業務フロー図で実現する効果的な業務改善
前回は、業務フロー図作成の基本的な考え方についてお話ししました。今回は、当社で実際に行った改善事例をもとに、業務フロー図活用の実践についてご紹介します。
シンプル・スモールスタートの実践
業務フロー図の作成では「シンプルで効果の見えやすい業務から始める」ことが重要です。当社では、この考えに基づき、新規取引先の承認プロセスの改善に着手しました。
この業務を選んだ理由は明確です。日常的に発生する業務であり、かつ改善効果が数値として測定しやすいためです。また、営業部門と管理部門の双方に関わる業務であることから、全社的な改善効果が期待できると考えました。
具体的な改善プロセス
まず、現状の業務の流れを見える化することから始めました。これにより、申請から承認までのプロセスにおける無駄や重複が明確になりました。特に目立ったのは、似たような申請項目があったり、承認者の多さによる処理時間の長期化でした。
業務フロー図を作成し現状を分析した結果、申請項目の見直しと承認者の適正化という二つの主要な改善ポイントが浮かび上がりました。これらの改善を実施することで、申請から承認までの所要時間を1週間から日へと短縮することができました。
業務フロー図の構築方法
業務フロー図の作成では、まず現場での観察とヒアリングを徹底的に行いました。特に注意したのは、「実際の業務の流れ」と「規定された手順」の違いを明確にすることです。
現場では、正式な手順とは異なる「実務的な工夫」が行われていることがよくあります。これらの工夫の中には、業務効率を高める重要なヒントが隠されています。当社の場合、営業担当者が事前に経理部門に相談するという非公式なステップが、スムーズな承認につながっていることが分かりました。
フロー図の作成では、以下の点に特に注意を払いました:
作業の順序と依存関係の明確化
判断基準の具体化
例外処理の整理
関係部署間の情報伝達方法の可視化
成功のポイント
この改善が成功した最大の要因は、前回お伝えした「現場主導」のアプローチを実践できたことです。業務フロー図の作成から改善案の策定まで、実際に業務を行っている担当者の声を重視しました。
また、「シンプル化」という視点も重要でした。複雑な業務フローを単純に可視化するだけでなく、各ステップの必要性を徹底的に見直しました。「この工程は本当に必要か?」「この承認は省略できないか?」という問いを常に投げかけ続けました。
継続的な改善へ
改善後も定期的なレビューと調整を行っています。業務フローは、一度改善して終わりではありません。運用しながら新たな課題が見つかることもあります。そのため、定期的な見直しの機会を設け、継続的な改善を心がけています。
この成功体験を活かし、現在は他の業務プロセスの改善にも着手しています。特に、定型的な承認業務や申請業務については、同様のアプローチで改善を進めています。
次回予告
次回は、この改善活動を通じて得られた具体的なノウハウと、業務フロー図を活用した改善活動の進め方について、さらに詳しくお話ししていく予定です。特に、現場の協力を得ながら、どのように改善を進めていけばよいのか、実践的なポイントをご紹介したいと思います。
このように、業務フロー図は単なる「図を描く」ツールではなく、実践的な業務改善を実現するための強力な武器となります。ぜひ、皆さんの職場でも、まずはシンプルな業務から、業務フロー図を活用した改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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