【イベントレポート】「睡眠の質をぐっと高める『お風呂の技術』 ～お風呂は眠りのプロローグ～ 良い眠りへ誘う入浴法とは」セミナーを開催！
ニューロスペースのイベント事務局です。
2020年7月9日（木）にバスリエ株式会社 代表取締役社長 松永武さんをお招きし、「睡眠の質をぐっと高める『お風呂の技術』 ～お風呂は眠りのプロローグ～ 良い眠りへ誘う入浴法とは」イベントを開催しました。今日はその内容をご紹介したいと思います。
イベントでは松永さんと弊社代表の小林から、睡眠をより良くするための入浴法や入浴効果を高めるおすすめ入浴グッズなど、お風呂と睡眠の観点からそれぞれ語って頂きました。
自己紹介からスタート
松永武さんプロフィール
お風呂好きが講じて寝具メーカーを退職後、2005年にお風呂グ ッズの専門店を開業。これまでに5万点以上のバスグッズを試したバスグッズマニアで「マツコの知らない世界」をはじめテレビ・ラジオ・雑誌などで活躍中。現在は企業やビジネスパーソンに、入浴剤や入浴法をアドバイスするサービス「OFFICEお風呂」を準備中。
もともとは寝具メーカーに勤めていた松永さん。そこで勤める傍ら、ご自身の体験から睡眠とお風呂の親和性に興味を持ち、独立をしたのこと。セミナーでも「New York Love」ならぬ「New Yoku Love（入浴ラブ）」のTシャツを着て登場。冒頭からお風呂への並々ならぬ愛情が伝わってきました。
なぜお風呂に入ると睡眠がよくなるのか？
最初のテーマは「なぜお風呂に入ると睡眠がよくなるのか？」について。まずは弊社小林から睡眠の観点よりお話しました。
小林：睡眠は2つの要素から成り立っています。一つはどれだけ寝たかという「量」、もう一つは「質」です。質が良くないと8時間寝ても次の日だるいとか集中力が続かない状態になる。
では、その質とは何か。睡眠は大きく前半と後半に分かれています。前半は脳と身体の休息、後半は心の休息が行われているという状態ですが、睡眠の質は前半の3時間とか4時間の間にどれだけ深い睡眠が得られたか、ということが肝になってきます。
この前半の睡眠の質をあげるために大事になるのが、深部体温といわれる身体の内側（内臓や脳）の温度のコントロールです。人間は手や足先から体温がどんどん放熱されている状態のとき、寝つきがよくなり、かつ眠りの質も上がりやすくなります。
この深部体温のメカニズムを使って戦略的にお風呂に入ることで、そのあと急激な深部体温の低下を起こします。この急激な深部体温の低下が起きるときに、質の良い眠りが実現できる仕組みになっています。
睡眠とお風呂の関係性について理解できたところで、今度は松永さんからお風呂の観点から、１．お風呂の5つの作用と２．具体的な入浴方法についてお話を伺いました。
１．お風呂の5つの作用
松永：まず一つめに、①温熱作用があります。温熱作用は身体を温めることで血行を良くして疲労物質や老廃物質を外に出したり、自律神経をコントロールする作用が働きます。
つぎに②静水圧の作用。水圧は、水深が深くなればなるほど高くなります。水圧が下から上に血流を押し流してくれることでマッサージ効果を得ることができます。
もう一つは③浮力ですね。普段皆さんの身体には重力がかかっていますが、水（お湯）に浸かることで体重の約1/10に減るとされています。これによりリラックス効果が期待でき、関節への負担も軽減されます。
他にも、④水の粘性（水の粘性を使って身体に適度な負荷をかけてあげる）、 ⑤洗浄作用（汚れを落とすことで、内面的に外見的にも気持ちが良くなる）があります。
お風呂はこれらの湯加減や水圧、浮力など、物理的作用が働くから気持ちが良い。これらの物理的作用と入浴の仕方をどう使い分けるかが今日のテーマでもあるお風呂の技術になってくるわけなんです。
