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【豊島晋作】日本半導体産業、復活のシナリオとは!?⑤
湯之島:日本の経産省は、台湾のTSMCにこう言った。
「土地もインフラも全て準備します。設備投資も半分出します。ソニーも協力するから、日本に来てくれませんか」と。
それでTSMCは熊本へ来ることになったんですよ。
豊島:なぜ経産省はそこまでして、TSMCに来て欲しかったんでしょう?
湯之島:このままいけば、世界における日本の半導体シェアが、2030年にはゼロになるからです。なんとかシェアを浮上させたかったのでしょうね。
日本の半導体メーカーでは、今から必死でつくったとしても、シェアを上げられそうにない。だからTSMCを呼んで作らせることになったんです。
豊島:じゃあTSMCが熊本で作り始めたら、日本のシェアは上がる?
湯之島:それが上がらないんですよ(笑)。順を追っていいますね。まず半導体工場の新設に補助金をだす法律が、2021年に可決されました。
この補助金の対象になった工場は3つ。
熊本のTSMC、広島のマイクロン、三重の四日市と岩手の北上にあるキオクシア。これらに6千億円の補助金を出すことにしました。
それで日本のシェアが上がるかというと…
TSMCの熊本工場は、TSMCの出資比率が7割なんですね。残りはソニーとデンソー合わせて3割だから、日本のシェアは3割だけ。
マイクロンは米国100%だから、日本シェアはゼロ。
四日市と北上のキオクシアは、米国のウェスタンデジタルと折半してやっていて、日本は50%だけ。
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湯之島:効果はかなり限定的だと言えますね。
パックン:でも貢献度って、シェアだけでは測れないでしょう?
湯之島:もちろんそうです。TSMCが熊本にくれば1700人の雇用が生まれますからね。
ところが、TSMCが来ると決まった後に「技術者が足りない!」と気づいた(笑)
熊本大学が慌てて、毎年技術者を60人養成すると言い出しましたが、今から60人ですよ? 卒業までに4年、修士なら6年かかる。
60人を10年やっても600人・・・1700人もどうやって用意するのでしょうか(笑)
順番が逆なんですよね。まず技術者を養成する風土があって、その上で呼ぶならわかるけども。「泥棒を見て縄をなう」ことわざと一緒です。TSMC呼んでから、さて技術者どうしよう?って。
パックン:じゃあ湯之島さんは、TSMCやらの誘致計画には反対ですか?