【必読】数万円に値上がりしても買うぐらい有益な、本物の書籍3冊。
人生に数冊という本がありますか?
私はあります。それもありきたりな本ではない、ベストセレクションだと自負しています。
筆者は本に対する要求が高く、本屋に平積みになっている本の9割方、読んでも満足しません。本を買うときはAmazonレビューを流し読みしたあと、出版社の売り文句と著者の経歴を確認し、サンプルをすべて読み、やっと決めます。
そのような注文の多い私でも、数日のうちに読破するだけでは飽き足らず、ぜひ他人に広めたいと強く思う本をいくつか持っています。
この本たちは、心から納得でき、生産性の向上を確信する情報を含んでいます。初めての体験の連続です。
ただ、娯楽小説やテレビで話題の本と比べると、とっつきにくいです。うっ、となってしまう場合は、「これを乗り越えればもっと知的な人になれる、前向きな挑戦なのかな?」と思えば、読む気がアップするかもしれません。
以下で私のセレクションを紹介します。
少しの労力で大きな成果『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』
ジェームズ・クリアー著 339ページ
生産性を向上させるものの中で、コントロールでき、最も影響が大きいものは”習慣”である、という考えに基づき書かれた実践マニュアルです。様々な人物を引用しながら、習慣についてまとめた集大成です。習慣形成についての知見が網羅的にこの一冊にまとまっているといえるでしょう。
明快に構成されており、習慣の重要性を説明する一部、段階別に習慣をコントロールする手順を記した四部、習慣の不足点や維持について補足する一部の計六部から成ります。
生産性と習慣、と聞いて、確かに大事だという方もいれば、そんなに大事とは思えないという方もいるでしょう。
ここで本書からの引用を見てみます。
つまり、一つ一つの習慣の影響は無視できるほど小さいのに、ある程度集まると無視できなくなるということです。
次に思うことは、習慣がいいものであるのはわかるけど、わかっていてもサボりたくなるから苦労するんだ、ということでしょう。それについては、この本を読んでいると自然といい習慣を作ろう、という気になります。著者は、人間が根性で習慣を作ることはできないし、楽な方に流れることを、とっくに知っているからです。その上で習慣を身につける方策について説明しています。
習慣を身につけるのは早ければ早いほどいいです。もっと早くに読みたかった本でした。
最後に。減点要素は、訳がうまい日本語になっておらず、意味が通りにくいところが50ページに1つくらいあることです。
読むと心が頑健になってくる『セルフ・コンパッション』
クリスティン・ネフ著 429ページ
ブレネー・ブラウンの名を聞いたことがありますか? トップクラスのTEDプレゼンターですから、耳にした方も多いでしょう。彼女の本にも引用されている心理学者の一人がネフです。
セルフ・コンパッションという語は、私なりに和訳するなら、「自力の慈しみ」です。これは自己受容とは異なる概念です。
最初にこの本を見かけたときは、「セルフコンパッションという感傷的なものは私には必要ない」と思いましたよ。自分で自分を思いやろうなんて、わかりきったことで、まじめにやりたくない感じがします。ですが、本物の受容、許しはそんな浅いものではありません。
もしあなたが自尊感情のラットレースに巻き込まれていたり、条件付きの自分しか愛せないのならーーつまり、痩せていなければ自分が好きじゃないとか、インフルエンサーに激しく嫉妬するとか、悪い評価をもらうとひどく落ち込んでしまうという場合、この本は役に立ちます。
私自身の話をすると、「可愛らしさ」病と「生産性」病にかかっていたとき、この本に答えがありました。年老い、今ある可愛らしさを失ったら女性として生きている意味がない、生産的に過ごせなければ破滅がやってくる、という二つの問題の解決のために本を探していたのです。
一つ目の答えとは、相互共存interbeingでした。「自分は他人と明確に区別される存在である」「自分とは環境と相互作用するプロセスである」どちらが今の考えに近いでしょうか? 後者の考えがより現実を反映したものであることを、この本は語ります。そしてそれは、苦しみを生む強すぎるエゴとの別れです。私は次の誕生日を祝えるようになっていました。
