、こちらは日本の人間の骨。日本人と呼ばれ、島国だった影響もあり閉鎖的な思考の人間だったと考えられています」なんて説明がされているんじゃないだろうか。
そんな妄想も楽しい。
様々な国の人間の骨がたくさん、模型として置かれている未来もあるかもしれない。
もちろん、流石です。
私はこの博物館を造った方々の手のひらで踊らされています。
私のように妄想する人がいるなんて想定済み。
人骨も少しだけだが、飾られていました。
そして何より、本物が数多く置かれていたのだ。
レプリカではなく、本物の化石だ。
違いを瞬時に理解できるような目を持っていない私だが、やはり今目の前に本物の化石があるという事実が、心躍らせるのだ。
私の目の前にあるものは、はるか昔に動き生きており、化石となって、どこかの国の、どこかの古生物学者達が発見して大騒ぎされ、丁寧に砂を取り除きながら取り出さえれ研究され、丁寧にこの場所に運ばれて管理されている。
これを考えることが感動と言うと取りとめない言葉になってしまうのだが、やっぱり感動して息を数秒止めながら、目の前の骨を眺めることになるのだ。
他にも恐竜博物館に行った事はあるのだが、これだけ多くの本物を見るのは初めてだった。
しかも触っていいと書かれているものもあり、触れさせて頂いた。
ロマンだ。
恐竜発掘をするような人達だ。
もう会えない、過去の者に対する憧れ。
これを持っている人達が造ったんだ。
夫が3歳の娘を見ていてくれたおかげで、私は抱っこ紐に入った赤ちゃんと歩いた。
赤ちゃんは終始寝ていてくれたから、1人でゆっくりと見て回れたような感覚だった。
急かす心を抑えながら、ゆっくりと歩く。
声を出さないようにすると、その代わりとでも言わんばかりに心の踊りが強く増していっている気がした。
何度も息を止めるとゆっくり吐くを繰り返している。
胸が苦しいが、全然息苦しくない。
もう、やばいよ。
誰だよ。これ建てたの。
誰だよ。こんなの思いつく人達。
建築について全く知識がないのだが、きっとこういう大規模なものはある程度は何かしらの妥協の中、建てられると思う。
この建物は、一体何を妥協したんだ?何か妥協したものはあるのか…?と思わせるぐらいの完成度だった。
全力で、ここに来た人を楽しませる。満足させようとしている。
いや、「楽しまない訳が無い。感動しない訳が無い。満足しない訳が無いだろうが。そんなの当然だ」という絶対的自信のようなものを感じる。
体にキシキシと、これらを造った人達の感情がねじ込まれていっている気分だ。
感動を満喫した後は、お楽しみのお土産選び。
3歳の娘は大きいスーパーボールに入った恐竜模型と、ブラキオサウルスの模型を欲しがった。
帰りの車で大事にその2つを握りしめていた。
落としたら、車の中でワーワー叫び倒すから正直あの時は勘弁してくれと思った(笑)
家に帰ったら早々に「かーちゃん、ドライバー」、と。
何に使うんだい?
スーパーボールに入った恐竜を取り出すために使うと。
できっこないと思い、ドライバーを渡してみた。
娘は一生懸命穴をあけ、数日かけて無事模型を取り出すことに成功した。
大人たちは数日間、透明のスーパーボールのゴミを拾う羽目になった。
私もお土産コーナーを物色した。
8000円のモササウルスの模型を買おうとしたが夫に止められた。
娘が「かーちゃんがモササウルス欲しいって…」と夫に上目遣いで言ってくれた(言わせた?)おかげで、次に博物館に来ても同じくらい欲しかったら買っても良いと約束をとりつけた(我が家のお金管理は夫)
今回は、小さめの恐竜の模型が8個入ったセットを購入した。
フタバスズキリュウの模型を見て、「ピー助のザウルス!」と娘は言っている。(ドラえもんのび太の恐竜2006に出てくるフタバスズキリュウの名前がピー助)
「かーちゃんはモササウルスね」
「パパはトリケラトプス」
「娘ちゃんはブラキオサウルスのあかちゃん!」
子どもの頭は本当にスポンジなのは当然として…
私達親は、いつか彼女に伝えなければならない。
恐竜は絶滅している。と。
サンタさんの正体を知った子どもぐらいのショックを受けそうで、数年後のそのイベントが少し憂鬱だ。
娘が「もういっかい、いこうか?」と言ってくる。
いや、私が行きたいよ。
意味が分からなくとも、説明文を隅から隅まで読みたい。
全然見たりなかった。
化石が掘れる?化石研究体験もやりたかった。
最近ロマンが足りない!と思っている大人たち!
福井県へ!
大丈夫。車で1時間半走れば金沢です!
金沢で金箔付きの海鮮丼を食べればいい!
東尋坊までも1時間で行けます!
夕日にエモればいい!
そして、私は2回目の福井恐竜博物館で8000円のモササウルスの模型を絶対に買うんだ。