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コーチングでの「視点が変わる」≒「変容的学習」。10プロセスを解説(前編)
コーチングが提供する体験として、「視点を変える」「思考の枠を超えて発想する」「OSをアップデート」するという言葉を聞いたことはないでしょうか。
コーチングは、単に課題解決のために知識/行動の変化を促進するだけでなく、コーチングを受ける人が成長することを目指しています。国際コーチ連盟(ICF)のプロフェッショナル試験でも、コーチングにおいて「課題」だけでなく「人」もあつかっているかが評価項目になっているのも、この考え方によるものでしょう。(もちろん知識/行動の変化はとても重要です。)
「知識/行動の変化」だけでなく「人が成長する」と書きましたが、この区分けをさすがのロバート・キーガンが分かりやすく整理してくれていました。キーガンは、ハーバード大学の教授で成人発達段階や免疫マップなどで聞いたことがある人も多いかと思います。
キーガンの言う2種類の学習
キーガンは大きく2つの学習があると言っています。
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In-form-ative learning
新しい知識を既存の器(form)に加えて(in)いくような学習。
「自分の知っていること(changes in what we know )」を変えていく。
Trans-form-ative learning (変容的学習)
内省により器(form)の形を変える(trans)ような学習。
「自分がどう知っているか(changes in how we know )」を変えていく。
この後者にあるTransformative learning(変容的学習)が、コーチングのいう「OSをアップデートする」という考え方と似ていると感じます。
より少し理解するためにキーガン教授の書いている2つの学習の例をご紹介しましょう。
歴史研究における具体例
◆Informative learning
より多くの歴史的事実、出来事、人物、結果を習得する。
◆Transformative learning
事実について全体的で主題となる質問をしたり、事実を生み出す歴史的記述をした人たちの視点や偏見を考慮したりできるような抽象的な思考能力を発達させる。
少しイメージがわいたでしょうか。
ちなみに、2つの学習はどちらかが良いという訳ではありません。キーガンは両者はそれぞれが有益で重要であること、それぞれが必要であり、文脈に応じてどちらか一方が重んじられることがあると書いています。
コーチとしても、クライアントの器を変えず満たしていくinformativeな学習なのか、器を変えるTransformativeな学習を促すのか。コーチはこのバランスに自覚的であることが重要であると思います。
変容的学習はメジローが提唱した概念なんですが、中編ではもう少し詳しく紹介しこうと思います。後編では、変容的学習10のプロセスについてもご紹介していきますね。コーチもこのプロセスを知っていると相手の学習を促進する参考になると思います。