入浴の仕方
まずは温度をどうするかということ。基本的に熱いお湯だと交感神経が優位になるので、身体は活性化します。逆に、温度をぬるくすると副交感神経が優位になるのでリラックス状態をつくることができます。
あとは、よく湯舟に一回浸かったら終わりという方がいますけど、1回でも2回でも良いですし、僕は5回か6回出たり入ったりを繰り返しながら、自分のその日の気分や体調に適した時間をチョイスしています。
もう一つは湯舟の浸かり方。全身浴とか半身浴とかありますけど、その他には浮き身浴。身体をお湯に浮かせた状態で入る方法ですね。浮き身浴の場合、水圧による身体への負担が少なくリラックスしながら全身を温めることができます。
お風呂の技術についてお話を頂いた後は、入浴効果を高める道具やグッズの効果について松永さんからお話を伺いました。
入浴効果を高める道具やグッズの効果について
松永：入浴剤は炭酸ガス系とバスソルトみたいなナトリウム系の入浴剤が人気です。炭酸ガスや水素ガスは皮膚から血中に入っていくので、身体の反応としては、「異物が入ってきたので外に押し出そう」とします。すると、血行が良くなって身体が温まりやすくなります。ぬるめのお湯でも身体が温まりやすいのは炭酸系と覚えてもらえたら良いです。
一方で、ナトリウム系になると皮膚のたんぱく質とナトリウムが反応して皮膚に膜をはってくれます。例えば、海の近くにある温泉に入るとお風呂から出ても湯冷めしにくい効果が得られますが、ナトリウム系の入浴剤も同様の効果が得られます。
また、キャンドルですと「1/f分のゆらぎ」という副交感神経優位にする効果（リラックス効果）が医学的に証明されている。あと、キャンドルをたくことも良いですけど、大事なポイントとして浴室の明かりを落とすということ。明るいところにいると、目から入ってくる情報も多いので目を閉じて情報を遮断することでリラックス効果が得られます。
市販の入浴剤は使った方が良いのか？
松永：シンプルに答えると「使った方が良いです」。ただ、入浴剤でなくても良いと思います。例えば、ご自宅にある重曹とか砂糖とか、昆布とかでも良いと思うんですけど、何か有機物を入れることによって、水道水に含まれる塩素を中和してくれるという働きがあります。
よくあるのはワインを入れたり残った牛乳を入れたりとか、もともと菖蒲（しょうぶ）湯とかゆず湯とか、日本には植物とか季節のものをお風呂で愉しむ習慣があるので、市販のものに限らず色んなものを入れて楽しんでもらえたらと思います。
小林：新潟県に越後湯沢っていう駅があるんですけど、そこの駅に日本酒風呂があってびっくりしました。
松永：日本酒も良いし、日本酒の麹とか入れるとお肌がつるつるになりますよ。もし、飲みかけの日本酒とかあれば入れてもらえると良いのでは（笑）。
入浴剤で大事なのは量
松永：先ほど何でも入れてもいいよと言ったんですけど、入浴剤で大事なのは量なんですよね。
温泉って1㎏あたりに溶存物質、温泉成分がどのくらい溶け込んでいるかによって濃さが決まっています。よく市販の入浴剤で「○○温泉の元」とあっても容量が45gだと足りない※１。あくまで温泉成分をちょっと真似したような入浴剤ってだけで、ほんとにそれを体感できるかって言われたら色とか香りだけでごまかしてて、やっぱり体感できないんですよね。
弊社では「浴玉（よくだま）」って入浴剤を取扱っているのですが、これはちょっと大きくて200gあるんです。例えばこれをご家庭の浴槽（150～200L）に溶かしたら実質的に温泉と同じくらいの溶存物質のお湯が作れるんですね。本当に温泉気分が味わえる入浴剤なんですよ。
※１：国が定める「温泉法」によると1㎏あたりのお湯に対し、溶存物質は「1,000㎎」以上であることが定められている（例えば、200Lの浴槽だと200g（0.1%）。
