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訪日客in京都にまつわるエトセトラ

 11/1から3泊4日の日程で久々の一人旅に出ました。
 旅先は京都→金沢→福井。福井は前々職時代に敦賀・小浜に出張して以来12年ぶり3回目(甲子園に久々に出場した高校みたい)。
 さて、京都は友人に会うのがメインだったため、いくつかの寺社を徒歩で回るだけになってしまいました。今回のコースは、六波羅蜜寺→三年坂(清水寺は行ってない)→高台寺・圓徳院→知恩院→平安神宮でした。本当は南禅寺まで行きたかったのだけど、タイムアップ。次回の楽しみとしたいと思います。
 今回のテーマはインバウンドにまつわる京都での気づきです。京都のオーバーツーリズムが指摘される昨今ですが、今回の旅路でいくつか気づいたことがあるので、アラカルト形式で紹介していきたいと思います。

高台寺と知恩院の非なる客層

 今回の京都半日旅の趣旨は、烏丸五条の宿から東山界隈の自社をできるだけ歩いて回るというもの。清水寺は行ったことあるし、三年坂はインバウンドですごくごった返していたので、高台寺→ねねの道と歩みを進めました。
 ねねの道は三年坂に負けず劣らずインバウンド比率が高い。そして、中華系(見た感じ、本土も台湾も両方いました)、韓国、タイ、インドネシア、欧米(フランス語、英語は聞こえてきました)…と世界各地から来ているようで、特にアジア勢は着物を着て、絵になる壁や風景を背景に写真撮影がいたるところで行われていました。

高台寺の庭園

 一方、その目と鼻の先の知恩院。12年くらい前に一度訪れたことがあります。立派な山門と御影堂。そして、撮影禁止であるものの、豪華絢爛で壮大な仏具。さらに行った日には山門と方丈庭園の特別公開もやってました(方丈では、学生ボランティアが覚えたことを一生懸命に説明してくれて、とても好感が持てました)。で、こちらの知恩院。見た感じほとんどのインバウンドが欧米系。こちらも英語、フランス語、スペイン語などが聞こえてきました。逆にアジア系はほとんどおらず。
 ねねの道にいたアジア系の方々はどこに行ったのか。ここからは私の推測ですが、4点にまとめてみました。

1.知恩院の建物が立派すぎて、フレームに収めるのが難しい
2.ピカピカの内部は撮影禁止である
3.ねねの道にはある「京都感」(石畳や土塀)と「抜け感」(空間的広が り)が知恩院にはなく、インスタ(または小紅書)映えしない
4.清水寺で坂を一生懸命上った後、知恩院の階段は上りたくない

 どうでしょうか?もしかすると、ねねの道は「インフルエンサー」が三年坂よりも撮影しやすい(人がごった返していない)とかで情報発信が豊富なのもあるかもしれません。アジア系旅行者に関しては、大事なのはやはり「映えるかどうか」。金閣寺だって、池越しにちょうどいいサイズに収まるから「現地行った感満載の写真」を撮るという需要にフィットしているのだと思います。
 一方で、欧米については、「仏教の教えを知りたい」「建築について詳しく知りたい」など、知的好奇心を軸に動く観光客も多く、京都の壮大な寺社では知恩院もかなりの優位性がある気がします(庭園という意味では龍安寺や大徳寺、桂離宮だと思いますが)。

知恩院の立派な山門

インバウンドラーメン

 書きたいことはここまでで大体書いたので、あとは小ネタを少々。三年坂近くのラーメン屋さん。通常のラーメンが意外とリーズナブルなのだけど、白みそのラーメンにカニ足と炙ったホタテが乗る豪華ラーメンも。チャーシューも増せば、1杯3,400円也。
 ま、ニューヨークでラーメンを食べようと思えば平気で3,000円を超えてくるという超円安の時代。一瞬、入ろうかどうか迷いましたが、ネタのためにそこまで出血をするのもどうかと思い、諦めました。気になる方は、「清水寺 ラーメン カニ」で検索すると出てくると思いますよ!

着付けサービスの意外な利用者

 京都に行って、そこかしこにあったのが「着物レンタルと着付けサービス」。なるほど、ねねの道とか三年坂とか、いたるところでタイや中国などアジア系のインバウンドの方々が着物を着て記念写真を撮っている。ソウルはチマチョゴリ、中国では漢服、ベトナムではアオザイ…。現地の民族衣装って着たくなりますもんね。
 そしてインバウンドの皆様に加え、わりと見かけたのが国内の大学生風の方たちがレンタル着物を着て通りを歩いている姿です。特に、5人程度の女性グループにその傾向が強かった気がします。そして、インバウンドの方々は割と派手目でカラフルな柄の着物が多かったのだけど、国内の人は淡い単色のシンプルなものが多かった気がします。着付けサービス、国内の人にもそこそこ需要があるのは新たな発見でした。浅草とかはどうなんだろ。

中間形態のホテル

 今回、京都と金沢で宿泊したのが、インバウンド向けだろうけど、カプセル以上、シングルルーム未満といったホテル。トイレやシャワーは共同だけど、部屋は6平米くらいで、板張りの床にマットレスがあり、その上に布団を敷くタイプ。布団をたためば、ちゃぶ台もあり、作業もできます。
 京都のホテルは相鉄グループが運営。料金は6,000円程度と、週末で秋の京都にしてはわりとお得に泊まれました。ホテルが寝るだけの場所だとしたら、この形態悪くないと思いました。


こういう形態のホテルもありかも

 それにしても、宿泊代の高騰が著しいですよね。最近、東京に行っても、6,000円ではカプセルホテルが関の山。コロナ禍の東京出張では、ロイヤルパークホテルやハイアットに10,000円弱で泊まれてたのに…。

おまけ①:行ってよかったところ

 今回の京都、いろんなところに行ってよかったと思うのだけど、見れてよかったものといえば、六波羅蜜寺の「空也像」。空也は平安時代中期の僧で、日本で初めて「南無阿弥陀仏」を唱える称名念仏の実践者とも言われます。そして、空也の像を見ると、空也の口から小人が出てきています(←失礼)。これは、「南無阿弥陀仏」の6文字が形となって現れていることを指すとのこと。日本史の資料集でしか見たことのないものを見れて、なんだかうれしい気分になれました。京都観光の醍醐味の一つはこういうとこかなと思います。

おまけ②:まだまだ京都を知らない通訳案内士

 通訳案内士でありながらも、人混みが嫌いなので、京都については未訪の地がたくさんあります。有名どころでも、龍安寺、銀閣寺、南禅寺、仁和寺、二条城、大徳寺などなど。
 そういえば、通訳案内士の勉強をしているときに気づいたのだけど、「京都の有名な寺を10か所挙げてください」という質問が出たとしたら、浄土真宗の人間は「西本願寺、東本願寺」が最初に出てくるそう。逆に、金閣寺とか龍安寺が先に出てくる人は、観光好きな人=権力と結びついて庭園やらなんやらに趣向を凝らした臨済宗の寺が先にでてくる傾向が強いそうです。
 私の実家は浄土真宗でもあり、やはり、「西本願寺、東本願寺、知恩院」と浄土宗・浄土真宗の寺が先に出てきました。それもまた、むべなるかな。

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