トマムとの出会い
1.はじめに
4月早々に、私達夫婦がトマムのリピーターになった理由を記事にしました。
今回は、トマムとの最初の出会いについて記させてもらえればと思います。
初めてトマムに行ったのは、2017年6月29日(木)から7月2日(日)の旅行の二日目でした。前の記事で書いた、今の私達の旅の仕方とは、この旅行は3点違っています。
空路を羽田ー帯広の往復にしている
旅行日程が3泊4日
北海道での宿泊の最後をトマムにしていない
このあたりの個人的な事情を説明しても、あまり面白くないと思います。
ただ、トマムへ繰り返し行っているうちに、なるべくコンパクトに旅行するパターンに落ち着いたのかなと考えています。
2.羽田での前泊
北海道への旅行は2014年から始めてますので、2017年は4回目になると思います。この頃はまだ旅行のパターンが決まっておらず、旅行の度にどこの空港からフライトして北海道のどの空港に降りるのか悩んでいました。特に、中部国際空港(セントレア)の駐車場料金が思いのほか安いということを知らなかったため、電車で空港まで行くことしか考えていませんでした。
それなので、電車の動いている時間しか空港に向かうことができず、この旅行では仕事を半日で切り上げ、急いで東京行きの新幹線に乗って、羽田空港の近くで宿泊をしました。
京浜急行線 穴守稲荷駅の”ホテルマイステイズ羽田”に泊まりました。白を基調としたお洒落なホテルでした。
翌朝にホテルからバスで羽田の国内線ターミナルまで送ってもらい、7時40分出発の日本航空機で帯広空港を目指しました。
3.帯広での食べ歩き(実際はレンタカーで移動)
順調なフライトで9時30分には無事に到着しました。預かり荷物を受け取って、地図を見ながらシラカバ並木を歩いてレンタカー屋さんまで行きました。後で知ったのですが、帯広空港のターミナルからお迎えのバスがあったようです。でも、北海道の空気を一杯に吸って歩けたので、それほど後悔はしないですみました。
レンタカーを借りて帯広市街を目指しました。運転は、帯広市民だった妻に任せました。最初に行ったのは幸福駅で、電車の中にある駅員のハメ絵に収まって写真をとりました。ここは私のリクエストだったのですが、次からは妻の思い出の場所ということで、アイスクリーム屋さんの"ウエモンズハート"、タイ焼き屋の"たいやき工房"(本店)、パン屋さんの”フルート”と立て続けに回りました。たいやき工房は中身の入ってない皮だけのが面白く、美味しかったです。フルートはクイニーアマンが有名ということで買って帰りました。
4.初夏の然別湖
帯広市街で半日過ごした後は、2014年の初めての北海道旅行で行った然別湖に向かいました。十勝平野を一望できる扇ケ原展望台で小休止し、更に山道を走ると木々の間から湖がチラチラ見えてきました。
最初に来た時は真冬で湖は全面凍結していました。コタンという湖上の村が出来ていて、旅行者も湖上を歩いてイグルー(氷のドーム)を見学したりできました。
それが普通の(?)湖になっていて、遊覧船も浮いていたので、ちょっと違和感がありました。トマムにも行かないといけないので、ここでの滞在は短めと考えていたのですが、「乗るなら船出すよ」という船長さんの誘いがあったので、遊覧船に乗せてもらいました。
5.夕食時間に間に合うか
30分くらいの湖上ツアーを楽しみ、湖畔の喫茶店でジンジャーエールを飲んで、思いっきりのんびりと然別湖で過ごしてしまいました。トマムに向かい始めた時には午後3時はゆうに回っていたと思います。4時になっていたかもしれません…。
「早めにチェックインしたかったけれどね」などと言っていた時に突然!….夕食を午後5時30分に予約していたことを思い出しました。ナビの予想ではギリギリ間に合うということだったので、警察に捕まらない程度に車を急がせました。
