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それでも進次郎が日本の最後の希望な件

自民党の総裁選で、最有力候補と目されている小泉進次郎議員が、ついに立候補を表明した。
この小泉進次郎候補に関しては、典型的な世襲議員であるばかりでなく(二世どころか、何と四世)、関東学院大というお世辞にも偏差値の高いとは言えない(口が悪い人によるとFラン)大学の卒業であることから、その政治家としての資質に以前から疑問が投げられていた。

出馬宣言後の記者会見では、フリージャーナリストから「知的レベルが低い」と揶揄される場面さえあった(件の記者は直後から炎上)。

しかし、仮に「知的レベル」に問題があったとしても(失礼)、イケメンしか取り柄がなかったとしても、小泉進次郎候補が、今の衰退日本を止める最後の望みだということをこのnoteで述べてみたい。

民主主義では解決不可能

なぜ世襲議員の代表格で、その能力にも疑問符がつく小泉進次郎候補が日本を救う最後の砦なのか?
その答えは、現在日本が直面している諸問題を解決することが、通常の民主主義のプロセスではもはや不可能になっているからだ。

高齢者の介護と医療

その解決不可能な問題の代表例が、高齢者の介護と医療の問題だ。
既に広く知られている通り、日本は世界に例のない超高齢化社会に突入している。65歳以上の高齢者の比率は、人口の30%に達している。さらに20年後には、その比率は40%に迫る勢いだ。
また特に医療と介護の負担が重くなる75歳以上の所謂”後期高齢者”に関しても、2025年には人口比で18%を超える見込みだ。
このままでは、医療と介護の財政が破綻することは目に見えている。

この医療と介護の破綻を回避するための方策については、実は既に過去20年以上に渡って議論しつくされている。
列挙すると以下の通りだ。

  • 高齢者医療費の自己負担引上げ
    現行では1割負担の高齢者の医療費自己負担を現役世代並みの三割に引き上げる。(ちなみに以前は高齢者の医療費はタダだった!)

  • 掛かりつけ医制度
    日本では、公的医療保険で原則どこの病院にも掛かれる。ただの風邪でも東大病院で診察を受けることが出来る。そして医師法の往診義務から、病院は原則として診療を断れない。このような制度をフリーアクセスと呼ぶらしい。
    しかし、このような制度を採用しているのは、実は日本だけだ。ほかの国では、最初に国(または保険会社)から指定された”掛かりつけ医(イギリスなどのではGPと呼ばれている)”の診断を受ける必要がある。そして更に高度な医療が必要な場合に限り、医師が紹介状を書いて大病院で診察を受けることが出来る。ちなみに風邪の場合は、”水を飲んで寝てください”と言われるだけで、薬も出ないことが多い。

  • 電子カルテ義務化
    日本の医療は検査漬け、薬漬け医療とよく揶揄される。これは、医療機関の間で検査情報などが共有化されていないからだ。そのため同じ検査が繰り返される重複検査や投薬が多く行われている。
    共通電子カルテを導入して重複検査を止めるだけで年間数千億円の費用が浮くとの計算もある。
    良いことずくめのように思えるが、検査収入が減ると日本医師会などの利権団体が昔から大反対していいる。
    最近何かと話題のマイナンバーもこの電子カルテと同じように情報の共有化が目的だ。反対論が多いのは、背景にこういう事情がある。

  • 延命治療の廃止
    日本では、公的な医療保険で、人工呼吸器や胃婁(いろう)と呼ばれるチューブを使った栄養補給など、高齢者に対する延命治療が行われている。しかし、諸外国では寿命を迎えた高齢者に対しては、このような延命治療は行われていない。食事や呼吸が自力でできなくなった時点で、寿命として看取りが行われるだけだ。この延命治療の費用だけで年間数千億円に上っているとの説もある。

  • 高額な医療の自己負担
    日本では、治療効果が認められた医薬品や治療法であれば、仮に数千万円の費用が掛かっても公的な医療保険でカバーされている。
    一番有名なのが、抗がん剤の特効薬である”オプシーボ”だろう。最近になり薬価がかなり引き下げられたようだが、登場した当初は一人の患者への投与で3000万円以上の費用が掛かっていた。しかし”高額療養費制度”のおかげで、本人の自己負担は月10万円程度で済んでいた。
    また同じような例としては、”人工透析”がある。これも一人の患者に対して年間で400万円程度の費用が必要になる。
    このような超高額の医療を全て自己負担にしようというものだ。

