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【ネット歯科大】歯の健康は長寿につながるのか

 しっかりとした歯や口は、栄養摂取の基盤となります。したがって、全身の健康において大切であることは間違いありません。
 
 では、「歯が健康であれば長生きできる」といえるでしょうか
 
 歯科医療関係者は、そのような気持ちをもって歯や口の健康維持や回復に努めています。
 
 健康な身体づくりには栄養摂取を欠かすことはできませんし、適切な栄養摂取のためには丈夫な歯が必要です。また、歯の周囲に細菌がたまって進行する歯周病は、全身のさまざまな病気と関連していることが示されています。
 
 さらに、「歯が元気な人ほど長生きする」という研究データがあればわかりやすいのですが、なかなかそこまではっきりしたことはわかっていません。
 
 しかしながら、その方向をサポートするような研究報告は多く存在します。
 
 たとえば、歯周病が重度の人では死亡率が高いということが知られています。また、歯が少なく義歯も使用していない人では、認知症の発症リスクが高いことなどがわかっています。
 
 口の中の細菌が増えると、血液中に入ってしまう菌の量やその回数も増えると考えられます。実際に、歯みがきをしただけでも、一部の人において血液の中から生きた細菌が検出されています。
 
 血流にのった細菌が全身をめぐり、心臓や脳にまで影響が及んでいるのではないかという説が注目され、世界的にさらなる研究が進められています。
 
 一般的に考えると、歯を含めた全身の健康維持が長寿につながるはずです。その中でも口は食べものの入り口ですので、特に重要な部分のひとつといえます。
 
 さらに研究が進み、歯の治療を受けることが長寿につながるということが明らかになれば、さらに口の健康維持が重視されることになるでしょう。
 
 日本歯科医師会HPに掲載されているように、8020(はちまるにいまる)運動とは「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」というキャンペーンです。1989年から提唱されているとのことですので、すでに35年が経過しています。 いまでは80歳の方のうち半数が8020を達成しています
 
 健康な歯や口を維持して、充実した食生活を継続することは、長生きだけでなく元気な生活を支える基本となります。
 
神奈川歯科大学 青山典生

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