これから求められるのは人材マネジメントではなく、人的資本マネジメント
こんにちは。渡部です。
今日はマネジメントについてまとめてみたいと思います。
そもそもマネジメントとは?
マネジメント(Management)とはmanage to do「なんとかして~する」とあるように、本来、「なんとかする」という意味です。
日本でマネジメントというと、「管理」という言葉と同義で扱われがちです。管理とは、基準や規則から外れないように制御することであり、マネジメントとはニュアンスの異なる言葉です。
ビジネスの世界に、マネジメント、管理の言葉の意味を当てはめるとすると、「なんとかして成果につなげる」のがマネジメントであり、「ルールを守らせる」ことが管理となります。
人材マネジメントと人的資本マネジメント
さて、これから求められるのは、人的資本マネジメントです。
これまで求められてきたのは「人材マネジメント(Human Resource Management)」でした。HR(Human Resource)」、直訳するなら人的資源です。
これまでの人材マネジメント、つまり人は消費する資源としての考え方よりも、人は生かし、その能力を最大化させるものとして考えられ始めました。
これまでの「人材マネジメント」の考え方の中では、誰でもできる代替可能なスキルを持った人を画一的に育てる、新卒一括採用、画一的教育が主流でした。
製造業主流の日本においては、この考え方がフィットし、高度経済成長期を築き上げたわけです。
ですが、少子高齢化、ダイバーシティ、複雑化、Society5.0、VUCAと、
現在、私たちが働く環境において、人は少なくなる一方で、価値観は多様化し、さらに働く人に求められるスキルは、より個性に特化したもの、創造性が求められるようになってきています。
こうなると、画一的に誰でもできるようなスキルを持った人が多いほうが勝つようなモデルは通じなくなっているわけです。
こういった背景から、人は消費する資源ではなく、資本としてとらえて、人材マネジメントではなく、人的資本マネジメント(Human Capital Management)として、組織開発を進めていく必要性が上がってきていると考えます。
人的資本マネジメントで変わる役割
人的資本マネジメントの考え方の中では、「経営者」「人事部門」「管理職」の3階層で役割の変化が起こると考えます。
まず、「経営者」は、人を画一的にコストとしてとらえるのではなく、キャピタルとしてみるわけです。
経営戦略を立てるときにおいては、常に、自社にどんな人材が存在しているのか、自社の人材の強みは何か、をファクトにします。
もちろん、これまでも、こういった考え方を持っていたかもしれませんが、情報技術の進化を背景に、なんとなく曖昧だった人の能力が可視化されるようになっています。
自社人材の強みをより定量的に判断するようになりますし、人の能力と自社の方針をいかにつなぎ合わせられるかが経営者の腕の見せ所になってきそうですね。
「人事部門」はより経営視点が求められるようになり、これまで勤怠管理など、いわゆる人材管理、規則の番人的な色合いが強かった存在から、経営者の意思決定を人の領域から支援する立場に変わっていきます。
要するに、経営者の下す方針に合わせて、人材を適切に配置したり、そもそも経営者の下す方針に対して自社人材の観点から適切にFBを行う役割も担う可能性もありますね。
結局、経営を成功させるかどうかは、人の能力、行動にかかるものが大きいので、人事部門は、経営者の意思決定を支援するパートナーとしての役割に変わっていくと考えます。
最後に「管理職」に求められるようになるのは、人の能力の最大化の実行者としての役割です。
これまで管理職が果たしてきたのは、濃淡はあれど、目標に対して部下を動かしていく、アクションの管理が主だったように思います。
ですが、今後は、部下が目標に対して、どうすれば最大限力を発揮するのか、という能力発揮を支援する立場に変わっていきます。
ここで生まれる疑問は、なぜそれを管理職が担うのか、ということになります。
簡単に言うと、組織方針と個人意向の結節点にあるのが、管理職だからです。
少し前に触れましたが、今や個人の時代と言われ、誰がどんな考え方を持っていてもよく、むしろそれぞれの能力を最大限発揮することが大事だとされています。
5人の部下がいれば、それぞれ異なる価値観を持っていて、それぞれが異なる理由で組織に所属しています。
そのような状況で、管理職が成果を上げることだけに走ったマネジメントを行うと、「成果を上げること」が組織に所属する理由にない部下にとっては、エンゲージメントは下がり、能力の最大発揮にはつながりません。
組織方針を遂行する責務を負う管理職は、同時に直下の部下の意向を引き出せる存在であり、組織と個人のつなぎ目になっています。
組織方針は、簡単に言えば「成果を上げること」です。
管理職は、部下がどんな価値観を持っていたとしても、「成果を上げること」になんとかしてつなげていく役割になっていくわけです。
管理職が人的資本マネジメントを楽しむために
ここまで書くと、管理職の役割が急に重く感じてきました。
ですが、私個人としては、人的資本の最大化の実行者たる管理職の皆さんに
その役割にやりがいをもって楽しんでもらいたいなと思います。
人的資本マネジメントのやりがいは、管理職の創造力次第で、部下が想定を超える力を出していくことにあると思います。
組織と個人をつなげることが管理職の役割と前述しましたが、つなぎ方は管理職次第です。
どうつなげることが、部下の能力発揮になるのか。
ここに管理職としての価値発揮のツボがあると思います。
これから求められる役割はきっと変えることはできませんが、
求められる役割をどう発揮するのか、は管理職個人の裁量です。
個人の時代は、管理職にも当てはまりますから、自分が管理職として、いかに部下の能力発揮を支援できるか楽しんでほしいなと思います。
いきいきと働く部下を生み出していく自分なりの管理職像をもって、人的資本マネジメントを実行していってみてください。
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