以上のような改革を実行しただけで、年間の医療費が数兆円単位で削減できるとの試算が、様々な研究機関やシンクタンクなどから過去に繰り返し提示されている。

しかし実際には実現不可能だろう。

有権者の半分は老人

改革が実行不可能な理由は、「有権者の半分近くが高齢者」だからだ。
しかも高齢者になるほど投票率が高い。
日本人の平均年齢は、男女とも約50歳だが、有権者の平均年齢は56歳を超える。また実際に票を投じた有権者の平均年齢は60歳を超えるという説もある。
この有権者の大半を占める老人たちが、自分たちの首を絞める「医療費の削減」や「年金の改革」に賛同するはずがない。
結果として、負担の多くは「給料から保険料を天引きされている」現役世代の特にサラリーマンに集中することになる。
実際に20年前に実施された進次郎候補の父親である小泉総理大臣時代の改革以来、現役世代の年金と健康保険の負担は倍近くになっている。

このままでは破綻へ

現役世代の負担で維持されてきた高齢者の医療、介護そして年金だが、このままでは近い将来、実質的に破綻することが予想されている。
理由は簡単だ。少子高齢化の影響が本格化して、現役世代の数がこれから急減するからだ。厚労省の試算によると、今後20年で約1500万人の現役労働者が減少すると予想されている。これは現在の労働人口約6900万人の2割に当たる。
一方で毎年200万人近くの高齢者が75歳以上の後期高齢者になる。そうなると、それまで三割負担だった医療費が、何と1割になる。毎年約2兆円ずつ医療費が増えていく。

しかし既に収入の5割を超えている現役世代の負担をこれ以上引き上げるのは実質不可能だろう。そうなると、この減少する2割の労働人口不足分をカバーするためには、外国人の移民が必要になる。しかし様々な理由で、十分な移民を確保することも現実的には難しいだろう。

結論としては、今後20年と言わず10年程度で日本の特に公的医療制度は、何らかの破綻を迎えることは避けられないだろう。

仮に制度自体は存続できても、例えば「救急車を呼んでも何時間も来ない」、「病院が満員で何時間どころか何日も待たされる」、「手術の順番がなかなか回ってこない、その間に病状が悪化して亡くなってしまう」などの医療破綻が各地で頻発するかもしれない。
また診療報酬や薬価が大幅に引き上げられた結果、多くの医師が保険外の自由診療に移行してしまい、公的な保険医療を担う医師自体が足りなくなる、製薬会社も利益が出ない日本の医療から撤退してしまい、必要な薬が手に入らない、などの深刻な事態の発生が予想される。

実際に日本より一足先に公的医療保険が破綻状態になっている英国では、予算不足から手術が延期されたり、医師が不足して診察の予約がとれないなどは日常茶飯事だ。
そして中の上以上の家庭のほとんどは、「プライベート」と呼ばれる民間の保険に公的医療保険とは別に加入している。
またイギリス人医師の多くは、公的病院である程度経験を積むと、自費治療中心の”プライベート”と呼ばれる病院に移ってしまう。
そのため公的病院の医師の多くが、インドやアフリカからの移民の医師になっているのが実情だ。

進次郎マジック

通常の選挙を通じた民主主義プロセスでは、解決不可能な問題を処理するためには、「ある種の独裁」が必要になる。
ちょうどコロナ渦の最中に、共産党の独裁国家である中国が、世界で最も効果的に(やり過ぎ?)ロックダウンやPCR検査を実施できたのと同じようにだ。
そのために必要なのが、「ある種のトリック」のような政治手法だろう。

敢えて言うと「国民の大半はバカだ」難しい社会保障の問題など理解不能だろう。
ましてや今や有権者の半分を占める高齢者のうち、何割が正常な判断が出来るか怪しいものだ。しかし民主主義では、彼ら全員に投票権がある。
そこで登場するのが、イケメン進次郎マジックだ。
「バカな」高齢者を、孫のようなイケメンの進次郎が何だかわからないが、頑張っている!という方向で騙し、その間に必要な改革を実行してしまうというものだ。

進次郎の次はない

一部では、立憲民主党に政権交代できれば、必要な改革ができると「夢想」している国民もいるようだ。しかし繰り返すが、有権者の半分を高齢者が占める現状では、意味のある改革の実行は現実的には不可能だろう。

また仮に進次郎が自民党総裁、そして総理大臣に就任したとしても、チャンスは一度きりだろう。
結局、政治家のモチベーションは選挙に当選することだ。仮にイケメン進次郎でも、総理に就任してしまえば、その後はボロがでるのは避けられない。
そして一度人気に陰りが出れば、自民党内の進次郎支持は一気に萎むだろう。そうなると改革の二度目のチャンスはない。

あとは保守分裂と小党乱立の混乱の中で、時間だけが浪費されていき、最後に日本の破綻を迎えることになるかもしれない。





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