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私がブルマだった頃

女子児童が肌着を着ていないかどうか男性教師が目視で確認し、胸の発育があれば着用を認めるという、投げられる石だって迷惑千万な鳥肌モンの校則の記事を先日書いたが、ありがたいことにビュー数がゲーム記事の次に多かった。
こんなネット低層階で這う主婦の作文ですら見ていただけるほど、検索数すなわち問題視されている、ということがよくわかる。声を上げてくれた児童にはこうして心を寄せることしかできない。

謎まみれのブラック校則についてのアンケート調査や、ハッシュタグでのトレンドは定期的に上がり、ネタとも取れるような何ともトンチキな校則や時代錯誤な制定などが浮き彫りになる。私も校則に関して腑に落ちなかった体験があり、今となっては笑える話になるので描いておくことにした。

私が通っていたのは田舎のおんぼろ小学校。
登下校は私服だが、学校内での体育授業で着る体操服。半袖や長袖はその日の気温で自由に選べたものの、女子の体操服の下はブルマ。平成で、ブルマだ。

まだお漏らしの残る一年生から、体も大きくなる6年生まで、女の子は可哀想なまでにみんな等しくブルマだった。ドラゴンボールどころの騒ぎじゃない。
男子はホットパンツであったが、駅伝選手が履くような短さと生地の薄さで、ブルマと変わらず寒々しい事この上ない。当然、運動会もブルマとホットパンツ姿が並び、晴れ舞台を見にくる保護者たちに、「あ、あの子ブルマからパンツ出ちゃってるわね」「あらあなた、はみパンよ」なんて言われる。

はみパンは当然ビデオの映像にも残ってしまう。どこぞのご家庭が録画した自分の子を見るため運動会の映像を再生するたびに、我らのはみパンがお茶の間で失笑を買うのだ。

そんなブルマもひどいが、もっとわけがわからない決まりだったのが、
体育の授業中に冬季はトップスかボトム、
温かくしていいのはどちらかだけ。

つまり上下のどちらかは、寒い体操服でなければいけないという事を意味していた。

風邪気味でも頑張って学校に登校していたり、怪我などで体育を見学する子は上下防寒着の着用を許されているが
仮にボトムをウールの温かいズボンにしたとはいえ、上は校章と名札が見える体操服。
上にフリース(当時流行っていた)を着たなら下は膝っ小僧を出せとのことだ。
ようはブルマの場合、こうである。

もうさむい。
自分で描いててかわいそう。
パンイチだよ、これじゃあ。


そして、教師はこのいでたち。

…いやめっちゃ着込んでるやないかい!!
先生ばっかりズリぃ!!!

さすがにひどいぜこんちくしょう、と憤ったイタズラ生徒の中には、この重ね着ステテコ先生のジャンバーをひっ剥がした者もいた。案の定背中に貼るカイロがびっしり貼られていたという話も持ち上がりブーイングされていた。

幸いしたのが当時のPTAでは若いマインドを持ってくれていた保護者が多く、私の母も相当抵抗してくれていたようで、小学校3年生で体操着ブルマ生活は終わりを迎え、男女共通のコンの膝丈ハーフパンツに落ち着いた。

しかし「上下どちらか体操服だけ」は覆されることはなく、本当にハーフパンツだけで学校指定の上下ジャージセットは制作されなかった。
上か下かどちらかがいつも寒い小学校生活を過ごしたおかげで、めでたく小4で冷え性デビューをし、これまた冷たい床の上で感覚のないつま先を揉みしだくのだった。
どうか自分の子が小学校に上がるときは、もう少しマシな校則であってほしい……
願わずにはいられない申見だった。

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