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フィンランドに恋をして(後編)・・・楽員名鑑
新日本フィルハーモニー交響楽団のメンバーを、趣味やライフスタイルを通して紹介するnote。ヴィオラ奏者の間瀬容子編、後編です! (前編はこちら)
フィンランドが大好きな間瀬。前編ではフィンランドとの出会いや、好きな画家、フィンランド旅行について聞きました。後編はその続きから。
シナモンロールと素敵な出会い
フィンランドで、シナモンロールを食べまくったという間瀬。シナモンロールといえば、北欧やアメリカが有名ですが、その発祥はスウェーデンなんだとか。
実は新日本フィルの本拠地・錦糸町にも、アメリカの有名なシナモンロール屋さんのシナボンがあるんです。シナモンをたっぷり使ったパン生地の上に、甘いアイシング(砂糖衣)をかけたシナモンロールは、お菓子のような感じで、おそらく日本人が「シナモンロール」と聞いてイメージするのはこのタイプ。
それと比べるとフィンランドのシナモンロールは、アイシングがかかっていなくて、甘すぎずスパイシーで、日常的によく食べられているそうです。
間瀬:フィンランドに実際行くまでは、日本で想いを馳せながらシナモンロールを焼いてたの。ちょうど「かもめ食堂」っていうフィンランドを舞台にした映画が流行ってて、その中に出てくるシナモンロールのレシピが"ほぼ日刊イトイ新聞"というネット上の記事に載っていたのね。(レシピはこちら)
それを見て試行錯誤しながら作ってた。
間瀬:それも美味しく出来てたんだけど、なんだか思い通りには行かなくて。
間瀬:それでフィンランドに行った時にね、空港でオタオタしていたら「何かお困りですか?」と日本人の女性が声をかけてくれたの。そのご縁でヘルシンキまでご一緒して、荻窪でistut(イストゥット)っていうカフェと雑貨屋さんをやっていて、買い付けでフィンランドに来たことなど伺ってね。
その時はそれでお別れだったんだけど、日本に帰ってからご夫婦のお店を訪ねて行ったらとっても素敵なお店で。コーヒーと、あとシナモンロールが本当に美味しかった。
それから近くに行く度に通うようになったの。
腰野:そんな素敵な出会いがあったんですね・・・
間瀬:何度も通ううちに、シナモンロールを自分でも作ってるって話したら、ある時作り方のコツを教えてくれたのね!
それを試したら凄く美味しく出来て、今はずっとそのやり方で作ってる。今日のもそう。
間瀬:フィンランドのシナモンロールは生地にカルダモンが練り込まれていて、サクッとほお張るとフワッと個性的に香るのが好きなの。
間瀬:私、いつか自然の多い所でカフェをしたいなと夢見てる。丁寧に淹れたコーヒーとシナモンロールお出しして。
腰野:それは素敵すぎる・・・!お店が出来たら是非行きたいです!
さて、シナモンロールが焼けました!
ふんわりまるい渦巻き模様が綺麗に出て、
ニブシュガーの白いアクセントもまたかわいい…
istutさんで焙煎している豆で淹れたコーヒーと
一緒にいただきます!
腰野:美味しい・・・ほんのり甘くて、カルダモンとシナモンの香りがたまりません。
アイシングがかかってる甘い物だと一つでお腹いっぱいですけど、これは何個もいけますね!
朝ごはんとか、ランチとか、ちょっと小腹が空いた時にもちょうどいいかも。
間瀬:良かった!私も一度にたくさん作って、小腹が空いた時とかにちょこちょこ食べたりするの。フィンランドではお店によって味わいが違って面白かったな。
istutのご夫婦には、いつも元気や癒しをもらって本当に感謝してる。こんな世の中で、私達音楽家も大変だけど、飲食店も本当に辛い状況だと思うの。今はお店にもあまり行けないけれど、こうしてコーヒーを淹れて、元気かなぁって思い出してる。
istutさんでは実店舗の営業のほか、ホームページでオリジナルグッズや自家焙煎のコーヒー豆、フィンランドで買い付けた食器など、素敵な商品が購入できます。
istut (イストゥット)
住所:東京都杉並区天沼3-30-41
電話番号:03-3398-3534
営業時間:SNS等でご確認ください
定休日:月曜日・火曜日
公式HP:https://istut.shop-pro.jp
フィンランド人のここが好き
間瀬:フィンランド人て日本人に良く似てて、あまり大きな感情表現をしないんだよね。
腰野:たしかに「かもめ食堂」の中に出てくるフィンランド人も、なんだか怒っているような感じに見えるけど、実は違うみたいに描かれていましたね。
間瀬:そうそう、静かな人が多いしね。でも表面に出てくるものは静かなんだけど、中身は凄く熱いの! 静かな中で色んなことを考えてるし、爆発的なエネルギーが蓄積されているような感じ。
間瀬:あと、フィンランドの伝説とか神話とかをまとめた「カレワラ」っていう民族叙事詩があってね。シベリウスもこの中のお話を題材にいくつも曲も作ってるんだけど。
そのカレワラの中に巨人伝説っていうのがあるんだけど、そこに出てくる名前が「進撃の巨人」にも出てきたりするの。
腰野:え、進撃の巨人ってあのマンガとかアニメのですか?・・・間瀬さんが進撃の巨人を読んでるの、凄く意外です(笑)
間瀬:私マンガ好きなんだよね(笑) NARUTOとかもこの前全部読んだよ!進撃の巨人はまだ途中だけど。
実際フィンランドに行くと、妖精のように髪や肌が白くてめちゃくちゃ背の高い人と、ちょっとアジア人ぽい小柄な人がいるの。
だからなんだか、巨人伝説が太古の昔には本当にあって、背の高い人はその子孫なんじゃないかって、勝手に妄想しています。
間瀬:あとね、フィンランドの良いなと思う所は、自分の生き方を自分で決める権利が認められてるってことかな。自分が何になろうが、それを邪魔する権利は親にも他の人にも全くないっていう考え方。
そして人と接する時にも、職業とか、学歴とか、肩書きとか、性別とか、全く関係なく"その人"として見るの。そして、みんなが普通にそういう考え方なのね。それが凄いなと思って。
腰野:聞けば聞くほどフィンランドって素敵な国ですね・・・
まだまだフィンランドの素敵なお話がたくさんあったのですが、この続きはいつかまた!
間瀬の持つ"穏やかなのに中身は熱い"という空気感は、まさにフィンランド人そのもの。
自分も他者も尊重する考え方など、人間が幸せに暮らしていくためのヒントがたくさんある国だなとも思いました。
もう半分くらいフィンランド人になっている間瀬の演奏を、是非聴きにいらしてください!
(写真提供・間瀬容子)
(ヘッダー画像、絵、文・腰野真那)
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