ふるさと納税は故郷のためにならず?返礼品競争で公共サービスが消える
税金の徴収が国家の始まり
返礼品目当ての制度利用者
しばらく前の新聞で、ふるさと納税の経費が5割を超えていないかのように誤魔化している問題が報じられていた。なぜ経費を少ないように見せたがるのかという理由については後で触れるが、筆者の佐川は西洋史を研究する教授と税金徴収の始まりについて会話をした若い頃の記憶がある。ドイツの小さな街を訪ねていたときのことだった。石造りの古城を巡りながら教授が話してくれたのだ。
「佐川さん、国の始まりは税金の徴収が始まったときだと私は考えているんです。地方の多くの城は川沿いとか街道沿いにあります。これは国が通行税を取るのに便利だからです。例えば、この城みたいにライン川沿いだと、通行の安全を保障するという名目が立ちやすい。何からの安全かよくわからなくても、税金を取りやすいですよね」
表向きの名目が立ちやすいと税金が取りやすいとの指摘を思い出したのは、冒頭に触れたふるさと納税が「応援したい都道府県や市区町村に寄付ができる」ということを表向きの名目にしているからである。