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品質と価格のバランスを見極めてコストダウンを実行する

コストと品質のバランスについて、取り上げたいと思います。
これは品質と価格のバランスについて図に示したものです。

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上に行けば行くほど品質が高く、
右へ行けば行くほど価格は高くということで、
ちょうどその間にあるところがバランスが保たれている。
ということになります。

左下が低価格で低品質、右上が高価格で高品質、上へ行くとだんだん値段も品質も高くなる。その時に割高かなというものと逆に割安かなと思うもの。品質へいけば安いけどこれって品質がいいな。逆にこれ高いけど品質が悪いな。というものもあると思います。

あくまでもこれは相対的な話になりますし、低品質低価格、高品質高価格、それぞれで受け入れられているものもあります。

例えば百均。それなりの品質ですがお値段もそれなり。
高級ブランドは当然値段も高いですが品質もそれなりに良い。

例えば自動車で言うと、軽自動車は安いですがそこそこの品質。
日本製品だと壊れないということで高品質だったりしますが、海外輸入車のロースロイス・ポルシェとかは値段が高くて品質も良い。
必ずしも壊れやすい、壊れにくいは別の問題でありますすが、
そういったものもあります。

それと比べてどれだけ優れてるのというのが比較の要素になってきますが、よく製品の比較をされるのが競合他社の原材料です。

●どこから何を買っている
●どのくらいの値段で買っている
●どのくらいの品質で買っている

素材の純度だとか、部品の精密度と、いろんなもので比較した上で、ほぼ同等の物を少しでも安く買いたいっていうのが基本的な考え方になります。

もう一つ、大事なのが、どれだけ同じ品質のものを安く買うか。
単に値段を安くしろっていう話がありますが、そこには求められてる品質が同等であるという前提条件があるはずです。

この「品質」を考えず、単に値段だけ下げようという交渉をすると、品質も落ちてしまうでしょう。

そのようなことが起きないようにするために、
最低守らなければいけない品質があると思います。

では、その守らなければいけない最低基準の品質とは何でしょうか?

●図面どおりに出来上がっているか
●公差の範囲内にあるか
●守られた環境基準、成分表示、色々な法的な条件を満たしているか

考慮するべきことがたくさんあります。
それを満たしたうえで、後はどれだけ安いかとなります。

競合他社よりも少しでも安く買いたいのが購買の願いですが、
もう一つの目標として、今売っている製品の変化を少しでも良くして利益を出したい。

買う行為には少なくとも様々な目標・目的があると思います。

その目標・目的と比べてどれだけ安く買えるか、どれだけ品質を向上させるか、がポイントとなるでしょう。

どれだけ品質を良くして、なおかつ購入価格を安くするか、場合によってはどれだけ品質を維持しながら安くするか。

品質が悪い時には、どれだけ品質を上げながら価格を現状維持するか。
もっと品質を高めたい、購入価格も高くしても良い。
耐久性が伸びるんであればそれでもいい、というようなこともあります。

このように目指す方向性が、価格を下げるのか、品質を向上させるのか、品質を向上させながら価格を下げるのか、時には品質を少し下げてでも大きくコストを下げたいのか、その時々の状況競合他社の戦略、最初の事業方針、利益を出したいのか販売を拡大したいのかによって買い方が変わります。

品質を向上させて顧客満足度を上げる。
それもまた方向性が異なります。
購買単独で決められることではありません。

お客様のために何をどうすればいいのかを考えながら、サプライヤーと交渉しなければなりません。

下図はある製品の品質の改善、目標とするのはどこかを表しています。

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左が値段が下がっていく
右が徐々に値段が上がっていく
上にいけば品質が上がる
下へ行けば品質が下がる

現状はオレンジの位置にあります。

斜めの黒い線の下側が低品質で高価格、
上の領域が高品質低価格、
これはあくまでも相対的な見方です。

目指すところは価格を現状維持で品質を高めたい。

現場の品質が75%、これを95%まで引き上げたいとすれば、
20%の改善です。

価格は現状維持したいというパターンです。

これは品質の向上とともに価格も引き下げたい、
品質は80%をちょっと下回り、それを95%まで引き上げたい

価格は今までの5.3から3.8まで引き下げたい。

この状況はかなりハードな交渉が必要となり、
改善の取り組みが必要になるでしょう。

これは品質を高め、なおかつ価格も引き上げたい、
というのが現状の価格で、品質の改善が非常に難しいという製品です。

これを少しでも良い品質、耐久性の長いものにするためには、
値段が多少上がってもいいという判断でこのような目標になりました。

この三つの図を見た上で、三つ目の図について詳しく話をします。

値段を引き上げて、なおかつ品質も向上させる。
現状の品質が悪かったということが読み取れます。

以下は中国のとある工場で実際に起きていた話です。

労働用品として軍手、ヘルメット、マスク、作業着、様々なものを購入していました。

マスクについては、中国でもアメリカの有名ブランドのマスクを使っており、それは当然お値段も若干高めですが、品質も良く、予算内でした。

作業用の手袋については、日本のようなピタッとはまる軍手ではなく、溶接工が手にはめるような手袋をしていました。
手縫いですが縫製が雑で、よくほつれて破れてしまうということが頻発する問題がありました。

状況をヒアリングすると、一週間ももたないというような状況です。
では、購買はこれまでどんな交渉をサプライヤーにしてきたのかを問うと、とにかく安くしてと。

コスト削減金額の目標だけを決めてしまっていたことにより、
とにかく安くしてと交渉し続けた結果、
当然ながら品質も共に下がってしまって耐久性も落ちたという結果です。

結局、今の品質の手袋では、危険で使い物にならないと。

予算が限られていて、購入できる手袋の枚数が決まっていたので、
足らなくなった分は作業員が自腹で買っていた状況も発生しました。

当然、現場からは不満が多く出ています。
購買は一体何をやっているんだ!と言うような声です。

使えないものをそれだけ買ってどうするんだ、どんなに安く買ってもすぐ壊れる、全然使い物にならない危険である事故が起きそうだ。

このように、品質を満たすことができない物に、本来の価値、購入する意味はありません。そうならないようにするため、これ以上の単純な安くしてという交渉をやめ、まずは最低限の品質を確保することが大事です。

最低でも一ヶ月、できれば三ヶ月ほど、多少値段が上がっても、長く使えた方がいいという判断です。

これまでの10日ぐらいで壊れていたものが、一ヶ月の耐久性が3倍に延びれば、極端な話ですが値段が2倍になっても、支払う金額は場合によっては減ることになる可能性もあります。

価格が2倍まで上げなくても、1.5倍を目標にし、品質を高め耐久性をこれまで以上にする。
その結果、年間の支払い総額は、買い替えが頻繁に発生する手袋を購入する総額よりも、十分なコスト削減になるということです。

これら全体の仕組みを理解した上で値上げを認めつつ、品質向上の目標設定を定め、品質とコストのバランスを得られて改善されました。

実際に品質が向上して耐久性が延び、支払額が目に見えて減るという結果が出たことによって、他の品目他の原材料についても同等の取り組み(横展開)でのコスト削減が選択肢としてあることに気づけたのです。

安易な値下げに頼らないコスト削減という考え方で、品質の向上。
この要素も実はコスト削減で重要であるといった一例です。

日本の国内で調達する原材料、部品のコスト構造など、品質を決定する要因は非常に複雑で、こんな単純な話ではありません。
品質の基準の定め方もたくさんあります。

しかし、細かく分解してシンプルに考えることによって、解決策や目指す方向、目標というのはおのずと見えてくると思います。



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