プロサイバネティクスとは?

はじめに


 世界で初めて“フィードバック機構”を提唱したのは、コンピューターの創始者ノーバート・ウィーナーの「サイバネティクス」である。
 平凡社「カラー生物百科(第4版)」ではこれを下のモデル図で表した。上から2番目にある制御装置は、下の制御対象との間にフィードバック(右線)を含む循環がある。環境(一番下)の変化(外乱値・左下の線)によって目的値通りの実現値(循環)を得られないと、プログラム(一番上)に従って調整しようとする。

 具体例としては上記解説の他、温度を一定に保つエアコンや体温を一定に保つホメオスタシス、速さを一定に保つ調速機、ウィーナーも挙げたマトに矢を射る等がある。
 しかし、制御できなくなる場合はどうやって安定を保とうとするだろうか? 上書では次の2つのモデル図でプログラムが修正されるとした。

 左の学習回路は制御装置から下にのびる矢印が多いように、トライを繰り返してプログラムを修正するのに対し、右の思考回路は右上の矢印が多いようにプログラムの修正そのものを本題とする。
 経済に例えれば、解説例の通り左の学習回路が初期資本主義経済で、右の思考回路が市場取引、すなわち後期資本主義経済である。もともと本書は西ドイツの本を訳しているため、これらは1989年のベルリンの壁崩壊までの西側世界の制御を表しており、1990年代からの世界、特に昨今の2020年以降には通じなくなってきている。

 上図左側のモデル(操縦の原理)は3項からなりフィードバック機構はない前近代的と呼んでもよい系である。それは、右側のように(学習回路も思考回路も及ばず)既存のプログラムが通じなくなった現代も該当し得るのではないだろうか? ウクライナ・イスラエル戦争や少子化、エネルギー問題、環境問題…等々。
 右図下の通り、1990年代以降は新自由主義というプログラムで解決されると思われ、多国籍企業が世界中に広がってGAFAの天下となったが、結局トリクルダウンは起こらず貧富の格差が広がったのは日本も同様である。
 日本はTPP(環太平洋パートナーシップ)の悪名高いISDS条項によって、外資を最優先して地元の都合を後回しにされそうになったため地方壊滅は早められそうになったものの、第1次トランプ政権がTPPに入らなかったことと、東日本大震災で竹中平蔵が進めていたタウンミーティングが中断されたため最悪の事態は免れた。
 それでも宮城県など一部地域での水道を外資が管理する民営化や、大阪カジノ構想、中国資本によるソーラーパネルの大規模設置など、一般的感覚から見て非常に狂った事態は一向に鎮静化していない。

SNS民やBRICSの反逆

 ここで、上記とは別のフィードバック機構を紹介して、現代をモデル化したい。

 アメリカの政治学者、ディビッド・イーストンが提唱した図で、左のインプット(入力)から右のアウトプット(出力)までの間にフィードバックがある。SNSがない時代の民意から法案提出までの流れをモデル化したものだが、これも2020年代の状況に照らし合わせると別の姿が浮かび上がってくる。
 例えばツィッター(現X)の使用者らがスマホに入力して、拡散という形で出力される。拡散結果によってはフィードバックして文面やタグを修正する。
 一方、読んだネット民に文が入力されると、喜怒哀楽等の感情の意識が出力される。この流れは冒頭の制御回路モデルのように決して安定はしてなく、不安定と呼んでもよいが、内部にフィーバックを含むため調整や修正は行われており、非難したり健全ではないとも言い切れない。
 むしろ、上図(3項からなる)モデルとなった後に、この4項からなるモデルを位置づけることで、新しい制御へと向かうことができるようになる。
 それは本ブログ記事の通り5項からなるモデルなのだが、3→4→5へと進むサイバネティクスということで、pro(前へ)という接頭語をつけて「プロサイバネティクス」と呼ぶことにしたい。
 その具体的な取り組みが、ロシアやブラジル、インド、中国、南アフリカなどの国々を中心とするBRICSだろう。西側が使用するドルとは別の通貨で決済しようとしたり、資源の西側資本による独占に抵抗する。
 特にロシアのプーチンは、国内から西側の多国籍企業を追放して自国産業の保護に努めた。思想的にはドゥーギンが唱える大ユーラシア主義という地政学に則っていると言われているが、本論では新たな安定に向かう取り組みとしてプロサイバネティクスが行われていると見る。

プロサイバネティクスの進め方

 もちろん追い出された側がおとなしく黙っているわけはなく、ジョージ・ソロス率いる多国籍企業群は隣国ウクライナを拠点にロシアと代理戦争を引き起こした。
 全面戦争となると世界中を巻き込む核戦争となってしまうため、傀儡のゼレンスキー政権がNATOの武器や兵を使う形で戦争を行わせた。しかし、案に相違して戦争は長期化し、ロシアはBRICSで孤立から逃れたため逆に西側が世界から孤立化し、これまで権勢を振るっていた長老たち(ジェイコブ・ロスチャイルドやキッシンジャー)が亡くなり、ダボス会議の会長シュワブやNATOの事務総長ストルテンベルグが辞任、アメリカではヌーランドが失脚してバイデン候補(後にカマラ・ハリス)が敗れた。
 敗色濃厚な多国籍企業群は次にイスラエルをけしかけて戦争を始め、更に東アジア地域でも対中国包囲網を強めて日台韓を動かそうとするが、金儲けだけを目論む彼らの正体がネット民に見透かされているため、非難の嵐でとうとうアメリカでは第2次トランプ政権が戦争停止とユダヤ勢力の不正摘発に乗り出そうとしている。
 一連の動きについて本論では極めて自然な流れであるとみる。それは人体の恒常性(ホメオスタシス)まで遡り、怪我や病気になってそれを治そうとする意識に基づいての投票でデモが行われ、ワクチンを勧められても拒否し、ゴミを分別し、また有能な人への投票という行動になる。
 最後に紹介する制御回路として、生物学者フォン・ホルストによるモデル図を挙げるが、こちらは身体の中の話になり、上位中枢と下位中枢、大脳辺縁系、及び器官の4項からなる。

 ハエの頭を180度逆につけかえて筒を回したところ2倍の速さで飛ん実験結果からこのモデルがつくられた。
 視覚器官から脳までの働きについては本モデルが該当するとともに、上の3項からなる観察モデルとも時間的には同時である。
 ここから何が言えるか? 次段階の4項からなるモデルの時の神経系の働き、そして5項からなる段階の時はどうなるのか?

おわりに

 今回は既存のモデルのみ使って述べてきたが、本題はもちろん「プロサイバネティクス」であり、もし興味を持たれたらこちらのサイトをご覧いただきたい。
 また、noteもこちらの記事などで述べてきた。
 「プロファイリングする」と言った場合、改めて資料ファイルを見直して確認する作業を指すが、「プロサイバネティクスする」と言う場合、改めて系を組み直し、安定させることを指す。
 最近の日本では従来の主体だった位置に世代交代が起こり、昔は政治家や官僚の中にも優秀な者がいたけれども、現在は世襲政治家や非難が増す一方の財務省で機能不全に陥っている。
 改めて有能な主体たりうる人材を系の中心に置き、改めて有効なプログラムを系の上部に置くことで再び安定を取り戻す。
 是非とも参考にしてほしい。



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