http://www.env.go.jp/nature/onsen/point/
質疑応答コーナー
Q：お風呂グッズでいうとバスローブがあると思うんですけどこれってどうですか？
松永：これは僕一押しですね。 小林さんは深部体温が大事だと言われてましたけど、お風呂あがりに深部体温って上がってますよね？深部体温が上がった状態で一生懸命拭いても汗が出てくる。
汗とか水滴をしっかり拭きとらないと、水分が蒸発する時に身体の熱を奪ってしまうんですよね。そうすると湯冷めをしたり肌が乾燥したりするんですけど、そういった時にバスローブを羽織ってあげると、身体についてる水分も、出てくる汗も自動的に吸い上げてくれる。
そうすると気持ちよく深部体温を下げることができる。お風呂上がりに濡れた状態でバスローブを着てリラックスしてくつろいだり、肌のお手入れとかして深部体温が落ち着いた時にパジャマに着替えてお布団に入ってもらうみたいな、お風呂と眠りの中間エリアを担うのがバスローブ。
小林：結構特別な存在ですよね。そう考えると。
松永：よくバスローブのイメージだとワイングラス片手にシャム猫を抱えているイメージなんですよね（笑）。そんなイメージがあるんですけど、ほんとに便利グッズなんですよね。洗うのが大変であれば毎日洗う必要はないと思うんです。「バスローブもらったけどどう使ったらいいの？」って質問もらうこともありますがちゃんと使えばすごく便利。
小林：バスローブ生活はじめてみようかな（笑）。
Q：脳を癒す入浴法を知りたいです
松永：情報を遮断してあげるのが第一ですよね。だから、明かりを消したり目をつむる瞑想がオススメですよ。僕の場合は何も考えずにやっぱり頭をからっぽにすることが大事だと思うので、情報を遮断して瞑想してあげるっていうのが脳を癒す手っとり早い方法かなと思います。
小林：僕ちょっとですね、独自で生み出した方法があるんです。何かって言うとお湯に浸かるじゃないですかね。リラックスするために明かりも暗くするんですけど、お水を浴槽にチョロチョロって垂らすんですよ。すると「ちょぼちょぼ」って聞こえる音でさらにリラックス出来るんです。
松永：そういう意味では胎児浴もいいですよ。胎児浴って赤ちゃんみたいな姿勢で、お母さんのお腹にいるような姿勢で湯舟に入る。潜るのがちょっと厳しかったら仰向けになって頭までつけちゃうんですよね。これを温泉とか共同浴場でやっちゃうと顰蹙（ひんしゅく）買うんでダメですけど自宅だったら頭をお湯に浸けちゃう。
そして、水から伝わる自分の心音（心臓の音）を聞くんですよ。するとすっごくリラックスできるし脳が休まりますよ。それを僕は胎児浴って言ってるんです。
小林：確かにもともと生まれてくる前はずっとみんな羊水っていうお風呂から生まれてくるわけですからね。
まとめ
セミナーにご参加された方々からは、以下のお声を頂きました。
「お風呂と睡眠に対しての見方が変わりました」
「入浴剤の分量、バスローブの効果を学べました。しかも皆さん楽しそうに話されるので、素敵な夜トークでした‼️」
「良いお風呂の入り方を具体的に教えていただけたので良かった」
「入ったことのない、お風呂の入り方のお話ありがとうございます。
胎児浴試してみたいと思います」
お風呂も技術。ついつい何も考えずにいつも通りに入浴してしまいがちですが、普段と違う入浴方法を試してみたり、お風呂グッズを使ってみたりすることで睡眠の質もぐっと高めることが出来るんですね。弊社小林は、早速セミナーの晩にワイン風呂を自宅でやってみたようです。
以上、イベントレポートをお届けしました！
【お知らせ】弊社では睡眠に関するお役立ち情報やイベント情報をfacebookコミュニティから発信をしております。宜しければこちらもご覧くださいね。