発狂したっていいじゃない、すくすく育ってるなら。
子育てを始めて半年が経とうとしている。
娘との生活は本当に楽しい、と思えるようになったのは最近のことだ。
娘が生後1か月になるかならないかの時に、乳腺炎になった。おっぱいが激痛で産婦人科に助けを求めたのだが、もっとグッと乳首を咥えさせてね、今のやり方は咥え方が浅いから乳腺炎になっちゃうのよ、と助産師さんからアドバイスを頂いた。ふむ、私のやり方が悪いのか、けれど結局うまいやり方が分からなかった。助産師さんにできることが私にはできなかったのだ。
産婦人科に行った翌日の朝、授乳中、乳首を咥えるわが子を見ながら、あーこのやり方がダメなんだよね、浅いよね、でもわからんよ。わからんぜよ。わからんぜよおーーーーー!!!
発狂した。
突然泣き叫び、近くにあったタオルを布団に打ち付けた。泣いてた娘はぽかんと母を見た。そして隣で寝ていた旦那が飛び起きた。泣いている妻を見て何を思っただろう。
旦那は娘が生まれてから育休を一か月取得してくれた。その育休がもうすぐ終わる週末の出来事だった。おそらく、俺このまま仕事行って大丈夫かなと思ったに違いない。
仕事に復帰する初日、「無理しないでね」と言われた。
今振り返ればあの発狂は、上手くいかない授乳もだが、育児あるあるの寝不足が原因だったのだと思う。
どうか安心して欲しい。あれ以来発狂したことはない。
娘の乳首の咥えさせ方を改善させることはできなかったが、結局おしっこもウンチも出てるし、体重も増えている。娘はちゃんと育っていた。乳首の咥え方が浅かろうがなんだろうが、娘が元気に育っているならそれで良いじゃないか。
実家の母にも、生後0か月の頃は授乳やおむつ替えの頻度など育児に関して色々尋ねたことがある。母との関係は元々よかったが、育児に関する質問などしたことがない。子育てをしたことがなく、質問がなかったのだから当然と言えば当然だ。しつこく尋ねる私に母は、マニュアルがないのが育児なのよ、んなこと知るか、と突き放されたこともあった。目の前の赤ちゃんを見ろと。
なんて冷たい母なんだ、助けてくれよこのヤロー。
自転車で来れる距離なのに中々来てくれないのは例のウイルスのせいだろうか。例え、名前を言ってはいけないあのウイルスがこの世になくてもそう頻繁に来なかったのではないか。孫を溺愛するのが祖母じゃないのか。話が違うじゃないかと悶々としたのは5秒くらいのことだ。
結局、乳腺炎が再発することもなく、母を憎むこともなく、赤ちゃんがいる生活に慣れ、純粋に楽しいと思えるようになったのは生後5か月を過ぎたあたりだったと思う。
もちろん今だって、こちらが眠いのに寝てくれない時など本当勘弁してくれと思うこともある。おっぱいをあげても、おむつを替えても、抱っこしても泣き止まないときはもうどうしていいかわからない絶望感に襲われることもある。そんな時は結局、娘が泣き疲れて寝てくれるというオチがつきものだ。
今では部屋中ゴロンゴロンと回転し、母の脱いだ靴下を舐め、壁に頭突きすることもあるが、どうやら娘は元気に育っている。
育児を楽しいと思えるなら、私も彼女に成長させてもらっているのだろう。