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メンタル崩壊の日々 ハケン営業の品格③ リコーダーの妖精編

外回りをしていると、時として変わった人に絡まれる事がある。

今日はそのエピソードについて、2つご紹介をしよう。

リコーダーの妖精

ある日、後輩との同行で外回りをしていた。

後輩と一緒に街をあるいていると、前方から怪しい人が近づいてくる。

その人はゆらりゆらりと左右に揺れながら、フラフラとした足取りでこちらに近づいてくる。

♪ピピピピ ピッピピ ピッピーピ♪

その外見とは裏腹に、「となりのトトロ」の曲を軽快に吹いている。

あいつとの距離はまだ離れている、とりあえず目を合わしたら終わりだ。

そう思い、目線を逸らしながら、後輩を少し横に誘導する。

後輩も彼からただならぬ気配を感じ、危険を察知したようだ。

彼との距離が徐々に縮まってくる。

我々は体を逸らしているはずが、何故がこちらに近づいてくる。

しまった、、、目が合ってしまった、、、

気づくと彼は後輩の目の前にいた

ヤバイ、、、ヤられる、、、

そう思った次の瞬間、後輩の顔を覗き込み、彼はこう言い放った、


「あのね、芦田愛菜だよ❤️、、ウソっ❤️❤️」



????!!!!

あ、、芦田愛菜???


しかも嘘???


当時、やしろ優という芸人が、
「あのね、芦田愛菜だよ❤️」というモノマネネタをやっていた。

おそらくそこからの流れからきているのだろう。


でも、ウソってどうゆうことだ?

最初からあんたの事を芦田愛菜なんて思ってなんていないし、何のためのウソなんだ??

謎が深まりモヤモヤしたまま、2人はお客さん先へ向かうのであった。

後日、あの人よく考えたら、なーんかテレビで見たことがあるなぁと思い、調べてみたら、「月曜日から夜更かし」にも出演していたリコーダーの妖精だった事が判明した。

彼は罰ゲームで笛をずっと吹き続けているらしい。なんて壮大な罰ゲームなんだ。

謎の逆セールス

営業マンが外回りをしていると、逆に営業を掛けられるケースがしばしばある。

もっとも多いケースは不動産投資だ。

彼らの多くは喫煙所などで待機をし、アンケートをお願いします!というフックから不動産投資を勧めてくる。

アンケートに答えたら最後、収入や貯金について聞かれ、もうちょっと収入増やしたくないですか?という話から不動産投資を勧めてくる。

そんな簡単に儲かる話なら、人に勧めてないであなたが不動産投資で富を築いていけばいいじゃないか。いつもそう思ってしまう。

ただ、あの喫煙所という吸い終わるまでは人がなかなか動かない且つ、サラリーマンの溜まり場である場所で営業をしているのは、中々目の付け所が良いなと思う。

不動産投資の営業を受けた事は、男性なら多くの人が経験した事があるのではないだろうか。

私はそんな逆営業の中でも、一風変わった営業を受けた事がある。

私はある日、広大な敷地を持つ介護施設への訪問を終え、施設内のベンチで電話をしたり、タスクの整理をしたりしていた。

するとスーツにスニーカー、そして大きなキャリーケースを引きずった男性が近づいて来た。

すると、男は私の目の前に止まり、笑顔で話しかけてきた。

「あのー、お兄さん、今ちょっといいですか?素晴らしい商品のご紹介がありまして*\(^o^)/*」

「いや、大丈夫です。」

「まー、そんな事言わず話だけでも聞いて下さいよー\(^o^)/」

こちらの反応お構いなしに、男は話を進める。

私はベンチに座っており、目の前をロックされたので、立ち去る事が出来なかった。

すると男はおもむろに、手のひらサイズくらいのシルバーの品物を取り出して来た。

「お兄さん、お兄さん!!このボタン押してみて下さい\(^o^)/」

満遍の笑みでそう言われ、私はしぶしぶボタンを押した。

ポチッ

カシャッ!

シュルシュル!

シャキーン!

パッ!!

ドランスフォーマーのようにシルバーの品物が稼働し、ライトが着いた。

「これ、凄くないですか??ねー、お兄さん凄くないですかぁ???これ海外から輸入された雑貨なんですけど、今日は特別に1000円でいいですよ\(^o^)/」

彼のセンスが狂っているのか、私のセンスが狂っているのか、全く魅力を感じない。

「いや、別にいらないよ。」

「あー、そうですか!わかりました!お兄さん絵描くの好きですか?」

「まぁ、嫌いじゃないけど。。。」

「じゃあ丁度良かった、はい!ジャーン!これ!色鉛筆50本セット!!これ良くないですかぁ??\(^o^)/」

一瞬心が揺らいだが、別に色鉛筆があった所で絵を描く予定もないので、

「色鉛筆はいらないよ、、、」

「あー、わかりました!お兄さん欲張りですねぇ!!可愛いの好きじゃないですか??」

・・・欲張りって、俺は君に何も求めていないぞ?!

「まぁ、嫌いではないけど、、、」

「ほら!この犬!可愛くないですかぁ??ちょっとボタン押してみて下さい!!」

言われるがままに私はボタンを押す。

キャンキャンキャン!!

ブー、ブーッ、ブーッ

犬のぬいぐるみは電動になっており、その場を可愛らしく回り始めた。

お兄さん2人の目の前に、鳴きながら回る犬のぬいぐるみ、、、なんてシュールな光景なんだ。

「ほら、この3つ揃って1000円でいいですからどうですか??めちゃくちゃお得じゃないですかぁ??\(^o^)/」

彼はクロージングにかかってきた。

「いや、今外回り中で余計な荷物持ちたくないし、ごめんね。」

私がそう言うと彼は、

「わかりました!ありがとうございましたぁーー!!!」

そう言い残し、猛ダッシュで私の目の前から消えていった。

かなり怪しい人だったが、それでもいくつか感心した点はあった。

・断られてもめげないメンタル

私が何度断ろうが、次から次へと品を変えアピールをして来たメンタルの強さは凄い。

・何度も断らせることによる申し訳なさ

営業のテクニックとしてもあるものだが、何回も相手に断らせる事によって、申し訳なさを感じてしまい、最終的に折れ、買わせるというテクニックを巧みに使っている。

・お得感の演出

最初は1品だけだったが、最終的には3品になり、何故かお得感を感じてしまった。テレビ通販で、今回は特別にこれも付けて!!的な、アメ横のチョコレートの叩き売りで、お姉ちゃん可愛いからこれもサービスしちゃう!!的なお得感を感じた。

彼の突撃後、冷静にこれらの分析を行った。

もうちょっとかさばらない物であったら、私も彼のこれらの手法に感服し、1000円ならと買っていたかもしれない。

営業とは、奥の深い仕事である。

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↓過去の「ハケン営業の品格」はこちら↓




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ニューノマン@エモいエッセイスト
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