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【エッセイ】農道に落ちていたエロ本

 最近、不思議に思ったことがある。

 中学生のとき、休みの日になると散歩がてらサイクリングをしていた。そのとき通っていた農道に、エロ本が落ちていたことだ。

 その農道は小さな川にある土手に沿った道で、春には菜の花やスイセンが咲き誇る花の道。おまけに信号も少ないので、私はこの道が気に入っていた。お気に入りのサイクリングロードだったのだ。

 これだけ聞けば、春には花が咲き誇る近道の農道にしか思えない。だが、人家がある集落から離れると、たまにエロ本が捨てられていた。

 捨てられていたエロビデオやエロ本を見た当時の私は、

(何じゃこりゃ)

 ぐらいにしか思っていなかった。捨てた人がどんな人なのか興味はあった。だが、深く考えてもあまりにくだらないことだったので、見かけても素通りしていた。

 だが、最近になってから、

「どうしてそんなものが農道に捨てられていたのか?」

 と考えるようになった。人様に見られたら恥ずかしいものを、よくポイ捨てできるなと思ったからだ。

 考えた結果、人通りが国道や県道に比べて少ないからではないか、という答えに行きついた。周りには田んぼしかないから誰も見てないと考えてのことだろう。

 確かにその道は、国道や県道と比べて車通りは少ない。それに脇は草むらになっているので、捨てるにも都合がいいのだろう。

 しかし、その農道には大型のダンプカーやトラック、トラクターが行き来している。そのうえ、ランニングやサイクリングをしている人も見かけたので、それなりに人目にはつく。特にランニングをしたり、サイクリングをしたりしているときに見てしまった人は、気まずい思いをしただろう。

 これらの情報から、エロ本を捨てている人物は、人目につくことは度外視している。もし人目につくことも前提に考えているなら、ゴミに混ぜて捨てるとか、もっとマシな捨て方をするはずだからだ。

 他にも、風に乗って運ばれてきたとか考えてみた。だが、先ほど話したことにすぐ行きつきそうだったので、考えるのを辞めた。考えるだけ、時間と脳の糖分と酸素の無駄遣いになるからだ。

 それでも、農道に落ちていたエロ本を、誰がどのような理由で捨てたのかは興味がある。まあ、知ったところで捨てた人物の人格は察し通りだと思うが。

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佐竹健
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