超常現象診断士1 雨の女 リライト
まえがき
超常現象診断士とは、ほとんどの超常現象は科学で解明出来る。
正確には科学でほぼ説明出来るようになった。
しかし、一部の超常現象は解明されていない。
心霊現象については、おおむね、解明出来ていると
言っていいレベルになってしまった。
しかし、21世紀のこの現代において尚。
いまだに幽霊を視た、声を聞いたと本人や周りの人達を悩ます事例があり。
さらには日常生活を脅かす事態にまで辿り着いてしまう。
私は、それを調査して本当かどうか診断して解明し、しかるべき対応を取る。
必要なのは、医者か霊能力者かそれとも徳の高い密教僧か。
専門職でも解決しない事例が沢山あり。
長い間病院で入院治療しても回復せず、挙げ句のはてには自殺する場合もある。
何故そんな事になるのか、きちんと理解する必要がある。
未だに未解明な案件を調査し、答えを出すのが、超常現象診断士の仕事である。
どのような事をするのかは、実例を持って紹介しよう。
超常現象総合相談所
所長兼診断士 拝 頼綱 43歳。
相談内容、超常現象、心霊の調査、診断、解明、カウンセリング
行方不明者の調査等
山陰の片田舎に小さな事務所を持つ。
あなたは悩んでいませんか、見えてはいけないものが見えたり、聞こえたりしていませんか。
この相談所ではけっして諦める事なくその悩みの真相を診断し解決する迄で対応致します。
超常現象診断士の日常 雨の女より
ここは山陰のとある街だ。
静かな所で、空の雲の位置は低く。
曇りとなれば、どんよりという言葉がよくにあう。
そして雨の日も多い。
ここに暮らす人はいつものことで、その事に気づいていない。
全国的に比較しても、雨の日が多い場所に住んでいることを。
何故こんな話題を語るのか?
その依頼人は雨と共にやって来たからだ。
ちょうど、その日の朝の天気は曇天。
昼前から雨は強くなり。
外は真っ暗で、土砂降りでほんの少し先も見えるかどうか。
そんな雨の中を、傘をささずに、びしょ濡れで。
彼女は僕の事務所の玄関を叩いた
彼女は薦めた椅子にもタオルにも全く興味を示さず、立ったままこう言った。
「どうか私の命と控えに私の息子を、旦那を返してくさい。」
と泣き崩れた。
髪はぼさぼさで、身長は170㎝ぐらいのやせ型、二重のたれ目で無精髭を生やした、くたびれた白衣を着た男が、ここ、西日本超常現象総合相談所の所長 拝 頼光(おがみ よりみつ)、小さなケータイショップの跡地にひっそりと営業をしている。
お客様相談コーナーのソファに足組んでくつろいでいる。
立ち上がりもせず、対応をはじめた。
来る前に、予約の電話はあった。
ともかく、自分のせいで旦那と息子さんが行方不明だと。
旦那さんは息子さんを探しに行くと言って戻らず、まだ2日しか経っていない。
でも息子さん方は、このままでは絶対戻らないと泣き出したのだ。
「取り合ずわかる事の全てを話してもらえませんか。そうしないと私に出来る事が必ずあっても、何をするかの道しるべはとても重要なのです。」
彼女はゆっくりと話し始めた。
彼女は雨女だ。
それもかなりの、強烈な雨女だと言う。
そんな彼女が、ある男に恋をした太陽のような笑顔を持つ。
通称晴れ男だ。
偶然かそれとも必然が引き合わせたのか、彼といると晴れの日が増えたのだ。
そして彼と彼女は、結婚して子供が出来た。
大事な日には、必ず雨が降るという彼女の逸話を覆す。
大事な日の3回に一回は晴れるという。
そんな彼女が彼と喧嘩した。
そして彼女はこう言った。
「今度の日曜日は、必ず雨が降って延期か無くなるから。」
ただ彼女は、その日の町内会のイベントに出たくないだけだった。
「君も一緒に行こう、連も喜ぶから。」
旦那は、笑顔で誘う。
「行きたくないって言ってるでしょ、連と二人で行けばいいのよ、絶対に雨を降らしてやるから。」
「おい、むきになるなよ。」
「もし雨にならなかったら、行ってあげる、雨が降ったら私は2度と町内会の行事には行かないから。」
当日の日曜日には、彼女の望み通りのどしゃ降り。
町内会のイベントは中止なり、彼から笑顔が無くなった。
そして、その日を境に彼女が夢を見るたびに、昔見た光景が蘇っていた。
この夢を見るまで忘れたいた。
あの日の出来事を。
霧雨の降る、近所の神社の敷地の中で。
蛇の目の和傘を、地面に開いたまま投げ出して。
