いちごを育てる 育てる喜び
いちごを育てる
花が好きな人は多い。
でも、花を育てるのが好きな人はそんなに多くはない。
花を育てながらる見えてくるものは、買った花を見ているだけでは味わえない喜びを見つけることが出来る。
花だけではない、野菜や果物も同じように育てる喜びを与えてくれる。
今は何でも即席物が重宝にされ、時短できると節約になったと喜ぶ。
こんな時代に、時間を気にすること無く、庭いじりに勤しむことが出来るのは、大変な贅沢かもしれない。
一昨年から、庭の片隅でいちごを育ててきた。
その、いちごについて話してみたい。
いちごは果物なのか野菜なのか
園芸学では、木の実は果物、草の実は野菜と分類。
草の実であるいちごは野菜。
ただし、実際は果物と同じように食べられているものは「果実的野菜」と呼ばれる。
インターネットで調べたら、以上のようなことが分かった。
いちごが、野菜だと感じるのは、西洋ではいちごのサラダがポピュラーだからだ。
いちごのイメージは、現代では「甘い」という味のイメージが強い。
しかし、本来の栽培方法の路地で育てたいちごは酸味が強く、野菜と言う味わいなのだ。
このギャップに、本来のいちごの味は左右される。
甘さに感動していると味の感が鈍ってくるような気がする
おいしい食べ物は、柔らかく、甘く、いい匂いがするらしい。
野菜も、例外にもれず、甘くて柔らかくていい匂いのするものが増えてきた。
特に、甘さは重要みたいだ。
店先の野菜の説明に、糖度が書いてあった。
トマトもまるでフルーツ並みの糖度になった。
いちごも同じ。
酸味のあるいちごは安いいちごのようだ。
酸味のあるりんごは、今流行らなくて、糖度の高いりんごばかりが並んでいる。
酸味や苦味は、消費者の敵のようだ。
味ってなんだろうか。
甘さだけが突出し続けたら、味のバラエティーはなくなってしまう。
甘くないと、食べないようになるのは怖い。
いちごも色々ないちごがある。
酸味があってもいちごはいちごだ。
不揃いの小さくて不格好のいちごもいちごだ。
どんないちごもまるごといちご。
贔屓目無しで味わってあげたい。
枯れかけていたいちご
一昨年から我が家の庭で栽培しているいちごの苗は、
隣接する娘夫婦の子どもたちが、育てていたいちごのランナー(つる性の茎)である。
孫二人が、2年位プランターで育てきた
いちごを食べるのは好きだが、水やりを忘れてばかりで、大部分が枯れてしまった。
その枯れかけた苗が可愛そうで、ランナーから出た小さな株を我が家へ移植したのである。
その数センチの苗に、昨年は春と秋に小さないちごの実をつけるようになった。
そして、昨年の秋、庭に畳半畳ほどの木枠を作り、たっぷり自家製の腐葉土を入れて土壌作り。
その中へ育った苗を株分けして移植した。
冬場は、ビニールをかけて、霜よけに気を配った。
気がついたら、元気に冬を越していた。
そして、霜が降りなくなると、どんどん葉が茂り、4月には小さな実が葉の陰から覗いて見えるようになった。
5月に入ると、連日大きな実を5個以上収穫できるようになった。
朝食のデザートに妻と分け合って、ヨーグルトと一緒に味わっている。
葉はどんどん広がり、ランナーもあっちこっちに伸びて元気だ。
毎日の手入れは気配りだけ
野菜や花作りに大切なことは、毎日様子を見ることだろう。
何事がなくても、一日に一回は様子を見る。
気がついたら、小さな雑草を抜いたり、黄ばんだ葉っぱを取り除いたり、
いちごの実が地面に着かないようにする。
毎日見ていると、小さな変化に気がつく。
こういう時間の使い方は、退職をしてのんきに暮らしている老人の特権だろう。
時間がたっぷりなければ、出来ないことは多い。
時短や即席の世界からは、遠い世界の出来事かもしれない。
農家の人のようにプロである必要がないのも、気が楽である。
必要なのは、毎日見て手を掛けるだけ。
誰でも時間さえあれば出来ることだ。
我が家の路地いちごは無農薬
店で売っているいちごは、きれいで真っ赤だ。
低農薬野菜と表示にあると、好感が持てるし値段もそれなりに高い。
我が家の野菜は無農薬だが、みかけはまあまあ以下。
だから家族に、人気はない。
でも、自分で作った野菜は一番信用が出来る。
人は自分で「作る人」になったほうが良い。
自分で作る人は、農薬を全く使わないで、立派な野菜を作ることができると思っていない。
だから、スパーで立派な野菜を見ると、結構農薬を使っていると分かる。
そんなこんなで、我が家のいちごは自慢である。
無農薬と言うだけで美味しく感じる。
糖度は低いけれど、安全が保証されている。
これほど、信用のおけるものはない。
日々の生活の中で、季節を知る
いちごを含め、野菜作りは季節を知ることが一番だ。
今、モロヘイヤの苗を育てている。
モロヘイヤの苗を畑に直植えする日が待ち遠しい。
夏野菜の王様モロヘイヤは、毎日食べても飽きることがない。
夏はやっぱりモロヘイヤだ。
今年は、きゅうりとナスとトマトもどうするか思案中だ。
季節のタイミングを逃したら、もう種を撒いても遅い。
喜びを与えてくれるいちごの実
いちごの実は小さい。
しかし、毎日朝の食卓に、真っ赤ないちごも実が載っていると、
豊かな気分になる。
眼にしているだけで、食卓が華やぐ。
言ってみれば、食卓のワンポイント。
作りがいのあるいちごだ。
口に入れる時、思わず笑みが溢れる。
初夏の匂いがする。
種がぷちぷちする。
甘さが口の中に転がる。
喜びが口の中に広がる。
レスキューしたいちごの苗が、恩返しをしてくれているような気がした。
旗じいは、いちごが好き。
ただし、自分で作ったいちご。
酸いも甘いも一緒のいちごが良い。
人生と同じだから。
最後まで読んでくれてありがとう。
春を楽しんでいるかい。