木々の間を縫うような道を私が運転して、妻にはチェックインは夕食後になることをホテルに電話をしてもらい、とにかく5時30分に間に合うことを祈りながらトマムへ向かいました。
6.トマム到着
トマムI.C.入口の案内表示を左手に見たのが 5時頃で、なんとか予約に間に合いそうでホっとして、上トマムの交差点を右折しました。
そしてすぐにザ・タワーが見えました。
空いていた道だったので、極力ゆっくり走り、何枚も妻に写真を撮ってもらいました。あの時のドキドキ感は、今でも覚えています。
少し遡りますが、この時の旅行でトマムに泊まることを提案したのは妻でした。北海道に旅行するようになって数年間は、行先や宿泊先は元道民の妻に任せっきりにしていました。その妻は、"トマム"という地名にそれほどの馴染みはなく、ただ十勝に近い宿を探していた時に、たまたま見つけたそうです。そして「がっちりマンデー」という番組に出ていた星野佳路代表を二人で見ていたので、妻が「星野リゾートに泊ってみたい?」と私に尋ねてきて、「いいね、どこにあるの?」と私が聞き返したら、「トマム」という返事だったのです。
妻と違い、私は”トマム”という地名には、それなりの思い入れがありました。大学時代にバブル期を過ごした私にとって、トマムは高嶺の花どころか、手を伸ばそうとすることも許されないような、遠い世界の代名詞という感じでした。ゴルフ同様、リゾートという言葉の後には必ず「会員権」というステータスが付き物だった時代を過ごしました。私には全く縁の無いシステムでした。ですので、自分の妻が事も無げに「トマムだけどいい?」と言うのを耳にして、ああそうか、自分たちもトマムに泊まれる時代になったんだ…と、しみじみ思ったものです。
ですので、いつ頃だったのか雑誌で見た、あのザ・タワーを森の向こうに見つけた時には、本当に心臓バクバクの状態でした。職業上の表現をすれば、心拍数が平時よりも20回/分は増加した、あるいは収縮期血圧が150/ mmHgを越えたかもしれない….そんな感じだったと思います。
7.ビュッフェダイニング hal-ハル-
更に道を進んで星野リゾート トマムの入り口の看板を見つけてリゾート内に入りました。夕食の予約をしてある ”hal-ハル-” の場所は確認してあったので、迷わずに駐車場に車を停めることができました。時間は17時25分、なんとか遅れずに済みました。
受付を通って中に入り、壁のない開放的なフロアとガラス窓が印象的でした。ビュッフェスタイルで、手巻き寿司と雲海パフェをスタッフさんが作ってくれていたのは、よく覚えています。あと、デザートのフルーツポンチを妻が喜んでいたと思います。
席はスタッフの方が案内してくれます。窓際のカウンター席にしてくれたので景色が楽しめてラッキーだと思いながら食事をしていました。
ところが…窓に向かって左手に不思議な建造物があるのに気づきました。よく見てみると、低い塀の中に貯水槽のようなものが見えました。浄水場ではないだろうから、リゾートで使う水を貯めておくか、使用した水を処理するか、どちらにしても水の処理施設なのだろうと考えました。それにしては、ガラス張りの立方体があったりして、星野リゾートはああいう施設もスタイリッシュなんだなと、妙に感心してしまいました。でも、水の処理場を見ながらの食事もなんだかなぁ…と思っていたら、ウェディング姿のカップルがカメラマンやスタッフらしき人に付き添われて塀の奥へと行くのを目撃してしまいました。そういえば、ガラス製の立方体の中にあるコンクリートも十字架に見えなくもないし…あの建物は教会なのかと考えを改めました。
安藤忠雄の設計による"水の教会"であることは、食後にネットで調べて知りました。あのカップルを目撃しなかったら、ずっと水処理施設と誤解していたかもしれません。
8.リゾナーレトマムに到着
