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蜂に刺されて#2 酵素のお陰
夫は頭頂部を蜂に刺された痛みを堪えながら、自分で車を運転して早朝に病院へ行った。
私は庭に出て、夫の指示通り草刈機を安全地帯へ移動させた。その直後に何処からともなく、黒い大きめの蜂が目の前に現れた。
『うわー』と声が出そうだったが飲み込んだ。きっとこの蜂が刺したんだ、と思いながら家の中に急いで避難した。
そして今度は、スピリチュアル的観点で『蜂に刺された』とスマホで検索をしてみた。
調べると、金運が爆上がり、長い間の未解決問題が解決する。と‥嬉しい情報があった。
そのことを本人に伝えて元気づけよう、と積極思考になっているところに夫から電話があった。家を出てから20分ほど経過していた。
「着いたの、時間外診療だけど大丈夫かな」
「着いたよ。でも、急に肺が苦しくなって救急車で運ばれて来る女性がいるそうだ」
「それは、そちらの方が先でしょうね」
「自分で運転して病院へ来るような人は後回しだろう」
「それで、痛みはどう」
「痛い」
「蜂に刺されたら、金運が爆上がりという話があるみたい」
「アハハー」と明るく笑った。
その後「1時間以上待たされた」と疲れた様子で病院から帰って来た。家を出て2時間近く経っていた。
『針は残っていませんね、大丈夫ですね、重篤な方もいますよ』と説明を受け、ステロイドを患部に塗っただけの治療で済んだ。
「たいしたことがなくて良かったね」
一安心したが、そうは問屋が卸さなかった。
「ちょと横になる」
頭頂部には、10円玉ほどの白いステロイド軟膏が塗ってあった。ステロイドは副反応があると思ったが、仕方がない、これで治れば良いのだけれど。
台所で食器洗いをしている途中で、ふと夫のことが気になり後ろを振り向くと、1匹の蜂が悠然と飛ぶ姿が窓の外に見えた。またか、と思った。
それから、夫の寝ている部屋を覗くとタオルケットを左右の手で頭上まで引き上げ、全身をくるんで寝ていた。頭頂部が少し見え、呼吸が出来るくらいの空間は保っていた。
私の気配を感じて何か呟いたが、こもった声は聞きづらかった。
「ん、なに?」
「さっきから蜂が、頭の上をブンブン飛んでいる」
「蜂なんて、いないんですけど‥‥」
周りに蜂など1匹も飛んでいなかった。もしかして被害妄想か、脳までやられてしまったのか、と一抹の不安が胸を過ぎった。
何気に縁側を見ると、網戸が一枚開いていた。たった今、私が振り向き様に見た蜂が部屋に侵入し、頭上をブンブン飛び回ってから外へ出て行ったのだと思った。
時系列は合っているから、頭は正常だと確信し胸を撫で下ろした。
「網戸は閉めたから、もう大丈夫」
「こうして寝てばかりいても埒が開かない」と蜂がいないことに安心したのか上半身を起こした。
しかし、そのまま敷布団に両足を投げ出して座り、うな垂れたまま痛みに耐えていた。
「そうだ、飲料用の酵素でパッティングをしてみようか」
7月15日に記事にした自然発酵奄美の酵素飲料『天美草』でパッティングをすることにした。
寝ている和室は広く欄間の隙間から冷気が逃げて、なかなか温度が23度くらいまで下がらなかった。
しかし待ち切れず、パッティングを始めた。
頭頂部の軟膏の上に酵素を重ねて少し塗り込んだ。
そして首筋から背中、腰と酵素をたっぷり塗った。やはり室温が高すぎたのか、酵素は身体にどんどん吸い込まれたが、老廃物は一向に出てこなかった。首筋を指先で軽くトントン叩いたり、下方向へ優しくマッサージを施した。
「あー気持ちがいい」
「それは良かった」
ただの思い付きで、特に期待もせず酵素パッティングを終えた。すると数分もしないうちに、夫が立ち上がって言った。
「米を精米するんだった、ちょっと無人精米機の所まで行ってくる」
「車の運転は大丈夫なの」
「だいぶ楽になった、もう大丈夫だ」
籾で買った35kgの米1俵を車に積んで、まるで別人のようにサーッと出て行った。
しかし、精米を済ませた後もジンジンする痛みはまだ続いていた。
夕方、我が家に帰えれるか少し心配になったが、いつものように2時間近く運転をし無事に帰宅した。
就寝する頃は痛みが消え、寝息を立ててぐっすり眠っていた。
後日、刺された本人がネットで勉強をしたらしく「蜂の毒は、水溶性だから、すぐに水で流すことは有効らしい」と言った。
『蜂に刺されて大慌て#1』で記したように、そのことをあっさりスルーされたことを思い出した。
それから翌月の8月12日の朝方、叔母から電話があり「うちの旦那がお宅の庭で蜂に刺されて、次の日に薬剤をかけて駆除をしたから確認をしてね」
「そうだったの、ありがとう、どの辺りに巣があったの」
「軒下って言ってたよ」
「家の周りを確認してみるね、ありがとう。ところで、おじさんは病院に行かれたの?」
「行って軟膏をもらって2、3日したら腫れる、と言われたけど全然腫れなかったよ」と笑っていた。
「大事に至らなくて良かった」
おじさんがお盆前になると『運動になるから』と毎年ボランティアで草刈りをしてくれる。その時に事が起きた。
夫に叔母からの話を伝えると、暫くして「おーい、ここにあったよ」と縁側の辺りから声がした。
急いでその場に行き縁側の軒下を見上げると、大きな鱗のような模様をした巣が下がっていた。足下を見ると、蜂の死骸が1匹確認できた。
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早速、夫が撤去作業に入ろうとした時「もしもに備えて、帽子を被ったり着替えた方がいいんじゃない」と石橋を叩く派の私が言った。
『大丈夫よ』と言わんばかりの顔をしていたが、麦わら帽子に長袖シャツに着替えてきた。
しかし、下半身が短パン姿だったので『おっと、それで大丈夫なの』と思ったが諦めた。
私は一応避難した。簡単に巣は取れたようで、塵取りに入れて持って来た。
「見てご覧、凄いよ。空き家だから巣を作るには、絶好の場所だったんだろう」
鱗模様の表面を壊すと、直径20センチほどの大きなシャワーヘッドが下向きで、縦に3個繋がったような造りになっていた。穴の中には蜂の子のような死骸もあり、あまり見たくなかったが良くできた構造物だった。
「初めて見たけど怖いね、薬を散布してもらって助かったわ」
「蜂の巣が何処かにある筈だ、と探し当てたおじさんは流石だ」と夫が感心していた。
夫がスマホで蜂の巣について調べると、巣の内部が何段かに別れているのは、スズメ蜂の巣だと分かった。刺した蜂の種類が不明だったが、ようやく判明し蜂騒動が終わった。
後は、金運爆上がりを待つのみ(笑)
完
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