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NEW LEADER LIBRARY(`23/4)

80年代初めは技術的に優位に立っていたのに
見誤ったデジタル化の本質「画期的な簡易化」
高品質、高性能、高付加価値“三高信仰”の罠

『日本の電機産業はなぜ凋落したのか』
桂 幹著(集英社新書)

 80年代、世界のトップを走っていた日本の電機産業。自動車産業と並ぶ経済大国日本のツートップとして、莫大な貿易黒字を稼ぎ出していたエクセレント・カンパニー群。

 だが今それらのかつてのエクセレント・カンパニーは、アメリカのデジタル産業はもとより中国企業、台湾企業、韓国企業の後塵を拝している。財務省の統計によると、令和4年下半期(7~12月)に812億円の赤字に転落。スマホなどの「通信機」が1兆7898億円の赤字。冷蔵庫などの「家庭用電気機器」は4003億円の赤字、テレビなどの「音響・映像機器(部品含む)」は3093億円の赤字だった。

 1つの企業だけが凋落したなら、その経営者の失敗と考えられる。また、鉄道や石炭、繊維などのようにどの国でも斜陽産業になってしまったならしかたがない。だが、米国、中国、台湾、韓国の企業は隆盛を極めている。

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