マガジンのカバー画像

短編です。

26
自作の短い小説、童話をまとめました。
運営しているクリエイター

#小説

眠るための廃墟#ネムキリスペクト

 晩夏、万雷の蝉しぐれ。  これで終幕とばかりにがなりたてる蝉に耳を裏返され、雑木林の道…

31

逆/光/遊/歩 #note創作大賞2022

手を繋いで眠りたいだけなんだ。 私にとって恋愛はそういうものだけど。 セックスしないと恋人…

41

昏い森を踊る体/前編[短編]

 夜更けにしっとりと降る雨の気配で目が覚める。それはそんな感覚に似ているのだ。 音もなく…

27

氷花姉妹[短編]

❄︎月子の告白 夫には好きな人がおりました。 無口で朴訥と言われる夫でしたが、気の優しい…

35

オイスター[短編]

 雪が降って、閉じ込められて、ほんとうの親族が続々とやってくる。               …

32

散歩道(習作400字)

 春泥に顔を寄せて今しも鼻をつけそうな、姉の袖をひいてもういいよぉと呟くが姉はほほ笑む気…

29

ドッペルゲンゴ郎[短編]

JR横須賀線の構内で急行待ちをしていると、向かいのホームにおれとよく似た男がいた。 まず、着ているスーツがよく似てる。なんなら靴と鞄も揃いじゃないか。べつにスーツも小物にもこだわりなんてものはないが、全く同じというのは気分がいいものではない。 でも今日のネクタイは別れた彼女が博多土産に買ってきたものだ。明太子柄だ。まずかぶることはない。 おれはさりげなく男の襟元を盗み見た。ほら、ただの紺に水玉のネクタイじゃないか。おれは何を気にしてるんだ。髪型や背格好が似てるからって。通勤

きみの天使のミッシングリンク#THE NEW COOL NOTER賞 [B L]

 杏珠(あんじゅ)は何も覚えていない。病院から彼等が自宅兼アトリエへ戻った後したことは、…

30

鍵~episode3~〔短編〕

////14歳//// 音楽室で昼食をとることが許されているのは、吹奏楽部員だけだ。 食べ終わって…

19

鍵~episode2~〔短編〕

////12歳//// 父がなぜ怒っているのか分からなかった。 私の本棚から抜いた本を、次々と床へ…

15

鍵~episode1~[短編]

誰にも  見せたくなかったんだ 誰にも 触らせたくなかったんだ たいせつなものほど  損…

19

[短編]ニノベハルトと透明な家族

ニノベハルトは19歳で横浜市内の一戸建てに、透明な家族と住んでいる。 透明な家族の中で、…

31