すとん

ある1日の眠れない夜に「すとん」と、心に落ちたことについて書いてみようと思います。

この何ヶ月間か頭をぐるぐる駆け回っていた悩みだったんですが、突然その瞬間がきました。
誰かと話していたわけでもなくて、偉人の素晴らしい言葉を見たわけでもないんです。
あ、今だなと思えたんです。
ひとりで悩みに悩んで、考えないようにフタをしていたものの、久しぶりに全く眠れませんでした。
今日は休みで予定も無いから、別に悩めば良いんだけど。


悩み続けたおかげなのか、納得出来たんです。
そっか、そうだった。
すとんと椅子に座ったみたいに納得しました。
少し早いんですが、今年もあと約一カ月半で終わり。まだやっていない事が沢山あります。
今年の始めに建てた目標は、達成出来そうにありません。
自分なりに頑張ってきたんですが、難しそうです。

ある本なんですが、こんな話をご存知でしょうか？
突然、予想もしていない出来事がある家族に起こりました。
ある男が朝起きたら、大きな巨大な虫になっており、外に出る事も出来ない状態。
男とその家族はどうしたのかという話です。
家族は年老いた両親と妹。
可哀想に、家族だからと献身的に、という内容ではないんです。

妹はいつか兄が元に戻らないかと希望を捨てずに、
あれこれと方法を考えて面倒を見ました。
母は目の前の現実が受け止めきれなくて、気を失って現実逃避に走りました。
父はその姿に嫌悪感を抱き、息子に攻撃しました。

最後に男が考えたことは？
家族が考えていたことは？
あなたが家族の一員だったらどうしますか。
現実はどうだったんでしょうか。
最終的に努力も報われず、家族に見捨てられた男は虫の姿のままひとり痩せ細って息途絶えてしまいます。

この本を読んでみて、とても悲しいなと感じました。
よく耳にするひとりじゃないだとか、希望を捨てないでの言葉。
言葉を選ばずに言えば、理想の綺麗事です。
なるべく人間らしく、暖かい心は持っていたいと思うんですが、正直ギャップがしんどい人も多いんじゃないでしょうか。
私もそのひとりです。

一生懸命に努力しても、どうにもならないことがあります。
どんなに期待を持ち続けても、なにも報われないときがあります。
落ちたときに這い上がれず、助けを求めても誰の助けもないときがあります。

死ぬときは誰か愛を持ってそばに居てくれる保証なんてどこにもありませんし、独りなんです。
本当に苦しいときに、愛されているだとかこの人は信用できるだとか、考えられる余裕があるでしょうか。
ただ、最後の一瞬に誰かの顔を思い出すことが出来れば上出来なんじゃないかなと思うわけです。
例えば、自身が死のうが生きようが、頭に浮かぶ相手が自分に対して同じ想いだったかというと、それも違う話で。
文章にすると冷酷で孤独に思いますが、これが現実なんです。
現実とは厳しいものです。

今をどう選択してどう生きるかは自分次第だと思います。
人間関係で悩むことが多いと思いますが、どんな相手だとしても分かり合うことは非常に難しい。
今どこにいて、誰のそばにいて、
何を話して、これからどうしたいのか。

ギブ＆テイクなんて言葉がありますが、お互い様の上位互換でしょうか。見返りを求めて行動するのは、動物の本能と似てると思います。
様々な選択肢の中から良くも悪くも、自身が選んでそこに居るだけのこと。

ひとりずつ、面倒なルールが沢山ある世の中。
そこまで自分のことに対して、人は深く興味を持ってくれないものです。
生まれた意味や生きる意味なんてものは、どこを探しても有りませんし、ただの事実。
卵が先かニワトリが先かのようなもので、答えは無くただ現実として実在しているだけなんです。

こう考えられるのも元気に生きてる今のうちなので、誰かに悪いとか我慢だとか気にせず、生きたら良いんじゃないかと考えることが出来たんですよね。
逆を返せば、相手に何も伝わることは無いですし、自分の意思で真っ直ぐ生きることが可能な限り出来るんです。
大切にしておきたいもの、持ち続けていても誰も文句は言いません。
だってわからないんだもの。
それだけは人として自由なんだと思います。

つまりは何が言いたいかというと、自分は自分。
他人には他人の人生がある。
こうやって言葉にしたり、誰かに伝わったら良いなと思うことは、最高の自己満足でしかないということでした。
それもまた、自分以外の人に理解されることはありません。フラットに何でも可能な世の中です。
その中で自分はどうしたのか、繰り返し選択したものが「今」なんじゃないかと思います。

本を読んで久しぶりに深く考えさせられました。
機会があればぜひ読んでみてください。
「変身」　フランツ・カフカ　

一日お疲れ様でした。