「推進力増か抵抗力減か」を考える例え話
既存の企業で何かを変革したり、新しいことを始めたりすると、必ずと言っていいほど、新しい方向に向かうことの妨げとなる事柄が生じます。そのことを前に進もうとする船で例えることがあります。
ある船(企業の例えです)の船長(変革や新規事業を推進したい経営者を例えたものです)は今までの進路での向かう先には明るい未来は待っていないと考え、舵を切り船の進路を変えようとします。しかし必ずと言っていいほど現れるのが、その抵抗となる事柄です。船が前に進むための妨げとなる、船体から飛び出た木の板に例えられます。そのとき、前向きで一生懸命な船長であるほど、スクリューをより勢いよく回して船を前進させようとします。しかし、船体から飛び出た木の板はスクリューの回転が増すほど、船が前に進むのを邪魔する働きを増してしまいます。より多くの水がその木の板にぶつかるからです。
その時、船長か、船長を補佐する副船長が行うべきは、木の板を取り除くことです。木の板を取り除く作業をしている間はスクリューを回すわけにはいきませんので、無駄に時間が過ぎてしまうように感じるかもしれません。しかし、木の板がある限りはどんなにスクリューを回しても前にはなかなか進みません。急がば回れで、木の板を取り除くことを先に行うべきです。
木の板を取り除く、というのは抵抗力になってしまっている既存の仕組みを改めたり、本人が意図しているか意図していないかに関わらず抵抗勢力になってしまっているメンバーに行動変容をしてもらうか、といったことを意味します。言うことを聞かないメンバーを辞めさせることとはイコールではありません。それは最後の手段、伝家の宝刀であり、伝家の宝刀は軽々しく抜いてはいけません。でも、伝家の宝刀を持っていることを忘れてもいけません。
ところで、船長は意外と飛び出た木の板の存在には気が付かないか、気が付いていたとしてもそれを軽視してしまう傾向があることが少なくありません。VCや経営コンサルタントは、飛び出た木の板が船の進行を妨げることがある、ということは知っていますが、具体的なその船でどれが飛び出た板なのか、が分からないことがあります。そういうときには上記の例のような副船長、つまりはナンバー2がいると良いのかもしれません。
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