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睡眠時間を削って高いパフォーマンスが出せるのか

ニューロスペースのコミュニティマネージャーです。

弊社で睡眠のセミナーを実施していると、参加者の方から以下のような質問を多く頂きます。

- やりたいことを優先させて睡眠時間を減らす技などはありますでしょうか?
- 睡眠時間を減らしながら 知識を増やしたい。
- 短い睡眠でも高いパフォーマンスを発揮することはできますか?

「寝る時間が短ければ、自由な時間が増え、もっと色んなことができる!」、「寝るのがもったいない、、」そんな風に思っている人も多いのではないでしょうか。私も普段8時間以上の睡眠をとるため、少ない睡眠時間で効率よく結果を出したい気持ちも良くわかります。

寝る時間を削って高いパフォーマンスが出せるのか。今回はショートスリーパーと呼ばれる人のお話をしたいと思います。

ショートスリーパーってなに?

睡眠時間が6時間未満でもアクティブに活動できる人を一般的にショートスリーパーと呼びます。

- 毎日5時間くらいしか寝てないけど、自分はショートスリーパーなの?
- 若い頃は7時間くらい寝てたけど、最近は5時間くらいで目が覚めてしまう。ショートスリーパーになったの?

と感じている人もいるかもしれませんね。睡眠時間が短い人は、昼寝や、週末に寝だめなどしていませんか?

ショートスリーパーと呼ばれる人は、一般的に日中に眠気を感じず、短い睡眠時間でも心身の不調が一切ありません。夜の睡眠時間が短くても、お昼寝をしたり、週末に寝だめをしたりする人は、必要な睡眠時間が足りておらず、ショートスリーパーではない可能性が高いです。また、人は年を重ねるにつれて睡眠時間が短くなっていきますが、ショートスリーパーは、生涯に渡って睡眠時間が短いのが特徴です。

日本では5~8%がショートスリーパーに属しているといわれていますが、このデータには単純に睡眠時間が短い人も含まれているようです。実際のところ、ショートスリーパーはほとんどいない(人口の1%未満)ともいわれています。

反対に睡眠時間が9時間以上の人を、ロングスリーパーと呼び、日本人の3~9%がロングスリーパーであるといわれています。ただし、こちらのデータも土日の寝だめを含め、単純に睡眠時間が長い人も含まれており、実際のロングスリーパーはごく少数といわれています。

ショートスリーパーとロングスリーパーの中間で睡眠時間が6~9時間の人を、バリアブルスリーパーと呼び、日本人では一番多く、全体の80~90%がこのバリアブルスリーパーに属しているといわれています。

ショートスリーパーは生まれつき?

ショートスリーパーやロングスリーパーといった睡眠タイプは、生まれ持った要因が大きいといわれています。カリフォルニア大学で睡眠の研究を行っている、Ying-Hui Fu教授が率いる研究チームが2009年にショートスリーパーの遺伝子を発見しました。

短時間睡眠をしている人とその家系の遺伝子を調査したところ、概日リズム(体内時計)と関係している「DEC2」という遺伝子に突然変異があることが発見されました。以下の記事によると、遺伝子の突然変異により、脳内の情報整理を短い時間で済ませることができるため、睡眠時間が短くても問題ないのではないかと考えられているようです。あわせて、変異した「DEC2」を発現させたマウスでは、対照マウスより睡眠時間が短いことが実験により確認されました。(出典:The Transcriptional Repressor DEC2 Regulates Sleep Length in Mammals, Science 14 Aug 2009) 

そして、最初の遺伝子発見から10年後の2019年に、科学学術誌「Neuron」で同研究チームが、新たなショートスリーパーの遺伝子を発見したという論文が掲載されました。

記事によると、 研究チームは「DEC2」の突然変異がないにもかかわらず、3世代揃ってショートスリーパーの家族を特定し、この家族に特有の突然変異β-1アドレナリン受容体遺伝子(ADRB1)を確認しました。(出典:A Rare Mutation of β1-Adrenergic Receptor Affects Sleep/Wake Behaviors, Neuron August 28, 2019) 

さらに「ADRB1」の突然変異の遺伝子を導入したマウスの脳を調べたところ、ショートスリーパーの家族と同様に睡眠時間が短くなっただけではなく、深い睡眠状態からでも一気に覚醒し、活動を始めるという現象もみられたようです。

研究では、この遺伝子をもつ人は「短時間睡眠でも、エネルギッシュに活動できる」ことが示唆されましたが、一方で、長期的な健康への影響は調べられていないとのこと。短時間睡眠でも活動的な生活を支える他の要因がある可能性も示唆されており、今後の研究が期待されています。

ショートスリーパーになれるのか。

「短い睡眠でも高いパフォーマンスを発揮することはできますか。」

ここまで見てきたとおり、ショートスリーパーは残念ながら生まれ持った体質のため、ショートスリーパーでない人が、ショートスリーパーの真似をすることはできません。真似をして睡眠時間を意識的に減らしてしまうと、睡眠負債が溜まり、健康被害や疾患の原因になるといわれています。

睡眠時間を削ったとしても、すぐに身体に支障が出るわけではありませんが、身体へのダメージは大きく、将来的に取り返しのつかない状態になることが多いのです。

まとめ:睡眠時間は人それぞれ

ひとそれぞれ違った個性があるように、一人ひとりに最適な睡眠時間も異なります。平均的には7~8時間といわれていますが、4時間で十分な人もいれば、9時間の睡眠が必要な人もいます。アインシュタインが10時間以上寝ていたのは有名な話ですよね。

先天的なショートスリーパーであれば、短時間睡眠でも問題ありませんが、7時間必要な人が3~4時間の睡眠を続けていると体調に悪影響を与え、日中のパフォーマンスも低下してしまいます。必要な睡眠時間は人それぞれ。パフォーマンスを最大化するためにも、ご自身にあった最適な睡眠時間を見つけ、毎日取るように意識してくださいね!

おまけ

「短い睡眠でも高いパフォーマンスを発揮することはできますか。」

「ショートスリーパーでない限りできません」が答えになりますが、「昨日あんまり眠れず、でもプレゼンなどで高いパフォーマンスを出さなきゃ」という日もありますよね。

そんな時の解決策は、仮眠をとること。眠くなる前に、戦略的に仮眠をとることで頭も冴え、集中力がアップします。実際に、弊社で行った仮眠の検証実験でも、仮眠を取った場合と取らなかった場合、パフォーマンスに違いが表れることが確認できています。

ただし、仮眠はあくまで応急処置。普段の睡眠時間をしっかり確保することを忘れずに!(仮眠の詳しいお話しはまた別の機会に)




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