お店を営業したことで与えた”勇気”与えられた”勇気”
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結果から申しますと、昨夜は計6名様がご来店されました。普段の金曜日の約10分の1の入客数。「閉めても良かったんじゃないの?」という声も内輪からも外側からも聞こえてきましたが、「開けて良かった」と僕は一夜経ったいま、非常に強く感じています。
いらっしゃった6人のうち常連様&そのお連れ様が4名、残り2名は初来店。「よくもまあ開けたね」なんてちゃかしてくるお客様もいて、「ま、暇なんで」くらいに冗談を交わす、こんな何気ない会話に「何気ない日常」を提供できたこと、それがお店を開けたことで与えることができた時間。
「久々の3連休でしたがこの状況。やっててくれて良かったです」
ご多忙を極めているお客様の久々の連休。サッカーの試合も中止になり、ライフラインもまだまだ不安定な中、一軒のバーは灯りがついていたんです。
その方にとっての昨夜の「何気ない日常」は僕たちと近況報告を取り合ったり、いつも飲んでるスコッチウイスキーを丸く削った氷に注ぐことだったり。お店を開けたことで与えることができた時間。
深夜深く、午前1時頃、ひとりの叔父様がいらっしゃいました。少し疲れたような顔をして、「こんなお洒落なバーであれなんですが、ビールってありますか?」と言葉を発しました。
「もちろんございます。ビールでよろしいですか?」
「はい。あ、あと灰皿もください」
「かしこまりました」
ビールをご提供して何度かグラスを口につけたのち、その叔父様は話し始めました。
「いやあ、こうやってまだ街が灯りを取り戻していない中、営業されているのを見てとても勇気をもらいました」
「ほんとにありがたいですね。疲れてはいるのですがちょっと飲みたいなと思いまして寄ってしまいました」
ちょっと会話を交わしてわかったこと、それは叔父様がインフラ整備のお仕事をされていること、夜通し北海道のライフライン回復のために頑張って働いてくれていたことでした。
自分が携わっている仕事、この状況において尽力をつくして復旧させた街のライフラインをさっそく利用してお店を開けている、そのことが嬉しかったみたいで、何度も「ありがとうございます」「ありがとうございます」と僕たちに向けておっしゃってました。
逆に僕たちの方が「こちらこそありがとうございます!!」って感じですし、道民すべてが同じことを感じ、そして感謝を伝えたいと思っているはずです。
結果、お店を開けていて来てくださった方は6名様でした。申し訳ないですが「たったの6名様」だったんです。でも、この状況で僕の店に来て時間を過ごしてくれたこと、そして、その時間が皆様の何かしらの勇気になったり力になってくれたのであれば、開ける前の「今日は閉めてもいいんじゃない?」なんてことを思ってた自分に唾を吐きたい。
そんな悲しい出来事の裏側であった嬉しい出来事。