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奄美のユタ神様に会う 伝統的スピリチュアル①

 夫が奄美に転勤になり、暫くは引っ越しの諸手続きや雑用に追われた。住居は2階建の職員住宅で、1階角部屋の和室3DKであった。夫婦二人には、広過ぎるくらいの充分な間取りで、綺麗だったので安心したが、陽当たりは、まずまずといった感じであった。

 夫は本土にいる時と変わらず、毎週のように県立図書館で5冊の本を借りてきては、読み耽けっていた。ある日、いつものように借りてきた本に、奄美の文化を伝える1冊があった。

 夫がその本をある程度読んだところで「ここの所を読んでみて」とページの一部を指し示しながら、話しかけてきた。
 普段は集中して一人静かに、自分の世界に入り込み、私が話しかけても上の空で生返事が多い。更に『静かにして頂戴』の雰囲気を醸し出しているのに、読書の途中で私に話しかけるとは、いったい何事か、今まで一度も起こした事のないアクションに、少し驚いた。

 見開いたその2ページには、奄美の男性A氏と女性B氏の二人がユタとし紹介されていたので、興味深く一気に読み終えた。ユタに興味を持っている私が喜ぶと思い、直ぐに教えたくなったのだろう。
地元ではユタ神様と言われ、祭祀や占い、悩める人々の人生相談に乗る立場で、古くから受け継がれている。

 その本には、A氏の幼少期や大人になってからのエピソードが書かれてあった。かなりの霊力の持ち主らしく、ある地元の病院からオファーがきていた話しが印象に残っている。
「単なる病気の症状なのか、何かに憑依されての物なのか、貴方の部屋を用意するので見極めて欲しい」と言われた事が、書かれてあったような気がする。
そして、本来は漁師であるが、ユタの長でもあり、奄美の『平瀬マンカイ』という海の神々に豊作の祈願をする、年に一度の祭祀も中心となって活躍されていた。

 B氏は、テレビの全国放送に出演される程の、有名なユタ神様らしかった。そのエピソードも記されていたが、はっきりと覚えてはいない。とにかく実力のある方だと理解した。

 お二人の氏名も書かれてあったので、いつかはお会いしたいと思っていた。しかし、大小の悩みは数あれど‥‥ご教示頂くには若干の恐れがあった。
 夫に話しをすると「せっかく奄美に住んでいるんだから、経験した方がいいよ。全国から旅費を使い、わざわざ尋ねて来る人の事を思えば、こんなに有り難い事はない」とアドバイスがあった。
「そうだね」
私は思い切る事にした。そうと決めたら即行動に移すのが、私の取り得である。電話をして場所を尋ねると、歩いて10分もかからない近所だった。予約も取れて、スムーズな流れに乗っているようで、受話器を置いてから悦に入った。

(つづく)

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RYOKO 満天の星
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