大きな木の下に、髪の長い白いワンピース着た女性が椅子の上に立ち。
首には、縄が上の枝から白いワンピースの女の首に巻き付いていた。
「あなたも雨が好きなの、私も大好きよ。」
そう言って、物珍しさで近づいた。
私に語りかけてきた。
白いワンピースの女は、夢でも思い出すかのように語り始めた。
「家の近くの会社で働いていた母が、雨の日だけは仕事を抜け出して良く保育園に私を迎えに来てくれたわ。」
本当に楽しそうに彼女は言った。
「それでね私は毎日が雨だったらいいのにと、来る日も来る日も雨を降らす方法だけを探したり、自分のルールを作って願掛けを実践していた」と言う。
「それでね私、いつでも雨が降らすことが出来るようになったの。」
「でもね私の力が強くなるにつれてね、母が私にこう言ったの
雨降りは嫌いだと、大概の人はそうだ、傘がいったり、用事が出来なくなるから。」
「そして母は、こうも言った、雨になるとあなたを保育園に迎えにに行くのが、ほかの人に迷惑がかかるから本当に嫌だったと。」
「その時自分の力が嫌になったが、これが私の売りになった。
雨を降らす仕事が来るようになっていたから。」
「その力を使ったイベントパフォーマンスが評判を呼び、実際に干ばつで苦しんでいる地域から要請が来た、自信はあった私は必ず雨を降らすと。本番当日、12時間たっても1ミリたりとも、雨は降る事は無かった。」
「詐欺師呼ばわりされ、今まで周りにいた取り巻きの仲間たちも離れて行った、許さない自分自身も周りの仲間も、必ずあの場所に雨を降らして見せると誓ったけど、もう、どうでも良くなった、」
「ごめんね、こんな話を小さなあなたにして。」
彼女の眼からは大粒の涙が流れていた。
「お姉ちゃん、どうやったら雨が降るの
私も明日、雨になってほしいの。」
小学校に上がりたてで、運動の苦手な私は、どうしても運動会が許せなかった。
この神社の大きな木の枝に、沢山のテルテル坊主が吊ってあり。
数が増えた次の日は、必ず雨になるいう噂を聞きつけた私は両手に沢山のテルテル坊主をぶら下げていたのだ。
あなたも、じゃあ、とっておきの方法を教えてあげるは。
彼女は耳元でやり方を私に教えてから。
真っ白の布をまるで頭から被って、首にロープを巻き直した。
その姿はまるで、テルテル坊主のようだった。
私は、白いワンピースの女が白い布の袋を被り。
その布の上から、教えて貰った通り。
両眼を黒のマジック書き、その目から、流れる涙を書き、泣き叫んでいる口を書き。
そして、私は椅子を蹴った。
お姉ちゃんは、私が顔の落書きを書いている間、歌を唄っていた。
雨降りの歌だ、「雨、雨、フレフレ、母さんが蛇の目のおつかいうれしいな。」
まるで子供に戻ったかのように、本当に楽しそうに歌っていた。
そして、私が椅子蹴った時、彼女は言葉にならない呪文のような叫びをあげ、呪いをかけるような唸り声が私の耳に突き刺さった!」
「ぎゃぁあああああああああ!!!!」
次の日から、全国的な大雨になり。
私と白いワンピースの女の願いは達成されたのだった。
この強烈な記憶を私は何故忘れていたんだろう。
そして、なぜ思い出したのだろう。
そうか、この前の雨を降らした時に使った。
あの白いワンピースの女に教えてもらった、雨の降らせ方を覚えていて実行したのだから、なんて都合のいい女なんだろう。
その後
雨が降った日の夜になると、あの時の事を鮮明に思い出す。
夢の中で白いワンピースの女に、耳元で教えて貰ったやり方の最後に言われた言葉を思い出したのだ。
このやり方は犠牲を無くしては雨は降らない、本当に大事なものを犠牲にして雨をふらす。
涙と後悔で呪いを祝うように。
良く聞きなさい、このやり方は1回だけ2度目は無いの、そんなことをやればあなたに迎えが来る。
そして同じやり方で2度目の雨乞いをしたなら、お迎えはあなたも犠牲にして連れ去ってしまうと、絶対にしてはならないのよ、白いワンピースの女は上を向き泣いていたのを思い出した。
しばらく白いワンピースの女は私を見つめていたが
「じゃあやりましょう、二人の大好きな雨のために。」
そう言って優しい笑顔で布を被った。
町内会の運動会を断るために。
私は2度目も、雨乞いを白いワンピースの女に教えて貰ったやり方で行った。
私はこの真剣な雨乞いが、2度目の雨乞いだと意識していなかった。
そして、ある雨の夜にお迎えはやって来た。
