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【佐竹健のカルトーク 学校編】第ニ夜 保健室・相談室登校の話
教室に入らず、登校すると保健室や相談室に来る生徒が時々いる。私も一時期、そうであった。
「登校すると保健室や相談室に行っている生徒がいる」
このことを知ったのは、中学生のときだった。怪我をして保健室へ行ったとき、ベッドに一時期よく話していた女子がいたのを見かけてからだ。
「あ、健じゃん。久しぶり」
そのときの彼女は、普通に教室へ入っていたときと同じ、元気な感で挨拶をしてくれた。
「久しぶり」
「どうしたん?」
「ちょっと怪我してしまって」
「そっか」
彼女が保健室にいるのを見て、私は少しほっとした。だが、いつからいるのか、そして、どのような理由でいるのかまでは聞けなかった。
今思えば、当時の彼女は、保健室・相談室登校していたのだろう。私に見せた元気な姿の裏には、途方もない闇を抱え、教室に入りづらい気持ちがあった。私の個人的な推測でしかないが、そんな気がしてならない。
先ほど話したが、高校のときの一時期、私も相談室登校をしていた時期があった。クラスメートとトラブルを起こして、教室へ入りづらくなっていたからだ。
正直、私は学校には行きたくなかった。部屋に籠って漫画でも読んでいるか、図書館にでも行って読書や調べものをしていたかった。けれども、家人がそれを許さなかったから、仕方なく学校へ行っていた。サボるにしても、「学校は?」と聞かれ、答えるのが面倒だったからだ。
ここら辺については、私小説『君のそばにいたい』で詳しいことを話している(ここでは保健室登校という設定にだが)。
さて、相談室登校について話そう。
朝動かない体を無理やり動かし、1限が始まるころ学校へ行く。そうして保健室へ行き、心が少し落ち着いてから相談室へ入る。
相談室では、休みつつ英単語や英熟語の暗記、日本史の記述の正誤を見極める練習、古語や文法の暗記をしていた。もちろん英文の長文や現代文の読解、日本史の一問一答の練習もしている。
授業が終わった後の10分休みくらいだろうか。担任が入ってきて、
「いつ教室に復帰するのか?」
と圧力をかけにくる。
私はありのままの気持ちを話す。
「もう学校なんて行きたくない」
「そうですか。できるだけ早く教室に復帰してくださいね」
冷たい口調でそう言い捨てて、担任は次の授業へ向かう。いつもそんな感じだった。当時の担任については、今でも恨んでいる。学校へ行きたくない私を否定した家人たちと同じくらいに。
お昼休みには昼食をとる。食べ終わったあとは、本を読んだり勉強の続きをしたりしながら時間を潰す。ときどき持ち込んできたスマホをこっそりいじっていたこともあった。
5限が始まる辺りで、また勉強の続きを始める。そうして、みんなが帰り終わるのを待つ感じだろうか。
相談室登校をしていた時期は秋だったので、窓から見える真っ赤な夕焼けがとてもきれいだった。
きれいな夕焼けに照らされながら、私は一人帰っていた。物思いにふけったり、これからのことを考えたりしては、死にたい気持ちになっていた。
相談室登校は、家や教室にいるよりは少し楽に過ごせた。ただ、担任が圧力をかけてくるのが不快だったが。
本当は学校へ行きたくない。けれど、家族や先生の圧力で仕方なく来ている。保健室・相談室登校をしている児童や生徒の中には、そんな人たちもいるのではなかろうか?
学校で嫌なことがあって行きたくない。けれども、家にいると親が文句を言ってくる。それなら、仕方なく学校の保健室や相談室に行く。そこでは家ほど文句は言われないので、幾分心の状態がマシになるからだ。
逃げる場所があるかないかでも、だいぶ違ってくる。家にも教室にも居場所がないのなら、保健室や相談室に逃げていい。もし、担任が圧をかけてくるなら、学校からも逃げてしまえばいい。
逃げることは悪いことではない。悪いのは、追い詰めてくる人間たちなのだから。
前回の話↓
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