お腹も満たされて。再びエリア内の道を車で登っていきました。多分、ビレッジアルファへ迷いこんで、一度引き返して登り直したと思います。やっとのことで、リゾナーレトマムのエントランス前のロータリーまで来て、ドアマンの方から駐車場を教えてもらいました。「お荷物を預かります」との言葉で、あわてて菓子の袋や水筒を後部座席のリュックに詰めて、車のトランクからバッグを出して、妻にも降りてもらいました。その間ドアマンの女性は笑みをたやさずに待っていてくれました。
そういう経験を何度かしたので、レンタカーでトマムに行く時には、ホテルに着く前に、車内の荷物は整えておくようにしてます。菓子の袋を見られるのは、恥ずかしいので…汗)。ザ・タワーとファームとの間に広い駐車場があるので、ここでいったん車を停めて荷物整理をしてからリゾナーレに向かうのが便利だと思います。参考にならないかもしれませんが…。
私が駐車場からエントランスに入ってくる間に、妻がチェックインを手続きしてくれました。荷物と一緒にスタッフの方が客室へと案内してくれ、客室は1822号室でした。窓からザ・タワーが間近に見えたので、テンションが再び上がりました。
1~2年前にスタッフの方から教えてもらったのですが、リゾナーレトマムのノース棟の場合、部屋番号の下2桁が 22か23 の部屋ならザ・タワーが見えるそうです。
さんざん遊んで、たらふく食べた後ですので、その夜はぐっすり眠れました。
9.雲海テラスへ
翌朝は雲海を見るため4時には起きました。
エントランスで他の宿泊客の方々と3台のバスに分乗して、リゾートセンターに行きました。
この日は雲海は見えなかったですが、朝もやごしにトマムの景色が見えて幻想的でした。この時の雲海テラスは改装前で、少しこじんまりとしていて、カフェやゆうびん屋さんもテラスと同じフロアにあったと思います。
今年(2024年)はウィンターシーズンにも早朝にゴンドラに乗る機会がありました。その時の景色と比べていただければ、雰囲気の違いをわかってもらえるかもしれません。
上の写真を降りていけば"ドラゴンリッジ"というゲレンデになります。
夏はとても歩けませんが、雪が降ったとしても、そこから麓まで滑り降りられるというのが、今でも信じられません。次のシーズンに体験できると良いですが。
10.おわりに
ホテルに戻って朝食を"天空-SORA"で頂いてから、チェックアウトしました。この日は静内の"Eclipse"というホテルに泊まるため、もう一度十勝方面へ車を進めました。翌日は帯広空港から羽田へフライトするのですが、羽田から静岡県まで新幹線で帰らないといけないことを考えると、ちょっと無駄が多い旅だったかなと思わずにはおれません。そういう意味で、失敗というか反省点というか、改善が必要なところが多々あった旅ですが、とにかく楽しかったという一点で、救われたかなと考えております。
また妻とよく話すのですが、もしも然別湖からトマムへ急いだ時に、道を間違えたりして夕食の予約に間に合わなかったら、こんなにトマムに繰り返し行くようになったか定かではないです。やはり、時間を忘れて十勝で遊んでも夕食にちゃんと間に合ったから、あるいは、車内の菓子の袋やゴミをあわてて片付ける私達をリゾナーレのスタッフさんが優しく待ってくれていたから、そしてもしかしたら、早朝の雲海テラスが薄もやで穏やかだったから、「来年もトマムに行こう」と思ったのかもしれません。
そういう意味では、失敗しちゃったこと、思い通りにいかなかったことがあったからこそ、思い出深い、良い旅になったのかもしれません。
トマムには、私達のようなデコボコな旅をする者たちも迎えてくれる温かさが、あるような気がします。
私達がちょっと頑張れば手の出せる価格で、こんなに上質な旅行体験をさせてくれることに感謝し、感動を覚えております。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?