自分の部屋で寝ていていると、遠くから何かが聞こえてくる。
私は誰が迎えにやってきたのか解っていたのだ。
聞いたことのある歌声が遠くから、本当に楽しそうに聞こえてきたからだ。
その歌のタイトルは、童謡「あめふり」
そして私の家の前でその歌声は止まった。
「○○ちゃんダメじゃない、教えたはずよ。
2回したらダメだって。
でもね、私が来たからおまけをしてあげる
あなたじゃあ無い人を連れて帰るね、もうやったらだめだよ。」
雨が止み、次の日は晴天だった。
でも私の子供は居なくなってしまった。
「私ではなく、あの子を連れ去ってしまったんです。」
「どうか探してください、もう1度雨乞いをして、私も連れて行ってもらった方がいいのでしょうか。」
「2回目は何を犠牲に雨乞いをしたんですか?」
「買っていたペットの犬を使いました。」
ためらうことなく、答えた。
「1回目は誰を犠牲にしたんですか?」
「忘れていた原因をやっと思い出したんです、私今の旦那を好きになった時。同じように旦那の事を好きになった同級生の女子がいました。」
「みんなが私が雨女だって知っていて。さらに、旦那は晴れ男だって話していたし。」
「旦那とも結婚する前に、もし付き合ったら面白いねっていって。」
「ある時デートの時、旦那が真剣な顔でこう言った、雨が降ったら俺の負けだ、もう一人の同級生ことは俺は諦める。」
「でも晴れたら悪いけど俺を諦めてくれ、私を振るために言ったわけではなかった。」
「ただ私がしつこく迫ったので、つい言葉に出たと後で言ってました。」
「でも私にしたらどうしても降らせなければなりませんでした。」
「気が付いたときにはもう同級生を、手にかけていました。」
「運よく括りつけた木に、雷が落ちて死体は焼けて誰か解らない状態になり。」
「私の犯行は有耶無耶のうちに事故と断定され、都合よくそのことを忘れ、いままで来てしまったんです。」
「そうですね、正面からあなたの言うことを信じるのなら。本来連れて行かれる、予定のあなたを連れて行かなかった事が大きな問題でしょう。」
と言いますと
「これは因果応報の原理、等価交換にも当たるところで
この業界では、人を呪わば穴二つと言いまして。」
「本来の自然の摂理に背いて、他人を殺したとなれば。
返しの風が吹いて、呪った人間も罰せられる。
つまりは自然の摂理を曲げた罰が当たると。」
「それからいうと、一回目からそうなるのが本当の所を
2回目だという
さらには私はあなたが嘘をついているのが
既に解っているのです。」
「重要なのはテルテル坊主に落書きをして吊るすと雨が降るという迷信があり、それを利用しているのだと思います。」
「一番の間違いは、あなたにその方法を教えた白いワンピースの女は
自分の身を捧げて雨を降らした時、その時が1回目だったのか
2回目だったのか?」
「何となく2回目のような気がしますが
実はこれにはトリックが存在します。」
2回目がダメという決まりはあなたしかご存じない
恐らくこの方法は自分を犠牲ににして始めて叶うもの
つまりは最初の1回で終わりのやり方
勝手にルールを変更してしまったのはあなただ
「最初にその白いワンピースの女が犠牲になって自分の願いがかなってしまった事が勘違いを生み出してしまった、自分でなくとも願いはかなうと。」
「そして恋敵である同級生を手にかけたとき、ちゃんと雨は降ったし
自分の命も無事だった。」
「ここで記憶の改ざんが行われた、罪の意識で同級生の事は忘れてしまったが。」
「このやり方なら雨は降るのだと、実は、雨が降ったのもただの偶然だった事に気付くべきだった。」
「あなたはペットを2回目の犠牲にしたと言ったが、実はペットでは無く自分の子供を犠牲にしたのだ。」
「つまりは、あの夢の話は途中までホントの話で。
後半のほとんどがあなたが自分を守るために作り上げたもの。」
「架空の物語で、今もあなたは作り上げた自分の世界にいるのではありませんか?でなければ例えば呪いでも因果応報は確実に起こります。」
「バランス保つために。」
「実はあなたから電話を貰った後、旦那さんとすぐに連絡が取れたんです、と言うか、旦那さんもここに電話をしてこられたのです。」
「旦那さんの話から、ペットは飼っていない事。同級生の話は、実は旦那さんはあなたが殺した事に気付いていたそうです。」
「ですが、事件は有耶無耶になり、落ち込んでいたあなたをほっとけなかったそうです。」
