おはよう
カーテンから差し込む朝日で目を覚ます。夜中のうちに降り積もった雪が反射していつもより眩しく感じた。
時計を見るとまだ7時半。もう一眠りしても二限の授業には間に合うだろう。
隣で寝息を立てる彼に布団をかけ直し、その額を優しく撫でる。
「おはよう」
窮屈なシングルベッドで抱き合うようにして眠る2人の間を繋ぎ止めているのは、大人になりきれない幼い愛情と成長を要されることへの焦りが少し。
彼の手は男性にしてみれば小さく、両手を身体に回して抱きしめても圧倒的な体格差はあまり感じない。しかし私が夜中に目を覚ました時いつも肩まで布団がかかっていることに私は気付いている。
今日は午後の授業が無いから、お昼は何か作ってみようか。卵と鶏肉はあったから親子丼でも。この間ケチャップを買い足しておいたから、オムライスもいいかもしれない。彼は私が包丁を使う様子を見てから彼の家で1人で料理をすることを禁止にした。今日の調理には付き合ってくれるだろうか。
寝返りを打った彼がこちらに顔を向ける。寝ているところを起こさないようにゆっくりとその身体を抱きしめ彼の胸に頭を埋めた。
やっぱり体格は私とそう変わらない。
そんな彼が愛おしい。
腕に少し力を込めると彼の体温が分け与えられて来るような感じがした。
次に起きたらまたおはようと言ってハグをしよう。そう思いながら私はもう一度目を閉じた。