NEW LEADER LIBRARY(`23/12)
「敵前逃亡罪」でもなく「戦時逃亡罪」でもない
「奔敵未遂」なる罪名で死刑を連発した
旧日本軍法務官たちが戦後法曹界で
活躍してたとは
太平洋戦争の末期、南方の戦線で補給を絶たれた日本兵の多くが餓死や病死したことはよく知られている。戦病死とされたが、特にひどかったガダルカナル島は餓島と言われた。飢えをしのぐため兵士たちは蛇やトカゲ、芋類を求めてジャングルに入り、それも見つからないと死亡した兵士の肉を食う者もいたと言われる。本書が取り上げるのは、そんな南方戦線で、「敵前逃亡」による死刑を連発した軍法会議である。しかし「敵前逃亡」とはどういう状況で判断されるのか?
刑の基準として、敵との交戦中に逃亡する「敵前逃亡罪」は、死刑または無期もしくは5年以上の懲役または禁錮。また戦時に無断で3日以上隊を離れる「戦時逃亡罪」は、6カ月以上の懲役または禁錮となっている。