終身現役、最前線で攻める闘将を悼む
大好きな社長とお別れしてまいりました。
83歳、生涯現役の社長でした。最後にゆっくりとお話したのは、二週間ほど前のこと。不動産の決済を終えて、喫茶店でコーヒーを飲みながら与太を言い合っていました。前日も、元気に会社でお仕事をされていました。
急逝のおしらせです。
お通夜に行ってまいりましたが、まだ実感がありません。また、電話がかかってくるのではないかと、そんな気がします。
今の私があるのは、社長のおかげです。
私が司法書士事務所を開業して間もない頃、仕事がなくて連日のように近所を挨拶して回っていました。そこは地元では誰もが知る不動産屋さんです。どこを見渡してもその会社の管理や売物件の看板が立っています。当然、出入りしている司法書士はいくらでもいるだろうと思いましたが、飛び込んでみたところ、お話を聞いてくださったのがはじまりです。
「いまつきあっている司法書士はいるけど、愛想がなくて辛気臭い。若くてイキのいい、明るい司法書士がいればと思っていた。これから頼むわ。」
どこへ出かけても、社長、社長と声をかけられる人柄です。地元の名士ですから、地主さんをはじめとしてさまざまな人たちが店を訪れます。なにかあるごとに、相談に報告に来られます。そこへ持ち込まれる相談は、多種多様なものです。私にできることがあればと、お客さんの相談を率先して引き受けました。難しい事件もいっしょにいくつも解決しました。おかげさまで、困難をなんとかする地力をつけることができました。
出会ってかれこれ6年になります。
ずっと、私に登板の機会を与え続けてくださり、司法書士として仕事を続けられるきっかけをいただきました。
常に最前線で戦っていました。真っ先に現場に出て、お客さんのために行動されました。夏は、真っ黒になって管理物件の草むしりをしていました。街の美化に懸命でした。無理を言って迷惑をかけるお客さんや出来の悪い取引先には、烈火のごとく対峙する厳しさもありました。勉強熱心で、いつも新しい情報に接しておられました。誰からも信頼されて、手を抜くことなく真面目一筋に仕事をされてきた社長でした。
ついぞ、来年の話をしていたばかりです。まだまだやりたいことがたくさんあったでしょう。お迎えが早すぎやしませんか。残念です。
お世話になりました。長いことお疲れさまでした。安らかに。
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