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高千穂巡りと幣立神宮
世間の子供たちが夏休みに入った暑い時期に、夫の運転で念願の神話の里高千穂へ出かけた。薩摩半島の我が家から熊本経由で3時間半かけて、高千穂神社の駐車場に着いたのは午前9時30分だった。そこで弟夫婦と待ち合わせをしていたが、彼等は大隅半島から宮崎経由で私たちより30分も早く到着していた。
「ごめんね、途中で持ってきたお弁当を食べて遅くなった」と言い訳をして詫びた。
そこには、既に多くの車が駐車してあり、高千穂神社の人気を窺い知ることができた。そして、アジア人家族も見かけた、どこの観光地も国際化が進んでいる。
1日目
【高千穂神社】ー【荒立神社】ー【天岩戸神社西本宮】ー【天安河原】ー【昼食 おたに家】ー【民宿 春芽】
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夫婦杉のゴツゴツした太い根が地中からはみ出していた。その周りを夫妻で手を繋ぎ、覚束ない足取りで『家内安全、子孫繁栄』などを願って3回廻った。
次は、荒立神社へ車2台を連ねて向かった。
そこの駐車場のガラス張りの掲示板に、芸能人の『アンミカ夫妻の笑顔の写真』が貼ってあった。
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板木を心を込めて力強く7回打つ祈願に、これは子供たちが喜ぶだろうと思った。境内には『相川七瀬』と書かれた高さ1メール程で1辺が15㎝くらいの四角柱の石碑が立っていた。もしかすると、芸能人御用達の神社かもしれない。
三社目の天岩戸神社西本宮へも車で移動した。端で一礼をして高さのある鳥居をくぐると、三社の中で参拝者が最も多く賑わっていた。
右側の低い所に川が流れていたので何気に見ていると、突然30代半ばらしき女性に話しかけられた。
「こちらの川は、マイナスイオン効果で気持ちがいいですよ」
天岩戸の本家本元だけあって案内役の方がいらっしゃると思った。
しかし、その方の所作とスーツ姿を見て団体旅行の関係者のような気がした。「有難うございます、私は個人の旅行者なんです」と言って、先を歩く夫の背中を小走りで追いかけた。
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次は、天岩戸神社から500メートル川上にある、天安河原へ歩いて向かった。天照大神が籠もられた岩戸を開けるため、神様たちの会議が行われたとされる場所である。狭い坂道を下ると、道の両脇の茂った緑の木々が暑さを和らげ風情があった。見学や参拝を終えてゆっくり無言で登ってくる人たちとすれ違いながら、帰りは結構きつそうだと思った。清流の音が徐々に大きくなり、冷んやりしてきた。
「お義姉さん、友達がここに来たら足が竦んで先に進めなくて、拝めなかったそうですよ」
「何故だろうね」
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目的地が見えた時、心臓の鼓動が「ドク、ドク」と聞こえた。さほど大きい音ではなく、暫くすると治まった。運動会の徒競走の『よーい、どん』や算盤検定の『よーい、はじめ』の緊張とはまるで違う、今までに経験したことのない感覚だった。
「心臓の鼓動を感じたけど、貴女はしない?」と義妹に訊ねてみた。
「ぜんぜん、何も感じない」と平気な顔をしていた。
周りには願いが叶うとされる沢山の石積みがあったが、自分が石を積もうにも、近くには1個の小石も見当たらなかった。
多くの石積みの側を歩いていると、仏教の賽の河原の石積みを連想し奇妙に感じ、あまり気持ちの良いものではなかった。しかし、洞窟前の鳥居の前で世界の安寧を祈り、貴重な経験で有難いと思うことにした。帰りは、急勾配の上り坂の途中で「フー」と息を吐いて、暫し立ち止まった。
天岩戸神社の駐車場へ戻ると、1台の大型観光バスが駐車してあり、側に3、4人の男女が立っていた。その中に境内で私に声をかけた女性の姿を見つけ、やはり団体旅行の添乗員で私を誰かと人違いしたのだと確信した。
弟が汗で濡れたTシャツを車中で着替えていた。その間に昼食をどうしようとかと思案し、目当てにしていた蕎麦屋の『天庵』に電話をすると混んでいる様だった。その店を断念し、昼食の店を探しながら車を走らせることにした。
暫くすると、夫が自宅で事前に調べていた『おたに家』という蕎麦屋の看板を偶然に見つけた。店外の長椅子に腰掛けていると、体格のいい中年男性に「どちらからいらっしゃいましたか」と話しかけられた。優しい話し好きな店員さんだった。
店内に入るまでに20分程待ったが、以前に東京神田の『やぶそば』で4時間並んだことを思えば、なんてことなかった。
テーブルに案内されてからも40分は待ったが、食事処を探して彷徨うことを思えば容易いことだった。
「その場でそばを打つらしいから、時間がかかるんだなぁ」と麺の茹で加減に喧しい夫が小声で言った。
「なるほどね」と私はそれを聞いて楽しみが倍増した。
いよいよ、私の温蕎麦が運ばれてきた、更科蕎麦のように白く喉越しが良く、つゆは透明感があり美味しかった。つゆには、どんな醤油と塩が使用されているのか興味がわいた。
「雑穀米も美味しい、漬け物も美味しい」と義妹が感激していた。最後に蕎麦湯を飲んで「そのままでも美味しい、クリーミー」と美味しいの連発だった。
「私にも蕎麦湯を少し飲ませて」と分けてもらった。人生でこれほど美味しい蕎麦湯を飲んだことはない、天下一品だと思った。一口含んだだけで分かる美味しさは、やはり有機栽培で丹精込めて育てられた所以だろう。まずは、蕎麦つゆを足さずに飲むべきだ。
