レビー小体型認知症にコリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンはどの程度効果があるのか?
レビー小体型認知症(DLB)に対してコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)やメマンチンを処方することがありますが、MMSEの推移を10年と非常に長くfollowした報告を読みました。
スウェーデンレジストリの1095人のDLB患者さんで、DLB診断後90日以内にChEIもしくはメマンチンを開始した群と未使用群の3群で比較しています。ChEIとはドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンといった認知症の内服のことです。
注目されるのは、以下の図ように未治療群とメマンチン群では約21点から約10点と点数が低下していますが、一方でChEI治療群では悪化することなく横ばいでした。
できるだけ早期にDLBの診断をして、ChEIを開始することの重要性がわかります。
ここで注意したいことは、MMSEのみでの評価であることです。
DLBでは精神症状を呈することがあり、メマンチンが効果をしめすことが実際には多くあります。こういった精神症状はMMSEでは測定できません。
また、DLBはアルツハイマー型認知症とは違い、初期には記憶障害が目立たないことがあります。一方で注意力障害や遂行機能障害が目立ち、MMSEと比べて前頭葉機能検査(FAB)で高度低下していることが多いですが、それは評価されていません。
しかしながら、治療効果が期待できることは間違いなく、長期に経過をみている患者さんは年に一回程度心理検査で経過をみることが多いですが、参考にしたいと思いました。
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