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【エッセイ】2023年春の川越遠征の動画制作(『佐竹健のYoutube奮闘記(15)』)

 桜咲き誇る3月末。私は自転車に乗って川越へ行った。

 菜の花が咲く荒川の河川敷を駆けていく。途中ヤギに遭ったり、踏み切りを渡ったりしながら、何とか川越に着くことができた。

 川越に着いたら、まず最初に川越城の本丸御殿へと向かった。

 前にも話したとは思うが、私は川越城の本丸御殿が好きだ。立派な大広間に広い廊下。これだけでも小江戸川越の威容が伝わってくる。また、家老詰所にある小さな庭は、見ていると気分が落ち着く。

川越城本丸御殿の廊下

 個人的には廊下が好きだ。廊下には戸があるのだが、そこから日の光が入ってくる。入ってきた光によって、日本建築が持つ陰影が際立つことにより、侘び寂びを感じられるのがいい。


 御殿へ行ったあと、近くの駄菓子屋へと立ち寄った。

 そこで当たりが出たら商品と交換してもらえる金塊チョコを二つ買った。値段は合わせて120円。

 当たったのは、二つ合わせて50円分だった。元は取れなかったが、普段くじを引けば外ればかりの私にとっては、当たりが出た、というだけでもうれしかった。

 二つ合わせて50円分のくじで、チョコケーキと引き換えてもらった。

 チョコケーキを食べ終えたら、猫を探しに三芳野神社へ向かった。

 猫は今回の川越サイクリングでも姿を現さなかった。悲しい。


 猫がいなかったので、私は近くにある川越市立博物館へ向かった。常設展を軽く見た後に企画展である「もののふの美」という展覧会を見た。

 展覧会では、職人が人生をかけて復元した大鎧や、甲冑がどのようにして作られているかがわかるものが展示されていた。

 特別展はいい勉強になった。これでも特別企画で段ボール甲冑を作ったことがある身。大鎧の実物がどんな感じか、どのように作られているかについて知ることは、とても大事なことだ。次に大鎧や胴丸、腹巻を作ることだってあるかもしれないから。


 川越市立博物館を出た後、夕焼けの写真を撮るため、私は伊佐沼へ向かおうとした。

 念のため、天気予報を確認したら雨の予報が出ていた。

「何なん。雨とか聞いてないし」

 私は心の中で、そうつぶやいた。

 出たときはいい陽気だったのに、帰りは雨。本当にふざけるなよ。

 突然雨に降られ、風邪を引いても困るので、私は自転車を駅前の駐輪場に預けて東京の自宅へ帰ることにした。


 翌日。自転車を回収しに、私は東京から電車で川越へと向かった。

 せっかく川越にまた来たのだからということで、自転車を回収したあと、Google Mapでたまたま見かけた川越夜戦跡へ向かった。途中で川越八幡宮へ寄ったり、ファミマで休憩を挟んだりしながら。

 川越夜戦跡へ向かったあと、夕方まで時間があったので、川越城の中ノ門堀跡や新河岸川の桜並木を見て時間を潰した。

新河岸川の桜並木

 新河岸川の桜並木はとてもきれいだった。透明に澄んだ川の水に、無数の花筏が流れていくところが風流で、言葉にし難い感動があった。

 新河岸川の桜並木を眺めたあと、伊佐沼へと向かった。

 伊佐沼へは昨年の秋の川越サイクリングでも行っている。だが、前回は時間の都合上西側しか巡れなかった。なので、日も長くなっている今回は、伊佐沼をぐるりと一周しようと考えたのだ。

 一周してみた。東側には船が停めてある場所があるくらいで、あとはこれといった変化はなかった。

 夕焼けの写真を撮ろうと思って来た。だが、まだまだ真っ赤な夕焼けまで時間があったのと、帰る時間の配分の都合で、私は伊佐沼を立ち去り東京へと帰った。


 長くなったが、これがこの前の川越遠征の一部始終だ。二日間の間にいろいろなことがあった。

 そのため、1本の動画にした場合、時間が7~9分ほどになると推測された。私の動画は、1日で動画の撮影した動画を編集して作ると、大体3分半から4分ほどにまとまる。この計算で二日分の動画を一本にまとめるとなると、それぐらいになるかなと予想できた。

「さあ、どうする」

 普段尺の短い動画を作っている私は、考えた。このまま作ってしまえば、いつもの二倍もの尺を持つ動画が完成する。それゆえに合成とアップロードに莫大な時間がかかるというリスクもある。

 いろいろ考えた結果、私は前編と後編の二部構成でやろうと思い立った。合成とアップロードにかかる莫大な時間を短縮したかったので、二部構成にしたのだ。いつも情報過多な動画を作っているから、やっぱり一本3~4分くらいの尺が調度いい。


 再生数は、予想通り低かった。特に後編に関しては12回とかなり低い。

 そもそもの話、つまらない小説を書いている、つまらない人間が作った動画なので、この再生数なのは妥当であると自分でも思うのだが。あと、時期も悪かった気がする。

 いずれにせよ、これからは二部構成の動画を作るつもりはない。たとえ動画の尺が、いつもの2倍3倍になっても、一本の動画にまとめていく方針に決めた。


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佐竹健
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