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[コラムに及ばない思考記文-05]人が人であるための本来の豊かさを考えたとき、必要な労働者と不必要な労働者という見方は絶対に成立しない

※2022年10月に一部追記・更新済み この記事は5分程度で読めます。

こんにちは。真夏でもTシャツ1枚でさらっと出かけるのではなく、どうしてもレイヤードせずにはいられないません。暑い季節はとっても苦手な恵比寿のフリーランス美容師・ナカセコミユキです。重ね着してしまうのは、グランジ世代の性なのだそうです(同世代の友人談)。
夏のおしゃれは毎年迷走して正解が出ないまま過ぎ、攻略できた経験はありません。基本的に1年を通して全身真っ黒コーデなので、集熱効果は高めです。

最近メディアでよく耳にする“エッセンシャルワーカー”とは?

ここ最近、エッセンシャルワーカー(Essential Worker)という言葉が、改めて注目されています。ご存じの方も多いと思いますが、これはコロナ禍により、リモートワークやテレワークが急激に進んだことが背景にあるようです。

この、エッセンシャルワーカーという言葉に多くの疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。そして、その中には多少なりと傷ついた方もいるはずです。それは、このエッセンシャルワーカーという言葉自体が悪いのではなく、メディアの伝え方が少し雑であったことと、受け取る側が本来の意味を知ろうと掘り下げないことから生まれた悲劇とも言えます。

エッセンシャルワーカーの定義

エッセンシャルワーカーという言葉にまつわる記事をいろいろ読んでいると、この渦中で注目されたことにより、これまでの認識とは少し異なった意味に置き換わってきたようです。現在は[生活に不可欠な仕事(労働者)=社会インフラに関連した職業・仕事]に従事している方たちの総称であり感謝や敬意を込めてこのように呼ぶようになったんだとか。

つまり、職種で線が引ける表現ではないことを知っておかなければ、正しい認識は行えません。従来は、一般的にオフィスワークの可能/不可能、テレワークの可能/不可能という分類方法を基準にしていたようです。
しかし“社会インフラに関連した仕事”の中には、もちろんオフィスワークでも社会インフラを支えるお仕事に就いてらっしゃる方は多くいます。エンジニアさんなんかがそうですよね。

美容師の社会的な立ち位置

エッセンシャルワーカーに含まれる具体的な職種として、医療・公共交通機関・スーパー・ドラッグストア・配達などがよく挙げられています。
しかし“生活を営む上で欠かせない”という理由で自粛対象にならなかった理美容業はというと、エッセンシャルワーカーに含まれないものとされているので不思議なのです。どこかで整合性が取れるのかしら?と、かなり多角的に考えてみましたが、やはりどこからどう紐を解いてみても理屈が「おかしいのです。

私の知能不足なのでしょうきっと‥。

同調圧力の息苦しさ

無意識に同調圧力に流されてしまいがちな日本の場合、あれだけ外出の自粛を朝・昼・晩と呼び掛けられ、会社からの禁止令も出ている中で、普段通りに美容室へ足を運ぶでしょうか?
途中、生活に必要だから美容室には行ってもいいんだと、誰か偉い人がおっしゃっていましたが、誰がどう考えても矛盾でしかありませんでした。同調圧力の中で育った日本人は、他人の目を気にしたり、もしも外出して罹患してしまったら‥というリスクをすぐに恐れます。

足並みを乱さないことを良しとされてきた日本人は、無意識に人と同じ行動をとることで安心を覚えます。あれだけの空気になったら、怖くて引きこもってしまって当たり前なのです。そして、普段から同調圧力の誘導に流されにくい人たちは、コミュニケーションについて深く学ぶ機会にもなったはずです。

言葉や文字は人を深く傷つける

美容師の場合、本来はエッセンシャルワーカーなので国家試験の取得が必要とされています。浅くても、感染学や衛生法規などについて学び、学科試験に合格しなければ実技の試験を受ける資格は与えられません。
今回のケースにおいて理美容は、短期的には必要ない(セルフカットなどで代替えできる)ため、エッセンシャルワーカーに該当しないと書いた記事も見かけました。