今回、息子さんが居なくなった時にあの時と全く同じあなたの姿が
同級生のときと重なって、居ても立っても居られなくなり、子供も家の中にいないので外に飛び出したそうです。
「旦那さんがこちらに電話されてきたのは、様子のおかしいあなたを精神的に参っているのかと気遣い。この事務所でカウセリングを申し込むつもりであなたと同じチラシを見ていたそうです。」
「しかし、子供さんが居なくなって行方不明者の捜索が専門のこの事務所に連絡を入れてこられました。」
「その時に奥さんは夢の話を旦那さんにされていましたよね。
それで前もって事情を聞いていたので、裏付けを取ったのです、ペットを飼っていない事。」
「夜になってあめふりの童謡を寝言で歌っていたのは、あなたである事
夢で見たとはいえ話しの辻褄が合わない事。
何より旦那さんがあなたの事を愛していたことが、今回の問題を解決する糸口になっていること。」
奥のドアから旦那さんが出てきて、奥さんにこう言った。
「ちゃんと解ってるよ、だから真実を見つめてくれ、僕はまだ君を愛しているんだ、罪を認めて話してほしい、なにがあっても僕はきみの味方だずっとそばにいるからもう心配しなくていいから。」
そう言って奥さんを抱きしめた。
彼女は大声をあげて泣いてごめんなさいを繰り返した。
子供遺体は、あの神社の林の隅にテルテル坊主にされて発見されていたが。
他にも動物の遺体をテルテル坊主に見たてて幾つか吊してあり
彼女でないとすると。
また僕の事務所には同じような依頼が舞い込むのだろう。
今回は、僕は対して活躍はなかったけど。
後で聞いた事だが、息子さんが居なくなった初日に来なかったのは、雨が降って無かったから。
自分が雨女だと、印象付けるためだ。
何かするのも事前と雨がふる情報を手に入れていた可能性がある、蟻が木にのぼる、つばめが低空飛行を繰り返す、頭痛など何らかの雨降りのサインを彼女は察して行動していた。
本人の口から聞けばかなりの確率で大事な時には雨が降っただろう、そういう予定を自分で立てていたからだ。
こういう無意識的にトリックや心理的テクニックを使う事をシヤットアイと呼ぶ。
自称超能力者や霊能力者のなかにはこのような方がいて、回りの人も騙されてしまう、何故なら本人すら解っていないのだから。
「つまりは、白いワンピースの女も奥さんの話も奥さんの妄想で、白いワンピースの女の記憶も奥さんのもの。」
「白いワンピースの女が首を吊って雨を呼ぶを奥さんに呪いを伝えように記憶しているのも、雨が翌日降るのも織り込み済みの偽の記憶。」
最初の同級生の殺人も、子供の失踪も彼女の都合で行われたものだ、ちゃんと雨が降ると解って行った、トリックさえわかればこの事件は防ぐことができた。
これに、気づいたのは旦那さんである。
彼女の目線の先には必ず雨の予兆があったそうだ。
天気予報をまめにチェックしたり、昆虫の動きや、色んな雨の予兆を無意識に追っていた。
旦那との、駆け引きで同級生を、運動会を断るために自分の息子連君を殺害した。
スタンガンで気絶さえ、首つりをさせたのだが事実。
あとは都合よくストーリーを作り、悲劇のヒロインを演じることで、現実逃避を行い、いつしか、それが本当の記憶になった。
今回の相談から得られる教訓は
もしも自分、または周りの家族や友人に変わった事が起きてはいませんか心当たりがあるのなら、是非この相談所に連絡を下さい。
強い思い込みが記憶を、性格も人生さえも変えてしまうのだとしたら。
そして、その思い込みにあなたは気付くことはないのだから。
専門家の診断が必要なのです。
因みに相談は、完全予約制となっております悪しからず。
あの神社では、おびただしい、動物の死体を木に括りつけるの辞めさせるため、警察に依頼、すると、小学生から、大人まで、皆口をそろえて語るらしい。
「白いワンピースの女から教えて貰ったと。」
今日も、誰かが、夢の中であめふりの歌を聞いているのかもしれない。
完
後書き
この小説は、大分前に小説家になろうにアップしたものです。
慣れていないせいか、殆どの句読点がなく、読まれた読者からの感想は、スマホで打たれましたかと言うものでした。
あれから、成長したのでしょうか、あと内容も補足を入れながら完成しました。
今回はChatGTP4は使わなかったので、読みにくいかも知れませんがここまで読んで頂きありがとうございました。