【「力には力」の陥穽】国民が今、求めているのはそれなのか一気に高まりそうな“改憲”機運
9条改正は考えないと表明も豹変
コロナとウクライナ危機が背中を押す
日本国憲法が施行75年を迎えた。憲法改正を悲願とした安倍晋三元首相が政権を去り、菅義偉前首相を経て就任した岸田文雄首相。自民党のリベラル派集団の宏池会出身ながら、改憲に強い意欲を示す。性急な論議に慎重な野党第1党の立憲民主党が昨年の衆院選に大敗し、長期低迷状況が続く中で、自民は国民民主党を取り込み、野党分断作戦が着々と進む。改憲に積極的な日本維新の会が世論調査で立憲民主を上回る支持を獲得しており、改正発議への環境は整いつつあるようにも映る。
折しも、新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ軍事侵攻という国家の危機管理が問われる場面に直面し、自民が主張する改憲項目の緊急事態条項新設や9条の見直しに、“追い風”も吹いているようだ。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つを基本原則とする最高法規は、まさに岐路に立たされている。参院選という関門をクリアして、改憲に向けた動きが一気に加速するのか・・。
「現行憲法は施行から75年が経過し、時代にそぐわない部分、不足している部分は改正すべきではないかと考える。(中略)改憲への挑戦は決して容易ではない。これまでも多くの先達が挑みながら、到達できなかった道だ。しかし、社会が大きく変化するいまだからこそ、我々は挑戦し続けなければならない」