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【豊島晋作】日本半導体産業、復活のシナリオとは!?⑥

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パックン:TSMCを日本へ誘致することに反対ですか?

湯之上:反対です。税金が使われるから。
先ほど、コロナ禍で28nmの半導体需要が急増し、あちこちで不足していると言いましたね。

たしかに昨年は足りなかった。でも今はもう、足りちゃってるんですよ。TSMCの工場が2024年には稼働しますが、その頃にはもう足りてるんです。

豊島:え、そうなんですか?

湯之上:はい。最近の調査でわかったんです。

豊島:でもTSMCの工場が熊本にできれば、日本の技術者がそこで学びますから、日本の半導体産業が復活する礎となるのでは?

湯之上:たしかに、この工場でつくる12〜28nmという半導体の規格は今の日本にないものですし、技術の習得自体はできるでしょう。

ただ、つくった物の7、8割は海外に売られるんですよ。そして利益の7割はTSMCに入る。だったら日本で全部やれよ!と。そこにこそ税金を使うべきだと、私は言いたいのです。

パックン:ふーむ。僕は案外、悪くないと思いますよ。TSMCを誘致して、製造装置メーカーがそこで連携すれば、さらに日本の強みが高まる可能性があるし。
それにTSMCの台湾拠点だけに頼っていると、いざというときの心配もあります。台湾は一時期、水不足や電力不足に悩まされていましたよね。

豊島:多角化でリスクヘッジすると。

湯之上:実はそれも意味がないんですよ。ちょっとディープな話になりますが、半導体づくりには 設計→前工程→後工程 の3ステップがあります。

前工程ではマスクといって、半導体の原盤のようなものが作られる。で、そのマスクを設計して作っているのは台湾のTSMCなんですよ。しかも前工程だけ熊本でやって、後工程はまた台湾に戻っちゃう。

よく日本政府はTSMC工場の熊本誘致について「経済安全保障のため」というけど、ちっとも日本で完結していないんです

豊島:途中までつくって、また台湾に戻っちゃうんですね。

湯之上:僕が経産省の役人なら、すべての工程を熊本で完結させます。それができて初めて「経済安全保障のため」と言うべきですよ。

パックン:いいね。次回は経産省の役人に来て聞いてもらおう(笑)

豊島:湯之上さんの体を押さえつけないといけなくなっちゃうよ(笑)

湯之上:むしろ僕はね、米国のマイクロンにお金を出すべきだと言ったんですよ。なぜなら・・・

※次回へ続く

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