にはま

映画についてつらつらと。やや洋画より。

にはま

映画についてつらつらと。やや洋画より。

最近の記事

テルマ&ルイーズ/女二人のバカンスからの逃避行

夫に支配され友人との旅行も言い出せないテルマと、ウェイトレスとして働くしっかりもののテルマ。 二人は久々のバカンスを満喫するため、ルイーズの運転する車で山荘に向かっていた。しかし、途中に立ち寄った店でテルマが男に襲われてしまう。そこに駆けつけたルイーズ。テルマの持ってきていた銃で男を威嚇し助けだすことができたけれども、男が侮蔑的な言葉を吐いたのが許せず、ルイーズはたまらず男を撃ち殺してしまった。 ここから二人のバカンスは、メキシコへの逃避行となった。 = とても好きな映

    • 夜莺(ナイチンゲール)/祖父と孫娘の田舎への旅

      夜莺(ナイチンゲール) お金持ちの両親の元で常に電子パッドを片手にする少女が、両親不在のために祖父に預けられることに。祖父は喜び、計画していたナイチンゲールを伴う郷里への旅に、少女を同伴させる。都会から離れ、道を間違え林を彷徨い、洞窟で眠る2人。反抗的だった少女はいつのまにか、祖父に心を開いていく。 面白かった! 質素な祖父の暮らしから始まって、すぐに都会の少女の暮らしに移るので、どうなるのだろうと興味が沸く。 都会に住む孫娘、少女レンシンの暮らしぶりがとにかく豪華!綺

      • 「草原の実験」雄大な自然の中で繰り返される生活と、

        広大な草原に、男と少女が暮らしている。井戸から水を組み、弁当はパンに具を挟んだのを布で包む。男とトラックで家を出て岐路で下ろされると、こんどは幼なじみが馬で少女を迎えにくる。その繰り返しの生活に、ある時、一人の青年が訪れて少女の写真を一枚撮った。 = 薄青い地面に白い羽毛。辿るようにゆっくりと上になぞっていくと、その先には椅子がある。そんな冒頭から話は始まる。この時点で好みの雰囲気だったけれど、それから先も雄大な自然を画面いっぱいに撮り、人を物を小さく撮る構図に、スクリー

        • 忠臣蔵 花の巻・雪の巻/殿の無念と47人の敵討ちと

          忠臣蔵 花の巻 雪の巻(1954年) 一枚のディスクで見られる。 花の巻では浅野のいたぶられる様から殿中での抜刀まで。雪の巻では赤穂浪士たちが潜伏し生活して討ち入りを果たすまで。 素晴らしかった! 吉良と浅野の悪と虐げられる構造の明瞭さ。あからさま過ぎるともいえるけど、物語としての映画のまとまりは頗るいい。加えて、赤穂浪士が47人であるということを意識してのカメラワーク。 中心となる大石内蔵助にポイントを当てつつも、集中しすぎていない。これは最後のシーンで、殿の墓前に本懐

          「十戒」モーゼが流されて拾われて海を割るまで

          デミル監督の「十戒」を見た。かの有名なモーゼのお話。エジプト王を脅かす者の誕生に出されたおふれから逃されるために、流されて、エジプト王の妹に拾われて大事に大事に育てられて、義兄と王座を争う。その合間に、奴隷と交流を持ち、自分の出自を知って葛藤して持っていたものを手放したりする。 映画がはじまってすぐに感嘆。彩が大層美しいこと!赤も青も緑も黄色も鮮やかで、エジプトの繁栄が映し出されてる。大規模な建築に貢物に出るわ出るわ金銀財宝に鳥。出演する人数も尋常じゃあない。何人?何百人?

          「十戒」モーゼが流されて拾われて海を割るまで

          機動警察パトレイバー/アニメ

          機動警察パトレイバーの地上波アニメを見終わった。 個性的な登場人物や、パトレイバーという現実には存在しない巨大な作業機械による特殊犯罪に対峙する警察官といった構図が面白かった。事件に駆けつける過程で、パトレイバーがどのような場所でどのように使われているのかもわかってくるから、世界観にも馴染みやすい。 それから、主人公の一人であるのあちゃんが、操縦するパトレイバーのアルフォンスへ注ぐ愛情を通して、アルフォンスがただの機械ではなく温度を持った生き物のようにも見えてくる。少しだ

          機動警察パトレイバー/アニメ

          「マレーナ」神様、あと数年だけあの人を守ってください

          イタリアに住む半ズボンの少年レナードが恋をしたのは、黒い髪を靡かせて、ヒールで街を歩く年上のマレーナだった。美しい彼女は町中の男から邪な目で見られ、町中の女からは嫉妬の噂で迎えられた。 映画は主人公の少年の視点で進む。だから少年から見るマレーナが全てで、噂の真偽はわからない。それでも、この街で生きるには美しすぎたのだなと思わせる。あの女は誰と関係があるとか下品だとか噂され、仕事を探しても見つからない。男の人は力になるといいつつも、職業の斡旋をするような力にはなれていないし、