美容師という仕事、美容室という場だけでなく、どの職種も長期的な継続を前提に成り立っているはずだし、そもそも人類とウイルスの戦いは何年かかかってしまうものであって、はい終了!とはいきません。
文章としては、うまいことまとめたなと思うけど、もう少し違う表現をしてほしかったな(私がHSPなので過剰に反応してしまうだけ‥笑)。

社会全体がさまざまな仕事に就く一人ひとりを尊重して敬意を払うことを忘れないように、まずは自分から身の周りのさまざまな出会いに感謝して、憧れて生きていこうと誓ったのでした(意義ある学び)。

あの時期だからこそ見て取れた意識の変化

自粛要請が発令され、暗黒期間に突入した2020年4月、お店は開店休業状態が続いていました。この状況で新たに知れることもあるはずと、美容室に対して抱いている“今の気持ち”を、ちょこちょこリサーチしていました。そうすると、ある意識の変化が見て取れたのです。

美容室に行く本当の意味とその時間を費やす価値

最初の頃は『いま美容室行ったって誰もほめてくれないし見てくれない』『髪なんて切らなくたって死なない!』という、わりと感情強めの言葉が多く行き交っていて、おしゃれ目的で行く美容室なのに命落とすようなリスク犯してどうするの?みたいな意見が目立っていましたし、実際に多く拡散されていました。
しばらくすると『プリンが嫌だ、早くカラー行きたい』『既に耐えられないけどもうちょっとの我慢』といったように、身だしなみを気にする意見が増えてきたように感じました。

5月に入り、急に暑くなったり湿度が上がったりしたことで、今度は物理的な影響が出はじめます『髪が広がって収集つかない』『リモート終わる前に美容室行かないとどうにもならない』と、ふだんならば美容室に行けば容易に解消できるのに、行けないことで生じるストレスを解消したいという声が多くなりました。
そしてGW明けになると『もう限界だから美容室行ってくる!』『不安だったけど美容室行って良かった!』それは例えるなら、息をひそめ続けて胸の奥深くに溜まっていた苦しい何かを、心置きなく吐き出したような解放感、心の叫びのようにも感じられたのでした。

単なる技術屋さんではない!たくさんの要素で構成されている美容室

これまでの日常生活では、気分を変えたいタイミングで気軽に美容室へ行けたかもしれません。また、人によっては、できるだけ我慢して節約したい出費のひとつなのかもしれません。確かに、髪が伸びすぎてしまっても、少し生活に不自由さが生じる程度で生命の維持には関係ないのが事実です。

SNSから見て取れた気持ちの移り変わり

安定した日常生活を送れている頃は、その心の余裕から承認欲求を満たすためのひとつとしていた部分もあったでしょう。ただ、誰に見てもらえなくても、褒めてくれる人がいなくても、鏡に映る自分の姿が理想から程遠ければ、ストレスとなって蓄積していきます。人が社会生活を送るうえで必要とされるのが身だしなみというハードルです。

美容師の仕事内容を分解してみると、意外と複雑かもしれません。まず、衣食住に属していないだけでその事実がうかがい知れます。美容室は髪に対するさまざまなモヤモヤを、一気に解消できる場です。それを実現するさまざまな要素があの数時間の中で展開されています。
精神衛生を維持するためにも、定期的な美容室でのデトックスは大切だと考えているのです。

さまざまなモノであふれているこの時代に生きながら、そぎ落とされた生活の中で、美容師の存在意義を多角的に深く考えた貴重な時間でした。

まとめ

いつまで新型と呼ばれるのか分からないこのウイルスですが、過去の例をざっと見てもこの先5年前後はマスクありきのヘアスタイル提案が続きそうな気がしてます。マスクありとマスクなしでは、似合うポイントもバランスのいい位置も違ってきます。

もしかしたら、普段は挑戦しないような髪型もこの機会に試してみるといいかもしれません。新しい発見があるかもしれません!どうか恐れ過ぎず前向きにお過ごしくださいませ。

最後までお読みいただきありがとうございました。



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