肝心な蕎麦の写真を撮る余裕がなく、極上のそば湯だけを慌てて写真に収めた。帰り際に、残った蕎麦湯を持ち帰りたい衝動に駆られた。その代わりに『雑穀もち麦』と『とうもろこし小実』を購入した。
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次は高千穂峡へ向かうことになった。段々畑の風景を車窓から眺めていると、よく見る田舎町と違って高地であることを感じさせてくれた。
「結局、ここを中心にグルグル廻っていましたね」と義妹が笑っていた。私は助手席でいつの間にか爆睡して、その状況が掴めなかった。目的地の駐車場が満杯で、近辺を走り回り高千穂神社の駐車場に停車していたのだった。ここから高千穂峡まで歩く人も多いようだったが、私には、その気力は残っていなかった。そこで予定を変更し、宿の『春芽』でゆっくりすることになった。宿には午後3時前に到着した、民宿というより旅館の趣きだった。
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川魚の塩焼きなどもあり美味しい料理で満腹になった。男性陣はビール、赤ワイン、日本酒を呑みご満悦だった。
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翌朝、宿の女性に玄関先で記念写真を撮って貰った後、荒立神社の宮司さんの話を聞いた。
「宮司さんが視える方で、芸能人のアンミカさんに『結婚相手は、直ぐそこまで来ていますよ』と言われたらしいです。お客様に教えてもらいました。予約は5ヶ月先くらいまで詰まっているそうです」
義妹と私は興味津々で聞いた。昨日見たアンミカ夫妻の写真は、そういう繋がりだったのかと納得した。
2日目
【民宿 春芽】ー【幣立神社】ー【高千穂峡】ー【国見ケ丘】ー【昼食 天庵】ー【道の駅高千穂】
8時過ぎに宿を出て、日本最古と言われる熊本県の幣立神宮に40分後に着いた。朝の清々しい空気の中で長い階段をゆっくり上がっていると、初老の男性が私たちの目の前を短パン姿で、階段を軽快に駆け上がって行った。高校生のようなその動きに脱帽した。
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「手水舎の立札に世界という文字が書いてあるよ、最初からスケールが違うね」と私が言うと、義妹がハッとして「今、お義姉さんが『世界』って言った時、お義姉さんの頭の上に光が差しましたよ」
「あら、ホントに」
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おみくじを引くと『大吉』だった、頭上に差した陽の光といい、これは歓迎されていると調子の良いことを考えた。
境内の幾つもの立札には、世界や宇宙の文字が記されていた。それらが世界最古の神社の証のようで、今まで参拝した神社と違っていると感動を覚え、全く知らなかった幣立神宮を教えてくれた義妹に感謝した。
次は、前日に行きそびれた高千穂峡に行くことになり、熊本から宮崎に舞い戻った。またもや高千穂峡近くの駐車場は混んでいて駐車が難しかったので、高千穂神社の駐車場に車を停めて、急勾配(下り)のいろは坂を4人でてくてく歩いた。今日は元気に歩けそうだったが『行きは良い良い、帰りは恐い』と頭に童謡が流れた。
よく見かける『滝の写真』と同じ風景を見て、観光地に来た実感が湧いた。涼を感じ語らった後は、昇り坂を覚悟して歩き出したが、思ったより難儀ではなかった。
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その後、雲海で有名な『国見ケ丘』へ足を延ばすと、眺望が見事な場所だった。しかし、真昼の酷暑に負けそうで短時間で切り上げた。秋の朝晩が冷え込む頃に発生する雲海は、見事だろうと想像に難くない。改めてその時期に、この場所に立ってみたいと思った。その後、前日に断念した『天庵』という蕎麦屋へ直行した。店の外には行列が出来ていたので、待たされると思いきや案外そうでもなかった。品も早く提供され美味しかった。
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最後の目的地、道の駅高千穂を目指した。広い売り場を廻ると、地元産の米で作られたグルテンフリーで無添加のお菓子を見つけ、高千穂は先進地だと思った。日本酒や干し椎茸など9品を購入し、自宅に帰ってからの楽しみが増えた。
帰りしなに「充実していて楽しかった、また行きましょうね」と義妹が喜んでいた。そこで別れて、それぞれに来た道を帰った。
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帰りは寄り道をせず、2時間30分後に我家に着いた。夕食時に今回の旅を振り返り「天安河原での心臓の鼓動は何だったのかな」と私がつぶやくと「不整脈かもよ」と夫が笑っていた。その一言に決して否めない年齢であることに、ハッと気づかされた。
「幣立神社で思ったけど、人類の起源は日本で、世界に出てから日本に戻って来た説は真実かもね」と私が言うと「そういう古文書もあるみたいだね」と、古文書講座の受講終了証書を持つ夫が真顔で言った。
アンミカ夫妻のことは、以前テレビで放映され話題になったそうだ。歴史を肌で感じ、不思議な話を聞いた有意義な小旅行だった。
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