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Think Action!vol.02 - with ARC’TERYX -
今回はバンクーバー発祥のアウトドアブランド「ARC'TERYX(アークテリクス)」のインタビューをお届けします。初のブランド・エクスペリエンスイベント「ARC’TERYX MUSEUM」が原宿で4月20日〜5月5日に開催。会期中、NewMakeとコラボレーションしたワークショップを実施しました。アークテリクスが提唱するブランドパーパスや「ReBIRD」プログラムについての想いを伺います。
Hints of thinking
▶︎ブランドパーパスに込められた想いとは?
▶︎新製品のアイディアの源は?
▶︎クリエイターに期待することは?
■ブランドパーパス「LEAVE IT BETTER」に込められた想い
ーブランドが生まれたきっかけはなんですか?
「もっと登山を楽しむために、自分たちが安心して快適に使えるギアを作ろう!」というところから始まりました。創業者2人がクライマーだったんです。最初に作り始めたのはクライミング用のハーネスでした。当時のハーネスは製品自体に痛みが出ることが多く、落ちた時の安心感と快適性に欠けていました。もっとクライミングを楽しむためには、堅牢性や耐久性の高いハーネスが必要。それを自分たちで手作りしたことが始まりです。
製品の堅牢性や耐久性にこだわったのは、命を守るものだから。現在はキャップからフットウェアまで製品が増えているけれど、「命を守る」に直結していることを意識しながら1つ1つの製品のデザイン・生産をしています。創業時から現在まで太いパイプで繋がっているブランド哲学です。
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ーブランドパーパス「LEAVE IT BETTER (この世界を、より美しく。)」が生まれたのはいつですか?
昨年、1つの言葉にまとまりました。
わたしたちは「より良くアウトドアアクティビティを楽しむため」「より良い景色を見るため」に製品を作っています。沢山のマウンテンアスリートと一緒に、次は何を見ようか、次は何が見れるのかというワクワクをずっと追いかけているんです。改めて自分たちがしてきたことを振り返った時に、わたしたちが目指しているものは「LEAVE IT BETTER」だと1つの言葉にまとまりました。
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ー「LEAVE IT BETTER 」のイメージをもう少し詳しく教えて頂けますか?
例えば登山に行く場合、荷物を準備しますよね。アークテリクスの製品を使うことで、いつもより荷物がコンパクトになったとします。そうすると、荷物が軽くて前回より下りが楽だった、とか、足取りが少し早くなったなど、気持ちに余裕が生まれ、こんなところにこんな美しい景色があったんだ、など気付きが生まれると思うんです。その結果、いつもより自然を楽しめたり、ワクワクしたり、気持ちが豊かになったり、充実した時間を味わえるようになる。1つのプロダクトを通して、1人1人の心や生活が豊かになる。そういうイメージです。
また「ARC'TERYX MUSEUM」でお客様から集まった数々のエピソードこそ「LEAVE IT BETTER」だと思いました。だからこそ展示会(ARC'TERYX MUSEUM)は製品の歴史や特徴を語るのではなく、製品と共にあったストーリーを伝えたいと思いました。そしてストーリーを押し付けるのでは無く、感じとって頂く。自分にも同じようなことがあったと気付いてもらえる。そんな展示会を目指しました。
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■プロダクトについて
ープロダクト開発において意識していることは何ですか?
プロダクトの先にあるストーリーを想像しながら作っています。例えば、クライミングの時に起こりうること、走ったり、転びそうになったり…そういう時に引っかかったり、動きが妨げられることが無いよう想定してパターンを引いています。私たちはマウンテンアスリートのために製品を作っているので、フィールドがベース。安全性に対して真剣に向き合いながら製品を作っています。
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ーこだわっているポイントはなんですか?
パターンや素材です。
例えば、弊社のジャケットはデニール数が全て違います。それぞれの製品に想定されるフィールドがあって、そこに対するアプローチや命を守ることを考えるとデニール数を変える必要があったからです。また、弊社のジャケットはポケットも少ないですが、それも理由があります。必要なものをすぐに見つけられることが命を守ることに繋がるからです。
想定される課題に対して、必要なことは何か。命を守るために、必要なことは何か。それらを見極め、引き算で物事を考えています。その結果、削ぎ落とされた美しいデザインになっているんだと思います。
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ープロダクトのアイデアはどこから生まれてきますか?
