見出し画像

宝探し

本の陳列を、出版社順から著者名順に変える本屋さんが増えている。
そして、それが売り上げ増につながっているらしい。

著者名順は、買いたい本が決まっているときや、同じ作家の作品を続けて読みたいときにはとっても便利。
まっすぐ目的にたどり着けるから、手間も時間も節約。

でも、私は出版社順のほうが好き。
確かに著者名順のほうが合目的なんだけど、そもそも本屋さんに便利さなんて求めてなくて。

本屋さんは「出会い」に行くところ。
たまたま目に入った書名にピンと来たり。
ひっそり埋もれた本から思わぬオーラを感じたり。
装丁に惹かれたり。
自分の狭い生活範囲にはない宝物を探しに行くところ。

そういう「探る」楽しみが、著者名順の棚にはないのよね。

それと、これは単に私の性格の話だけど。
本屋さんの(文庫の)本棚は整然と並んでいるほうが好き。
講談社文庫の棚の圧倒感。
新潮文庫の棚の重厚感。
講談社現代新書のちょっとかわいい感じ。

統一感のある棚からは、何か、知が待ち受けている感じがあるんだよね。
どの本の価値も等しい、ということが、出版社順だとわかりやすい。

あと、著者で本を選ばないというのもある。
そうだ!書きながら気づいたけど、著者で選んでないんだ、自分。
本屋さんでうろうろしながら見てるのは書名だけだ。
著者買いしないから、著者名順のメリットを享受しないのかもしれない。

著者名順の本棚って、落ち着かない。
なんだかドンキにいる気分。
もちろん、ドンキのほうがお買い物しやすい勢もいることだろう。
私は、あの落ち着かなさが苦手で、ドンキで買い物したことがない。

おかしいね。
出版社順のほうがよっぽどドンキ感(ドンキ感とは)あるのに。
著者名順の、背表紙のバラバラな感じが本当に苦手だ。
あの統一感のなさが、逆にドンキで目的の商品にたどり着けない感じに近い。

出版社順が駆逐される日も遠くない。
ただの便利な場所になってしまったら、私の宝探しも終わりが近い。





読んでくださってありがとうございます。よろしければコメントもお気軽にお願いいたします。