オリジナルとカバー
音楽番組を見ていると、たまに旬の芸能人が有名曲のカバーを歌っていることがある。
カバー曲はオリジナルとは違う魅力がある。特に男性アーティストの曲を、女性アーティストがカバーしたものはいい。それに、今まで知らなかったアーティストのことを知ることができるので、勉強にもなる。
だが、同じ題名同じ歌詞の曲でも、本家から知るかカバーから知るかで、大きく違ってくるようだ。
※
昔、友達の家で、スピッツの『春の歌』の聴き比べを行ったことがある。
当時羽海野チカの代表作『3月のライオン』の実写版が話題となっていた。主題歌を歌うのは藤原さくら。歌うのはスピッツの名曲『春の歌』のカバーだった。
このことを朝のめざましテレビで知った私は、
「お、カバーするのか。買わないと」
という使命感に駆られ、音楽を購入したというわけだ。
ある日、友達の家に遊びに行った。
そのときに友達の口から、藤原さくらの『春の歌』の話題が出てきた。
その友達は、スピッツのようなロックバンドの曲をあまり聴かない。なのに突然、話題に出してきたので、私は少し驚いた。
「ほうほう。ダウンロードしてるけど聴く?」
「うん」
スマホの音楽再生アプリを開き、私は藤原さくらがカバーした『春の歌』を流した。
ほんわかとした、いかにも春らしい優しい音楽と、とろけそうな甘い歌声。この二つが部屋中に流れる。
次に流したのは、スピッツが歌っている本家本元の『春の歌』だった。
カバーとは対照的に、ライトな音楽と魂の叫びのような歌声が、部屋の中にこだまする。
「どっちが好きかな?」
2つとも流し終えたあと、私は友達に聞いた。
友達は、藤原さくらの方、と答えた。
「なにゆえに?」
「なんか、本家の方は、叫んでる感じがしてあんまり好きじゃないな」
「ほう」
言われてみればそうだな、と私は思った。本家本元であるスピッツの『春の歌』に慣れた私からしてみれば、全身全霊の歌声に聞こえる。けれども、カバーから聴いた友人からしてみれば、叫びにしか聞こえない。初めて聴くのが本家本元かカバーかで、大分違ったものに聞こえるらしい。
ちなみに私は、本家とカバーの両方が好きだ。本家には本家の、カバーにはカバーの良さがあるからだ。
本家とカバー。両者を聴き比べると、何かしらの発見がある。読者の皆さんも、時間があったら聴き比べてみてはどうだろうか。
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