ベターデイズ[ショートショート]
「唐揚げをお腹いっぱい食べて死にたい」
まさゆきくんのために私は何の変哲もないトリの唐揚げをもりもり揚げていた。
午前中から狭い台所には油の匂いが充満している。
唐揚げだけでなく、ついでに白米とキャベツの千切りに胡瓜とトマトのスライスも添えて出した。
「栄養バランスいいっすね」
と出されたものを頬張りながらまさゆきくんは口をモゴモゴさせた。
「でも今から死ぬのに栄養とか関係ないか」
と平たい声で付け足した。
私はずっと栄養バランスを気にしてきたから、死を目前にしたその解放