          「マレーナ」神様、あと数年だけあの人を守ってください

          「アズールとアスマール」瞳の色が違うとしてもあなたたちはどちらも息子

          目を閉じて生きる世界にしか見つけられないものがあった。けれど目を開いた世界もとても美しかった。 === アズールは乳母として、アスマールは母としてジェナヌに育てられ、喧嘩をしながら日々を重ねていく二人。ジンの妖精の話をきくのも、妖精を助け出して結婚するのも自分だと言い張っては喧嘩をした。 けれど、アズールには優秀な家庭教師が必要だと父は言い、別れの挨拶も出来ず、三人は無情にも引き裂かれてしまう。月日はそのまま流れに流れ、別れ別れで青年になった二人を風習が、過去が、昔のよ

          「アズールとアスマール」瞳の色が違うとしてもあなたたちはどちらも息子

          「さらば、わが愛 覇王別姫」役者に生きた男。舞台の上でだけは愛される者でいられる

          芝居に行きることを決意した少年は美しい虞美人を演じながら、項羽に思いを募らせていく。なのにただ愛することも、戦争、革命に阻まれる。 === 遊郭ではもう育てられないと、遊女の母に劇団に連れて行かれるも、手を引かれる少年には指が一本多くあった。これではだめだと断られると、母は外に飛び出して、少年の指をナタで切り落とした。 (このシーン、最初に青くて暗い路地に、刀を研ぎますよ、という声が聞こえている。で、母が飛び出したあたりで、ああ!そうなるのか!と口元を押さえてしまった。

          「さらば、わが愛 覇王別姫」役者に生きた男。舞台の上でだけは愛される者でいられる

          「武蔵野夫人」誓うことの尊さ

          例え夫に裏切られても、真に愛する人が目の前で腕を広げても、正しく在らねばならない。そして誓って。誓こそが尊い。 === 戦中、家を焼かれて妻の実家である武蔵野の地に身を寄せる夫妻だが、妻の両親は終戦を待たずして続け様に亡くなってしまう。悲しみの中、妻はそれでも先祖の土地を守っていく決意を固める。 そんな折、従兄弟の青年が戦場から帰還した。妻は大層喜ぶも、夫はどうにも気乗りしない様子で、家に寝泊まりさせることも厭うしまつ。従兄弟のほうも、夫の貞操論に反発を覚え、客として席

          「武蔵野夫人」誓うことの尊さ

          「水の中のナイフ」子どもの大切なナイフは滑り落ちてしまった

          わがままな子どもと格好つけの大人の船遊び。見守る母親。巣立ち。 === 夫婦が車で走っていると、1人の青年が道路に立ちはだかり、男は苛立ちながらも車に乗せてやる。船着場に着いて別れるかと思いきや、男は青年をヨット遊びにもやや強引に加えることに。 ヨットで遊んだ経験はないし憧れもなかったけれど、見ているととても楽しそうに見えて来る不思議。男と女はテキパキと船を操り、色のない水の上を走る。漂う。寝そべる。なんて気持ちがいいのだろうと思わせる。 男と青年の力の差も程よい。船

          「水の中のナイフ」子どもの大切なナイフは滑り落ちてしまった

          「サタンタンゴ」男は悪魔か救世主が

          死んだはずの男、イリミターシュが帰ってきた。男は悪魔か救世主か。閉塞感漂う村人たちは、男を信じていいのだろうか。 === 年の瀬に映画館で、サタンタンゴを見た。約7時間の長い映画に、膝と首が痛くなった。映画館は老若男女いたけれど、やや男性が多かったかなと。まあ性別も年齢もさておき、これから7時間をともにするのだと思うと不思議な親近感が湧いていた。 ストーリーは12章から成って、前半6章、後半6章で分けられる。 前半の6章は個性的な登場人物たちの視点を変えて、大体同じ時

          「サタンタンゴ」男は悪魔か救世主が

          映画についてつらつらと

          はじめまして。にはまです。 見た映画の備忘録として、それから誰かと何かを共有できればなという思いからnoteをはじめました。 私の映画の見方としては、ワンシーンでも強烈に印象に残ってあとあとまで思い出すことがあれば◎というスタンス。 例えば、タルコフスキーの「ノスタルジア」。ストーリー自体をよく理解できたというわけではなくても、いくつも記憶に残るシーンがあった。冒頭の協会で腹から飛び立つ数十の鳥。広場に固まる人と演説する男。とても好き。 そんなわけで、考察や評論ではな

          映画についてつらつらと