【豊島晋作】日本半導体産業、復活のシナリオとは!?④
豊島:TSMCの工場が熊本に来ますよね。これはどう見るべきですか?
湯之上:これ、経産省が僕にケンカを売ってるんじゃないかと思ってるんだけど(笑)
僕は2021年6月1日、衆議院で意見陳述をしたんです。その時のお題は「過去をふりかえり、未来をどうすべきか述べろ」というもの。だから僕は「日本が半導体No1から転げ落ちたのは、経産省がしゃしゃり出てきたから」だと言った。
パックン:湯之上さんの方がケンカ売ってるじゃないですか(笑)
豊島:かつて経産省主導でやったことに、結果が伴わなかったと。
湯之島:そう。そして「TSMCは日本に来ない」と断言したんです。なぜならTSMCにおける日本の売上シェアは、たった5%だけ。アメリカは70%ありますから。
パックン:少ない。なぜ今回、熊本に来たんでしょう?
湯之島:コロナのせいです。これはTSMCが6月のシンポジウムで言ったんですことですが、ニューノーマルでこのような現象が起きたのです。
①ネットショッピングが8週間で10年分の売上
②リモートワークが3ヶ月で20倍に増加
③オンライン学習が2週間で2億5千万人に拡大
④オンラインゲームは5ヶ月で7年分ダウンロード
つまり深刻な半導体不足に陥ったんですね。
半導体にもいろいろと種類があるのですが、特に28nmという、世代が古くて性能は高くないけれど、手頃な価格のものに需要が集中しました。パソコンやスマホ、車にも使われる半導体ですね。
TSMCはその28nmでシェアを50%以上占めていたものだから、世界中から注文が殺到した。でもTSMCは他にもいろいろ開発やらで手一杯、とてもじゃないけど手が回らない。
そこで日本の経産省がいった。「土地もインフラも全て準備します。設備投資も半分出してあげます。ソニーも協力しますから、来てくれませんか」と。それで来ることになったんですよ。