1つは私たちの製品を使っているマウンテンアスリートたちの声です。
私たちでは登りきれないような山に彼らは登っています。そういった厳しい環境に耐える製品を目指しているので、彼らのフィードバックから製品が生まれることが多いです。
もう1つは、 アフターセールスから上がってくる声です。
カナダの自社工場の中にリペアセンターがあるんですが、そこからのフィードバックをすごく大切にしてます。各地から上がってくる破損の状況などを記録してくれているので、それに対してどう改善したら修理がしやすいか、壊れにくいかなどを社内で検討していきます。解決策を考えるのはデザイナーだけではなく、みんなで。1つのチーム担当者だけでなく、各チームのメンバーが一丸となって課題に対して徹底的に向き合い、解決策を考えていく。これはアークテリクスならではの特徴だと思います。
アフターセールスの声を聞いて昨年リニューアルしたのがアルファ SV ジャケット。ほつれやすい部分の修理をしやすい構造に改善したんです。弊社は「ReBIRD 」プログラム(デザインの力で捨てるものを減らし循環を促す仕組み)を推進していますが、その活動の1つ「ReCARE」しやすいように改善しました。「ReBIRD」プログラムが目指している循環を実現した事例だと思います。
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■ARC'TERYXが目指す未来
ー「ReBIRD」プログラムが生まれたきっかけはなんですか?
私たちは「長く使えるものを作る」ということを創業時からしていたんですよね。世の中の流れがサステナビリティに興味を持ち始めた時に、自分たちがやってきたことを分かりやすい形にして伝えられたら良いよね、という話から始まりました。皆さんに1つのメッセージとして伝えられたら、と。それで「ReBIRD」という言葉が生まれました。「ReBIRD」プログラムの中には「ReCARE」「ReGEAR」「ReCUT」の3つの活動があり、これらをシームレスに繋ぎ、循環させていくことを目的としています。
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「ReBIRD」プログラムの第一歩はNYの「ReBird Service Center(リバードセンター)」でした。製品のメンテナンスをチャットや電話ではなく、対面で出来るところを作りたいという想いから出来ました。ケアについての話やお店で洗濯をしてあげたり…車のディーラーさんって購入後も車のメンテナンスをしてくれますよね。そういうイメージで作られました。
日本においても2022年「ReCARE」部門からスタート。実施には準備が必要ですが、「ReGEAR」(再生プログラム)も今後進めていきたいと思っています。
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ーARC'TERYX MUSEUMではNewMakeとコラボレーションした「ReCUT」体験ワークショップを開催しましたが、お客様の反応はいかがでしたか?
大好評でした!「ReCUT」の考え方を知って頂くために、生地やシームテープの剥離などで修理できないコンディションになってしまったウェアをご自身でアップサイクルして頂くワークショップを行いました。ネームタグ作りワークショップとポケットポーチ作りワークショップを行ったのですが、どちらも反響が大きくて材料が足りなくなるほどでした。
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今回体験型ワークショップをすることで、こちらから声をかけなくても1つ1つの生地の厚みや柔らかさの違いをお客様が感じてくださったこと、生地の違いが命を守ることに繋がっていることを感じてくださったことが嬉しかったです。ARC'TERYXのブランド哲学やこだわりを感じ取って頂くことが出来たと思います。これはとてもすごいことで、本当に素敵なこと。しかも、それをポーチにして身につけてくださっている。思い出と共に形にしてもらえて嬉しいです。サーキュラーエコノミープロジェクトの第一歩を踏み出せました。ここでの気づきが次のアクションに繋がっていったら、さらに嬉しいです。
今回NewMakeの皆さんにコラボレーション企画をお願いしたのは、アップサイクルして新しいものを作り出すだけではなく、そこに対する意味やストーリーにきちんと向き合ってプログラムをつくられていたからです。そこを大切にしたプログラムを体験することで、当事者の中に記憶が残っていく。そうすることで1つのものに対しての愛着も生まれますよね。こういった意義のあることをシンプルかつスマートにされている。そして自分たちも楽しみながらお仕事されている。そういった点にすごく魅力を感じました。一緒に仕事して、とても気持ちよかったです。
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ー「ReBIRD」プログラムが目指す未来のために、NewMakerを含めたクリエイターに期待することはありますか?
より捨てないことを目的にするためにどうしたらいいのか。そういったアイディアが欲しいです。例えば、小さな端切れを役に立つものに出来ないか。アートにするという発想でも良いと思います。クリエイティブなアイディアを見たいです。
またリサイクルに関して身近に出来るアイディアも欲しいですね。捨てずに活用を可能にするアイディア。私たちでは考えもしなかったものが出てきたら嬉しいです!
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Think Action!
・今、目についたものはなんですか?
・それを捨てないために、自分が出来ることはありますか?
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