二つ目の答えは自己批判をやめることです。自己批判という言葉に「自分のことだ」と来たのなら、この本を強く勧めます。自己批判は成長や成果につながらないことがわかります。今や、本当に寝てもいいかとうろたえる夜は半分以下に減っています。
私の解釈でのかいつまんだ要約:
肥大化したエゴをつつしめ。今の自分と違う自分にはなれない。条件付きの自己愛は、いっとき気持ちよくなれるが、失敗すると苦しむ。
自己愛と自己批判には誤りがある。現実はインタービーイングである。
また、自己愛と自己批判による意欲よりも、セルフコンパッションによる意欲のほうがメリットが多い。インタービーイングにより自分のもらったギフトをたたえ感謝することは喜びである。
感想:
インタービーイングという概念を知ると勇気が出る。ナルシシズムの快楽を今すぐに捨てることはできないけど、たしかにセルフレスな状態のほうが穏やかだ。
うじうじ考えを優しく論破『いやな気分よ、さようなら』
デビッド・D・バーンズ著 488ページ
バーンズは認知行動療法(CBT)の創始者、アーロン・T・ベックの弟子です。ペンシルベニア大学はメンタルヘルス方面に強すぎますね。
うつ病の治療のために書かれた本ですが、たとえうつ病と診断されていなくても、落ち込んだり憂鬱になることが多い方には効果があると私は思います。
まずは、この本の治療効果を示唆する記述をAmazonから引用しましょう。
この調査はフォレスト・スコジン博士とクリスティン・ジェイミソン博士が80人規模で行ったもので、うつ症状の評価はベックうつ病調査表とハミルトンうつ病評価尺度が使用されています(詳細は本の中に収められています)。あくまで1件の調査の結果で、エビデンスレベルは高くありませんし、効いていない人もいますが、それでも読書療法の可能性を示すものでしょう。
本の内容は10種類の認知の歪みと、憂鬱気分に関する自己評価、愛情への依存などの複数の悩みについて、くどいくらい丁寧に、そして論理的に説得しつつ、実践的なワークシートを提供するものです。この憂鬱気分を論破してくれ、と思ったことはありますか? この本はその願いにぴったりです。
患者に対して先入観を持たず、人間愛にあふれ、真摯に治療しようとする著者の言葉は、些細な言い方に敏感になった患者にも抵抗なく響きます。
筆者は4年間のうつ状態を経験し、『不安とうつの統一プロトコル』『うつを克服するための行動活性化練習帳:認知行動療法の新しい技法』等、数冊の医学的な本を試しましたが、1冊だけ選ぶとすればこの本です。
本を読むにあたり、注意点があります。それは読むだけで終わらせないことです。読むだけでは、メンタルヘルスの改善効果は少ないでしょう。自分で紙とペンを、もしくはWordソフトを持ち、書くことが重要です。面倒でも、頭の中でぼんやりと思っている場合と、しっかり言語化する場合とでは、内容の定着の度合いがちがってきます。
また、憂鬱の原因になっている思考を修正するには、まず自分の曖昧な思考を文字にすることが必要です。ですが、これは、慣れるまで難しいかもしれません。曖昧な思考を言語化する方法について、この本ではサポートされていません。私からのおすすめとしては、「憂鬱なのはなぜですか?」「なぜそれが憂鬱を引き起こすのですか?」「本当にそれだけでしょうか?他にも気がかりなことがありますか?」と、自分自身に語りかけ、会話することをやってみてください。ばからしく思えるでしょうが、これは効果があります。自分との会話について詳しく知りたい場合の本もあります。
最後に減点要素を述べます。第九章の、「現実的な問題」についての記述が少ない点です。生命の危機に付随するうつ状態を改善するには、この本では確実に足りません。
終わり
以上が、私の考える「数万円に値上がりしても買うぐらい有益な、本物の書籍」です。
どれも値段は少し高いですが、ページ数が多く、たくさん詰まっているので損はさせません。
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