子育て情報メディアのUX設計~前編~
こんにちは。KIDSNA STYLEのデザインを担当するseiichiroです。
インハウスのデザイナーとして、プロダクトの改善を日々進めているのですが、その中でも今回は、子育て情報メディアにおいてUX設計をどのように進めているのかについてお話をしたいと思います。
なお、同様の手法を姉妹サービスの「KIDSNAシッター」でも行っているので、ぜひこちらの記事も見ていただければと思います。
01.なぜUX設計を行うのか
まず前提として、UX改善はプロダクトのダメなところを列挙して、ただ直すだけでは根本的な解決にはなりません。
ユーザーがサービスを使った際の一連の体験を設計することが重要であるため、改修に関わるメンバーがユーザーの気持ちを理解し、どんな体験を提供することが価値に繋がるのかを考えていく必要があります。
そこで、プロダクト開発に携わるメンバーを集めたワークショップを行い、KIDSNA STYLEを使うユーザーの気持ちを理解した上で、提供価値を仮説立ててみることにしました。
02.事前準備①:ユーザーの調査
ワークショップを行う前の準備として、まずはユーザーについて知るために、子どもや親の年齢などといった属性や、関心のあるテーマや教育分野などを収集する必要があります。
KIDSNA STYLEでは、定期的にユーザー向けの匿名アンケートを実施しているため、そのアンケート結果からデータを収集したり、社内にいるユーザー(子育てをしている社員)にも子育ての価値観や悩みなどをヒアリングすることで、ユーザーの情報を集めることができました。
03.事前準備②:ペルソナの策定
ユーザーの情報が集まったら、次に属性ごとの分類を行います。
KIDSNA STYLEの場合は、専業主婦の家庭と共働きの家庭の二つに大きく分類ができ、加えて世帯年収においても800万円前後と1,200万円前後に分類ができました。
また、家族との過ごし方についても違いがあることがわかったため、それらの情報を基に以下の4つのペルソナを策定してみました。
04.ワークショップ①:ユーザーの価値分析
ユーザー情報とペルソナの準備ができたら、実際にワークショップを行っていきます。
ワークショップは大きく3つに分けて実施しました。
ユーザー情報に基づき、ユーザーの価値観を深掘りする
ペルソナごとに、ユーザーの行動を深掘りする
ユーザーの行動に対して、何を提供できるのかを考える
まずは、ユーザーの価値観を深掘りするために、事前準備①で集めた「ユーザー情報のデータ」を参加者にインプットし、それを踏まえてKIDSNA STYLEがどう利用されているのかイメージを膨らませてもらいます。
その後、以下の3つの観点に沿った質問に対して、各自で思ったことを付箋に書いてもらいます。
ある程度付箋が集まったら、自分が出した付箋に対して口頭でも補足をしてもらうのですが、例えば「なぜKIDSNA STYLEを使いたいと思うでしょうか?」という質問に対して、「漫画が面白いから」や「専門家の意見がみれて信頼できるから」などの意見があり、参加者の間で意見を交わしたことでユーザーに対してより理解を深めたり共通認識を持つことができました。
05.ワークショップ②:ユーザー行動の深掘り
次に、事前準備で作成したペルソナを使い、ペルソナごとにKIDSNA STYLEで情報収集をする際にどういった行動をとるのかを考えてもらい、付箋に書き出していきました。
付箋が集まったら、ここでも同様に口頭でも補足をしてもらいます。
当然ではありますが、ペルソナごとで行動が違うためさまざまな意見が出てきました。ここで見えた傾向としては、共働き家庭だと未来への投資や自分の時間がほしいといった欲求が多く、専業主婦の家庭の場合はママ友との関係構築やお出かけ情報が知りたいといった欲求が多いことがわかりました。
06.ワークショップ③:ユーザーへの提供価値を考える
次に、ペルソナごとに出ている欲求に対して、KIDSNA STYLEがどんな機能や仕組みを提供すると、どんな効果を実現できるのかを考えていきます。
ここでは、実現可能な機能なのかどうかは一旦無視してざっくばらんにアイデアを出していきます。
参加者全員の付箋が集まると、黄緑の付箋の「機能・仕組み」についてはペルソナごとに以下のようなアイデアが集まりました。
ここで出たアイデアは、後のカスタマージャーニーマップを作る際の参考としても使います。
また、オレンジの付箋の「どんな効果を実現できるのか」については、ユーザーへの提供価値の内容になるので、ワークショップ後の「提供価値のグルーピング」で整理を行います。
07.ワークショップ後:提供価値のグルーピング
ワークショップにおいてペルソナごとに洗い出した提供価値を、似たもの同士を集めてグループ化して赤い付箋でタイトルをつけます。
これにより、違うペルソナ同士でも共通点が見えてきたり、本質的な価値を見出すことができます。
グループ化したら、その中でも特に該当数の多かった価値とその傾向をまとめてみます。今回は以下のような提供価値を見つけることができました。
08.今後の取り組み
ここまで、ユーザーに提供できる価値を考えるワークショップについてお話してきましたが、この取り組みを行ったことでプロダクト開発に関わるメンバーの間でユーザーに対しての理解がより深まったと思います。
その一方で、事業の成長につなげるためにはユーザーをより細かく分類し、インサイトを深ぼっていくことの重要性も課題として見えてきたので、今後は「インサイトをどのように深ぼってプロダクトの改善に繋げていくのか」についても詳しくお話しできればと思います。
また、KIDSNA STYLEの取り組みついては、こちらの記事も見ていただけるとより弊社の取り組みを理解していただけるかと思います。
さいごに
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